Side O
こんな夜はどうしたらいいんだろう。
口説きたいと思っていた奴が、
すでに他の誰かに口説かれている、なんて夜は。
間接照明のほの暗い店の、深いソファに座って、俺はため息をついた。
出遅れちった…
店は大きな円柱の周りにいくつか丸いテーブルが置いてあり、そのテーブルの前に、円柱沿いにカップルシートみたいな席が設けられていた。
間接照明のほの暗い店の、深いソファに座って、俺はため息をついた。
出遅れちった…
店は大きな円柱の周りにいくつか丸いテーブルが置いてあり、そのテーブルの前に、円柱沿いにカップルシートみたいな席が設けられていた。
俺の座っている円柱ゾーンの、隣の円柱ゾーンの席に、ニノとプロデューサーの男が座っている。
雑誌の取材が長引いたせいで、ちょっと遅くなったらこのザマだ。
番組の打ち上げで貸切になった店には、俺たち5人の他にたくさんのスタッフが宴に興じていた。
…まあ、口説きたいと言ったって、
こんなずっと一緒にいて、
今更、なんて言ったらいいかなんてわからねぇんだけど…
俺はまたため息をついた。
ただ、やっぱり今夜は
雑誌の取材が長引いたせいで、ちょっと遅くなったらこのザマだ。
番組の打ち上げで貸切になった店には、俺たち5人の他にたくさんのスタッフが宴に興じていた。
…まあ、口説きたいと言ったって、
こんなずっと一緒にいて、
今更、なんて言ったらいいかなんてわからねぇんだけど…
俺はまたため息をついた。
ただ、やっぱり今夜は
久々に一緒の飲み会だし
ニノの…近くに座りたかったな…
笑顔で、プロデューサーの男と話しているニノを見ながら思う。
シャツの上からカーディガンを首に巻きつけたその男は確か小畑とか言ったはずだ。
昔、嵐の番組を少し担当したこともある顔なじみだ。ニノの番組に携わることもあるらしい。
ニノは当たり障りなく相手をしながらも、時折メニューを差し出したり、男のために店員に声をかけたり、こまめに世話を焼いていた。
だけど、その男がニノの肩を抱いたり、テーブルの下で、さりげなくニノの太ももを撫でたりしているのに俺はすぐ気づいた。
「え、マジで?そんなことやってんすか?」
ニノの声が耳に届く。
「そう、だからさ…今度ニノも…来てよ。楽しーよ?」
「え?俺?なんで?」
「いや、だって俺、ニノのことかーなーり気に入ってるしさ…ぶっちゃけ、好きなんだよね」
小畑は、びっくりするニノにニコッと笑いかけた。
好き、とか…
なんで、んな簡単に言えんだろ…
「またまたぁ…小畑さん調子いいんだから。どうせ他の人にも同じこと言ってんでしょ?」
「そんなことない。ニノだけだって」
小畑はむかつくドヤ顏で言うと、ぐいっとニノの肩を引き寄せた。
…気に入らない。
ニノの…近くに座りたかったな…
笑顔で、プロデューサーの男と話しているニノを見ながら思う。
シャツの上からカーディガンを首に巻きつけたその男は確か小畑とか言ったはずだ。
昔、嵐の番組を少し担当したこともある顔なじみだ。ニノの番組に携わることもあるらしい。
ニノは当たり障りなく相手をしながらも、時折メニューを差し出したり、男のために店員に声をかけたり、こまめに世話を焼いていた。
だけど、その男がニノの肩を抱いたり、テーブルの下で、さりげなくニノの太ももを撫でたりしているのに俺はすぐ気づいた。
「え、マジで?そんなことやってんすか?」
ニノの声が耳に届く。
「そう、だからさ…今度ニノも…来てよ。楽しーよ?」
「え?俺?なんで?」
「いや、だって俺、ニノのことかーなーり気に入ってるしさ…ぶっちゃけ、好きなんだよね」
小畑は、びっくりするニノにニコッと笑いかけた。
好き、とか…
なんで、んな簡単に言えんだろ…
「またまたぁ…小畑さん調子いいんだから。どうせ他の人にも同じこと言ってんでしょ?」
「そんなことない。ニノだけだって」
小畑はむかつくドヤ顏で言うと、ぐいっとニノの肩を引き寄せた。
…気に入らない。
すげぇ、
このままこれ以上見ているのがイヤで、手洗いに立つ。
…ニノは前、
あの人はエライ人だからって言ってたけど…
今すぐ引っ剥がしてぇ…
近くを通ったときも、ふたりはかたまりみたいにくっついていた。