Villa No.14 #62 | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。




BL妄想です
苦手な方はお気をつけくださいませ



第1話→★★★

一覧→◇◇◇















Side N







笑顔の人達に囲まれて、ほどよく酔っ払っていい気持ちになってきたとき、大野さんが俺の耳元に顔を寄せた。


「な…そろそろヴィラ帰る?」


顔を見ると、俺を見つめる瞳に、甘えたような尖った唇…。瞳には酔いの他に、欲望の色も混じっている。口調はオレに質問してるけど、大野さんの全身が「帰りたい」と主張していて、俺はぷっと笑った。


「帰りましょうか」


俺が言うなり、大野さんはグラスを置いて、俺の背中に手を当てて立つように促した。


「翔くん、うちら帰るわ」


「え?もう?」


「明日帰るから荷物まとめたりしてぇし」


大野さんが用意していたようにすらすらと答えて、俺は笑いを噛み殺した。


「リゾート最後の夜なんでね」


ちょっと芝居掛かった口調で俺が言うと、翔ちゃんは噴き出した。


「そうだな。新婚さんだもんな」


翔ちゃんはくくっと笑って、「新婚さん設定」で冗談っぽく応じてくれた。本当のことがバレたら、どうしよう…と考えて頰が緩んだ。


大野さんはマリさんに挨拶がてら、ちゃっかりと魚にやるパンをもらっていた。少し離れたところにいた相葉さんや潤くんにも帰る合図を送って、俺たちはレストランを出た。










レストランの喧騒から抜け出すと、夜のリゾートは静かで、効果的に設置されたライトに彩られ、美しかった。ヴィラへ続く桟橋に差し掛かると、隣を歩く大野さんは無言で俺の手を取った。ぎゅっと握られて、その手の熱さに、これからのことが少し想像できて……どきん、と胸が鳴る。俺からもそっと握り返すと、大野さんはこちらを見た。


「あ…の…星、きれぇだな」


大野さんが照れたように小さな声で言うから、俺は思わず噴き出した。そうだよねぇ…やっぱり。リゾート最後の夜、ヴィラへ帰る道、ふたりきり、空には星。昨日思いが通じあったばかりの我々には…刺激の強すぎるシチュエーションだよね。


「きれいですね」


にこっと笑うと、大野さんもにこ…と照れたように笑って、俺の胸はまた震えた。きっと、大野さんも俺と、同じことを考えてる。俺たちの、ヴィラに帰ってキスしたい。キスして、その先は…


「なんか、照れんな…」


ぽつりと呟く大野さんが、かわいくてたまらない。つないだ手に力を込めると、大野さんは俺の好きな笑い方で、んふふ、と笑って、いきなり後ろを振り向いた。


「ん?あ…」


誰もいないことを確認した大野さんが、俺に向き直ると、ちゅ、と俺にキスをした。


「お…のさっっ」


頭がカーッと熱くなって、俺は手で口元を覆った。


「日本に帰ったら、無理だから…こんなこと」


大野さんは俺の手を取って優しく口元から離させた。そして、また、近づいてくる大野さんの唇…


誰もいないリゾートの桟橋で、ヴィラを照らす灯りと波の音に包まれ、俺たちは何度もキスを交わした。