BL妄想です
苦手な方はお気をつけくださいませ
エレベーターの中でも、大野さんにぎゅっと手を繋がれて、胸が騒いだ。
どうしよう…
家に大野さんを連れて来たことはなかった。
ふたりきりになると、
俺が何を言ってしまうのか、
どうなってしまうのかわからなくて、怖かったから。
他の男友達にはこんな感覚は抱かなかった。メンバーに対しても。
大野さんは、それだけ、俺にとって特別ってことなんだろう。
うっかりふたりきりになって、
うっかり寝ちゃったりとかしたら
目も当てられない。
でも、そんな可能性を怖がっていること自体がもう、重症だったんだよね…
今思えば…
部屋の前まで来た大野さんはいきなり止まった。
「なに、どした?早く…」
廊下に男二人が突っ立ってるのは人目を引きそうで、誰か出てきやしないかと俺はやきもきした。
「…ん…おいら、やっぱ帰る…」
「は?」
「帰る…」
ふらふらとよろめきながらエレベーターへ戻ろうとするから俺は焦った。
「ちょ、帰るったっって、どうやって…」
「タクシー」
よろめきながらも、大野さんは怒ったように言って歩き出した。
「わかったわかった、呼んだげるからとりあえず部屋入って…目立つでしょ」
流しのタクシーをつかまえさせるのは忍びない。俺は焦りながら部屋のキーを出して、大野さんを先に押し込んで自分も入ると慌ててドアを閉めた。