BL妄想です
苦手な方はお気をつけくださいませ
店に着くと、テーブルに突っ伏していた大野さんが顔を上げて、嬉しそうに声をあげた。松兄が大野さんを呆れ顔で見た後俺に言った。
「すんげー飲んでたよ」
「まじすか。なんかすみません…大野さん、帰る?俺送ってやるから」
「帰んない」
「は?なに、わがまま…」
大野さんは唇を尖らせて、立ち上がると、俺に抱きついて来た。
「もーこの、酔っ払い!」
慌てて払いのけようとしたけれど、大野さんは野生児みたいな動きで俺の手を取って、そのまま俺をぎゅっと抱きしめた。
「ニノと一緒にいる…」
大野さんの香りが、俺を抱きすくめて離さない。
「ちょ…どうした…」
「ニノんち行きたい…」
耳元で囁かれると吐息が耳にかかってぞくぞくする。俺は慌てた。
「わかったから…ちょっと、離れて…」
「なんで?やだよ」
「ほら、一緒に帰るから、な?」
子供みたいな大野さんをあやすようにしながら、松兄がまとめてくれた大野さんの荷物を受け取った。
助手席に大野さんを放り込み、運転席に座ると俺はため息をついた。
…なんなんだ。
人がせっかく、プライベートでの接触を断とうとしてるのに。
そばにいたら、
俺は絶対、離れたくなくなる。
わかってるから、
極力大野さんの私生活には関わらないようにしてたのに。
俺だってほんとは、
俺だってほんとは、
このまま帰らせるなんて、したくない…
すやすや眠る大野さんを乗せて、俺は車を走らせた。