あの日吹いた風の色を僕は 2-1 | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。








2014年9月19日/Side O







ニノは負けず嫌いだ。



自分に対して。




そんで、あんまり素直じゃない。




でも、人の想いは人一倍汲む。




だから、松潤の

「ジャンプアップやめる?」

って言葉に間髪いれず


「大丈夫大丈夫」


としか言えねぇんだ。






おいらがスライドにしようって言わなかったら、ニノは跳んだんだろう。





躊躇なく、高く。





自分の出し得る限りの全力で。








ライブの後半、ニノがおいらの肩に手をかけた。いつもはそっと触れているだけのその手に、ぎゅっと力が込められていた。


いつもすごく痛いわけじゃない、とニノから聞いたことがある。


ダメな、体勢があるだけ。


キツイ時は、そのダメな体勢ばっかりになる。




なぜ、あのタイミングだったんだろう。



ハワイの神様は優しそうに見えて、あの時だけすごく意地悪だった。


あのタイミングで、


あいつが、
跳べないなんて言えるわけがない。



おいらはニノの腰に手を当てて支えるようにした。

手を当てると、温かくて少し楽、と言ってたから。


あんなとこで一瞬そんなことしたって、ニノの痛みがどうにかなるなんて思ってない。



ただ、



そばにいるって伝えたくて、



触れたくて、




みんなにも、わかってほしくて…




こいつ、すげぇよ。





こんな痛いのに、





こんな踊ったんだよ。




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ニノはおいらには決して寄りかからず、でもすごく幸せそうに笑った、と思う。



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顔は見えなかったけど、



おいらにはそんな感じがした。














ライブが終わって、食事の後、おいらは当然のようにニノの部屋について行った。食事のときも動くのがつらそうで、部屋で身の回りのことを手伝ってやりたかった。

ニノはしかめ面をして、ドアのところで、おいらを通せんぼした。


「大野さんの部屋はあっち」


「ニノ、入れて」


「腰のことなら大丈夫。痛みはひいてきたから」



ニノはおいらのことをみくびってる。



作り笑いがわかんないほど、浅い付き合いなんかじゃねぇぞ。



おいらはドアに体を半分割り込ませた。


「お前、今日はダメだって。明日もあるんだから、俺に構わずゆっくり休め」


真剣な顔になったニノが珍しく怖い声を出す。



頑固さなら、負けねぇよ? ニノ。




おいらも真面目な顔で応酬した。



「これから、跳べないときはそう言うって約束できんなら、いいよ、帰る」


そう言ったら、ニノの眉がぎゅっと寄って、おいらの体をさえぎっていた手の力がふっと抜けた。


「ニノはできないでしょ。おいらがいないと、ニノは…」


ニノの顔がくしゃ、と歪む。目を逸らした理由は、おいらにはわかる。


「なあ、甘えてよ、おいらに」


遮るものが何もなくなったドアの中に入って、突っ立ったまま目を逸らしてるニノをそっと抱きしめた。ちらりと見えた瞳に、薄く涙が滲んでいる。



こいつの扱い方は、もう、わかってんだ。
 


「悔しかったよな?よりによって今日なんて…」


ニノは俺の体に腕を巻きつけて、黙ったままかすかに頷いた。