◾︎お腹を空かせた学生時代 10歳〜15歳
小学校五年生から
父と妹の三人暮らしだった。
お母さんはいない家。
父は、調理師で
夜遅くまで仕事で家には居なかった。
自分達で洗濯し
お風呂に入り
寝る毎日。
屋根と壁はあるが
家族のぬくもりはなかった。
父が休みの日は
家でご飯を作ってくれた。
仕事の日はなにもない。
月に 2000円がお小遣いだった。
2000円…
これで一ヶ月生活できなかった。
いつもお腹を空かせていた。
お昼ご飯の時間が1番嫌いだった。
みんな、お母さんが作ってくれたお弁当を
持ってきた。
それは、眩しすぎて直視できなかった。
私のお弁当は
白いご飯だけ。
ご飯もない日は
2日連続 同じ白いご飯がはいって
一口食べて
食欲のないふりをして なおした。
空っぽのお弁当の日もあった。
家にある小麦と砂糖などで
パンケーキのようなものを作ったり
すいとん を作って
妹に食べさせた。
味気なかったが
妹は 「美味しい、美味しい」と食べていた。
家に何もない日は
生きるために
食べ物を万引きした。
スーパーのお惣菜を
妹と一緒に食べた。
小学校5年生〜中学3年生までは
こうして生き延びた。
母のぬくもりを知らず
家族の形を知らずに育った。
テレビで観る サザエさんの食卓は
夢の話のように感じていた。
こんな風に育つと
やはり、自己肯定感は下がり
社会に出ても生きにくく
道をそれたり
精神疾患を患ったりする確率が高くなる。
私は、薬物やシンナーはしなかったが
手を出せば届く状態だったので
精神的に弱くなっていたら
手を出していたかもしれない。
しかし、酒には溺れた
夜の仕事をして
身体を大事にしなかったこともあるし
身体を傷付けた。
うつ病治療の抗うつ剤で
薬に依存した。
もしも、私が
お父さんとお母さんに囲まれて
毎日手作りのご飯を食べ
安心して眠ることができたら
病気にもなってなかったかもしれない。
もしも、助けを求めに行った警察官が
真摯に受け止め
身柄を保護してくれていたら
何か変わったかもしれない。
(中2の時に警察へ逃げて行ったけど、鼻で笑われ何もしてもらえなかった。大人は何もしてくれないと絶望した)
今更、こんなことを言っても
どうにもならない。
私は、私なりに乗り越えたきた。
当時の心の痛みは
今も思い出せる。
色あせることなく
ギュッと締め付けられる。
そんな気持ちになるけど
そんな時は
「なにくそ！負けるもんか！！」
と、歯を食いしばって
虐待のニュースを観たり
同じような環境で育ったような
未成年の子を見ると
フラッシュバックかのように
この感情に引き戻される。
心がザワザワしてくる
でも数日後には
忘れたように生活をしてしまう自分。
何かできないかと考えるようになった。
今、35歳になり
子どもを3人育てている。
低所得者で
日本の貧困家庭の枠に入る状態。
それでも毎日ご飯は食べれている。
旅行にはいけない
塾にも行かせてあげれない
ゲーム機もみんなに買ってあげれない
車ももちろんない
挙げればいくらでも出てくるけど
あまり不満に思わない。
毎日ご飯を食べれて
毎日、息子に
お弁当を持たせてあげることができて
食べることができていると
満たされるものがある。
子ども達が「美味しい」と
ご飯を食べている姿を見ると
心がぽわっとあたたかくなる。
毎朝、お弁当を見ると
私もこんなお弁当
食べたかったなと、チクリ。
今日もお弁当を
持たせることができたと、ほっこり。
そんな２つの気持ちに…
子どもの6人に1人が
貧困という日本の現状。
みんながご飯食べれて
お腹も心も満たされて
過ごせるように
貧困の連鎖
世代間の連鎖を断ち切って
社会に適応して暮らしていける
まずは、自分の周りから
そんな社会を作っていきたい。
こんな私でもできることはある
こんな私だからできることはある
そう信じて。
できることから
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