これまで女性議員の多くが、母親目線とか消費者目線とか子供のためとか主張してきた。こういうことが男権社会では見落とされがちなのかもしれないけど、そんなわかりやすいこと語る前にしなきゃいけないこと、いっぱいあるからね。

というか、女性議員たちには、現実的な地ベタで生きている女性たちの、今、ホントに困っていることなんか、実はわかっていないんだろうなと思う。すごく恵まれた環境の中、お嬢様大学や東大を出て、官僚になったり、女子アナになったりして、華やかな場所でしか生きてこなかったオンナが政治家になったって、男と変わらない権力志向しかないよね。

だから、品行方正に結婚して専業主婦になって、きちんと子育てをして・・・という女性像しか想像することができないの。こういうのとはまったく違う子育てが多数あるという現実、離婚した女性の多くがまともに慰謝料ももらえずに生きているという現実があるのに、ちゃんとレールに則った上で授かった子供を育てるオンナが正しいという前提で話をするわけ。

嗚呼、やだやだ。

-マツコ・デラックス 続・世迷いごと 男権社会での生き方より

私が江東区区議会議員である三次ゆりかさんにインタビューをしようと思ったきっかけや想いは、上記のマツコさんの文章が表してくれている気がします。

女性議員の中にも色々な方がいて、タレントやアナウンサー出身、マツコさんがお書きになっているようなエリート出身、2世議員など様々な訳ですが、

一般市民として私が女性議員に望んでいることは、実際に世の中の現実を知っているということ。そして、知っている上でどうにかして今の世の中を良くしたいと本気で思っているということ。この2点なんです。

三次さんはシングルマザーであり、会社を経営してきた社長でもあり、全国規模のママイベントを数多く盛り上げてきたJ★mothersの代表でもあり、

若く、苦労知らずにしか見えない外見からは似つかわしくない経験もされてきました。

しかしそのお話をされる三次さんは底抜けに明るくポジティブで、

短いインタビュー時間でしたが、本気で世の中を良くしたい、わたしが政治をおもしろくする!という強い想いが伝わってきました。

彼女なら、誰もが目を背けてしまうような悲しい現実だって少しずつ良くしてくれるかもしれない・・・そんな風に思える女性が実際に議員としてのキャリアをスタートさせたことを本当に嬉しく思っています。

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■政治を志したきっかけ

三次さん、今日はよろしくお願いします!
早速ですが、そもそもどうして政治家になろうと思われたんでしょうか?

三次ゆりか議員(以下/三次) もともとは、政治家に対して不信感を持っているタイプだったんです。選挙活動とかもうるさいし、実際のところ議員さんって何をしているのかも分からなくって。

で、ある日ふと、「自分が政治家になったらどうだろう?」と思って。自分が生活をしている上でおかしいなって思うこと、自分でどうにかできないかな?と考え始めたんです。

実は17歳の時、バイクを運転していて事故を起こし、頭蓋骨骨折脳挫傷で死にかけたことがあり…無事意識が戻ってからは、やっぱりなにか人の役に立つことをして生きていきたい!という気持ちをずっと持っていました。

で、まずは周りの人間(ママ友)に話を聞いてみたんですよ。そしたら、意外と反対する人が少ない。
逆に「ゆりかなら向いてる、出来るよ」「ゆりかなら面白いことやってくれそう」という意見が9割くらいだったんです。

それで以前から親交もあった自由を守る会の上田令子議員の後押しもあり、出馬することにしました。

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ささっとお昼を済ませながらのインタビュー

-そうだったんですね!そんな大怪我をされて…ただ、普通は志してもなかなか出馬までスムーズにいかないですよね。

三次 当時は会社も経営していたのですが、社長仲間達の3割は反対していましたよ。わざわざ何で議員になる必要があるのかとか、世の中を良くしたいのなら経営者として色々世の中にアプローチしていけばいい、とかそういう意見もありました。


■ママでありながら選挙活動をする厳しさ

-でも、無事ご当選されて今に至るわけですもんね。選挙期間中はそれこそめまぐるしい忙しさだったと伺いましたが...ママさんということもありますし、色々大変なことも多かったのでは?

三次 本当に息つく暇もないほどの忙しさでした。実は当時の記憶って殆どなくて。それくらい忙しかったんです。

それに、 選挙運動には色々な制約があり、その一つに、選挙カーに子供を乗せてはいけないというのがあるんですよね。なのでシングルマザーである私は必然的に学校に子供を送ってからや、預けている間の活動に限定され、なかなか人気のエリアを回る事は出来なかったんです。

選挙運動を手伝ってくれる人も、仕事に融通が利く人々のみだったので、平日はそれはそれは寂しかったですし・・・ですが、選挙カーに乗り始めて、だんだん自分自身の知名度が上がっていくのを体感して、小学生の子供達が声をかけてくれたりするようになったのも嬉しかったです。


-そんな中でも、選挙期間中は沢山のお友達に支えられたと伺いました。

三次 そうですね、やっぱり同じママであるママ友にすごく助けられました。イベント運営で知り合った同世代で同じシングルマザーの友人が、選挙の為に私のHPを制作してくれたり。

そういった、私が忙しいのを分かって、利害関係なく応援してくれる友人達の姿に、やっぱり愛情を感じました。そういった人たちが、私の選挙運動を後押ししてくれたのではないかな、と…

■勝因は縁とタイミング

-ご自身が考える当選の勝因は何だったと思われますか?

三次 そうですね、本当に地道なことだったのではないかな、と思います。江東区の町を歩きつぶして自分の思いを区民の皆さんに伝えてきたこと、やはりそれがよかったんじゃないかと。チラシを配ったり、おひとりおひとりとじっくりお話したり。

-Facebookにも毎日色々な場所に行っている姿がUPされていましたよね。

三次 それだけをやっていたから、という訳でもないと思いますが…選挙活動に色々アドバイス下さる方にも出会えたし、応援してくださる議員の先生にも出会えましたし、やはり色々なご縁やタイミングも重要だったと思います。


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そして無事当選

-三次さんの、政治への意気込みやモチベーションの源泉を教えてください。

三次 私のモチベーションって、基本的には「困っているママを助けたい」という想いなんです。

私は元々子供が大好きで早く子供を産みたいと思っていて、そんな時、自分を好いてくれる人がいたので、妊娠したはいいのですが…紆余曲折あり、結局生後2ヶ月でシングルマザーになり起業して。

なので、同じように例えばシングルマザーとして苦労しているママ達や、産後の不安定な精神状態で色々なことをこなさなくてはならないママ達の助けに少しでもなりたい、と思っています。

あとは、選挙期間中に、子持ちのシングルファーザーや、生後5ヶ月の子供がいる20歳のシングルマザーなどからの応援メッセージが入ったりして、頑張ろう!という気持ちを後押ししてくれました。

-色々とご経験された三次さんの言葉にはやっぱり重みがありますね。三次さんはママ支援だけでなく、医療介護のイベントなどにも積極的に参加されていると伺いましたが・・・

三次 出産後何とか状況を立て直した私に、今度は祖母の介護という現実が待っていたんですよ。介護の現場というのは、ものすごくシビアで。これは介護を経験した方なら皆さんご存知だと思うんですが、同じ家族でも介護に対して温度差がある。

例えば私は大好きな祖母の願いは何でも聞いてあげたいと考え行動しますが、実際に一緒に祖母と住んでいる父としてはそんなことまでしなくていい、という判断だったり。

私は経営者でしたので時間の融通を効かせ毎日出来るだけのことはしましたが、やはりそこにもっと民間の力や地域社会の助けなどがもっと良い形で入れば、どんなにか高齢者を支える家族にも良いだろうと感じる事は多くありましたね。

-本当に外見からは想像できない人生経験ですよね。

三次 そうですかね?笑 でもやっぱり皆、経験しないことはわからないし、わからないことは沢山ある。出産や介護もそうだけど、それに限らず、防災とか、いろいろなことにもっと当事者意識を持って欲しいな、と思います。そのためにも色々と邁進していきますよ!
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子供が大好きな三次氏。控え室にてインタビューの様子

これからも是非、三次さんらしい活動を楽しみにしています。
本日はありがとうございました!


キラキラインタビュー後 雑感キラキラ

三次ゆりかさんは、めったにいないタイプの不思議な印象の女性でした。

子供が大好きとは知っていましたが、インタビューに同伴した娘にも優しく、快く子連れ参加を承諾してくださったり、ベビーシッターやチャイルドマインダーの資格も持ち、電子書籍で育児書も2冊出版しているほど。

と同時にとにかくロックな性格という印象で、規格外のパワーを感じる語り口調に、流行りのアドラー的「嫌われる勇気」を持ち合わせていると感じました。

この日も適当に買ったと言う1000円のバッグで区役所入り。「人からどう見られるか」を根本的にあまり気にしない性格なのかもしれません。(いやもちろん政治家としては考えてらっしゃると思いますが・・・)

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インタビューをしながら、私は女性議員というのは、これくらいの芯の強さがあり、上手に自分にない部分に関して周囲に援助を求めることが出来、そして周囲の人間が思わず助けたくなるような、応援したくなるような人柄をだということも大事なんだ・・・と考えていました。

とにかく三次さんは周囲の人が思わず応援したくなるような不思議な魅力を持っているんです。

表と裏を感じさせない言動、先輩議員とのやり取りから垣間見える彼女の人柄・・・

事故、離婚、介護、シングルマザーとしての子育て、会社経営など、色々な人生経験をされてきたからこそ説得力のある政治理念を元に、今後とも是非頑張っていただきたいと思っています。

冒頭に引用したマツコ・デラックスさんが書かれた文章のように、今の時代、きちんと結婚をして妊娠して出産して、働かずに専業主婦として子育てをするという事がマジョリティではない時代です。

普通に生きていても、本当に、人生っていつ何が起こるか分からない。特に女性の人生は出産や離婚などによって大きく左右されてしまいますよね。

だからこそ本来は政治に頼るというよりは、自分自身で色々な取捨選択能力を身に付け、個人でそれぞれの幸せを見つけていかなくてはならない時代だと思うんです。

画一的にはい、コレが幸せの形ですっていってもその尺度からどんどん人が溢れていく時代。

上の世代の「いい子像」「いいママ像」をそのまま体現しようと思うと、非常に生き辛くなるんですよね。

そんな時代に、三次さんのような女性が議員となり、その生き様や議員としての活動を見せてくれることで、多様な女性の生き方が認められるような社会になっていけば良いな…なんて思ったのでありました。