自伝を二つほど読んだのでご紹介したいと思います。
まずひとつ目は国民的人気大家族番組、「痛快!ビッグダディ」の元妻、林下美奈子さんによる自伝「ハダカの美奈子」。
もうひとつは樺山伯爵家の次女、随筆家、生粋の令嬢ながら一風変わったモノの感じ方で独自の人生を切り開いていった白洲正子さんの自伝「白洲正子自伝」。1998年に88歳でお亡くなりになりました。
文体も、育ちも、人生も全く違う。生きてきた時代も、信じていたものも、触れてきた文化も。
何もかも違うおふたりの自伝ですが、続けて読むことで人生の多様さや複雑さ、色々な事を考えることができました。
ただ実は、二人共「人々の注目を集める生き方をしている」という点では同じであり、
二人の世界はいわゆる「普通の人」がおよそ体験できない人生であるという事が、私がこの二つの自伝を読んでみたいと思った動機になります。
美奈子さんは30歳にして6人の子供を持つシングルマザー。生い立ちこそ平凡なものの、実親からのDV、15歳での妊娠、元旦那からのDV、荒れていた時代の体験、そして大家族として既に世間から注目を浴びている男性と結婚、そして2年で離婚しています。その後は芸能界デビューを飾り、アメブロランキングではブログ登場からずっと一位です。
白洲正子さんは永田町のお屋敷(鹿鳴館をデザインした設計士によるもの)で薩摩軍人樺山資紀伯爵の孫娘として生まれ、幼少期より能の世界に親しんだり14歳でアメリカに留学したり、(そこでも優秀な成績を収める)し、白洲次郎氏と結婚し、骨董に傾倒し・・・秩父宮勢津子親王妃(皇族)と交友があったりと正に天上界の暮らし。
14歳の時、日本で最初の1万㌧を超える大型客船天洋丸に乗りアメリカへ渡った正子
美奈子さんは15歳の時高校でヤンキーグループに認められ、仲間に入り、紫の口紅をつけたりスカートを短くしたりして青春を過ごします。
かたや白洲正子さんは15の時には天井丸に乗船しアメリカ・ハートリッジスクールに留学。桁外れのお嬢様たちとのびのびスポーツや勉学に打ち込んでいます。
どちらも一人の女性の人生、生き方。感情があり、事件があり、別離があり、出会いがある。
内容をじっくりと読み込んで書き手の人生に沿っていくと、そこには正解・不正解という言葉では括れない何かを感じ取る事ができます。
くるりと見渡した世界だけが全てじゃない、様々な時代、境遇の女の生き様を、
これからもずっと追いかけていきたいと思いました。
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