お笑い芸人の又吉直樹さん原作。累計251万部を突破し、芥川賞を受賞した作品「火花」がNetflixでドラマ化されたということで早速視聴してみました。

全10話530分。総監督を廣木隆一監督、主演は林遣都さんと波岡一喜さんという方。

恥ずかしながら、原作も未読で、主演俳優のお2人のことも知らないという全く無知な状態からこちらのドラマを観始めましたが、信じられないほどハマりました。


©公式サイト

3日に配信がスタートして、2日間で全部視聴。

このドラマは、同じNetflixのオリジナルドラマ「ハウスオブカード」とは違い、

別に下院議員が合衆国大統領への野望の階段を上る為に人を陥れたり殺したりする派手な展開はありません。

売れない芸人「スパークス」の徳永(林遣都)と、営業先の熱海の花火大会で出会ったのが先輩芸人「あほんだら」の神谷(波岡一喜)。

この2人が夜の吉祥寺や繁華街でひたすら飲みまくったり、若手芸人が弱小事務所に所属しながらも懸命に生きていく10年を丁寧に描いた作品です。(と、感じました)

あらすじ~公式ホームページより~

売れない芸人の徳永は、熱海の花火大会で、先輩芸人である神谷と電撃的に出会い、「弟子にして下さい」と申し出た。

神谷は天才肌でまた人間味が豊かな人物。「いいよ」という答えの条件は「俺の伝記を書く」こと。

神谷も徳永に心を開き、2人は頻繁に会って、神谷は徳永に笑いの哲学を伝授しようとする。吉祥寺の街を歩きまわる2人はさまざまな人間と触れ合うのだったが、やがて2人の歩む道は異なっていく。

徳永は少しずつ売れていき、神谷は少しずつ損なわれていくのだった。

お笑いの世界の周辺で生きる女性たちや、芸人の世界の厳しさも描きながら、驚くべきストーリー展開を見せる。

詳しいストーリーや批評は他のプロの方がたくさん書いてらっしゃるので、私はただ単に感じたことをそのままに書かせていただきますが、

やっぱりこのドラマ、素人の私から見てもまず映像のクオリティが日本の既存のドラマと比べて格段に美しいんです。

特に1話目のOPの花火のシーンの空撮の豪華さ。そのあまりの映像の美しさに、まずはここで心を掴まれました。

原作を知らない私はこの徳永は又吉さんのことなのかしら?ぐらいの気持ちでドラマを見続けていましたが、

見続けるうちに不器用な徳永と神谷の交流に思いっきり感情移入してしまい、最終エピソードでは号泣。

携帯での通話シーンの2画面構成とか、ガラケーメールのテキストが画面上に出てくるところとか、徳永が旅館で伝記書き始めるシーンのライティングの美しさとか、

そういう技術というか監督さんや技術さんのセンスとかプロフェッショナル過ぎる仕事ぶりみたいなのも痺れるんですが、

本当に徳永と神谷にしか見えない主演俳優のおふたりの演技というか、演技に見えないのであれなんですけど、ストーリーと俳優さんも本当にピタッとハマっていて、もう全て完璧に調和が取れているんですよね。その作られた奇跡に痺れます。

それが、Netflixという尺とかにとらわれない新しい動画配信のプラットフォームというスタイルともガッチリハマって、

いやもう皆様がそれぞれプロのお仕事されていて、ほんと時代とかタイミングとかも合って、このドラマが今、観られるんだななんて思ったらなんか感動しました。

~ここからネタバレありです~

netflixオリジナルドラマ「火花」全10話の中で、痺れるシーンやエピソード、沢山あるんですが、

まずは徳永の相方、山下役の方がネプチューンの原田泰造さんにしか見えないのが全編通しての1番印象に残ってます。

徳永の幼少時代の家が細かいところまで再現されているのもこだわりと情熱を感じますし、

お酒飲むシーンがいちいち本当に楽しそうなところもいいですよね。

私も徳永と一緒に、飲みのシーンを見る毎に神谷さんに惹かれていきました。

神谷さんの新旧彼女の作る鍋も料理も全部おいしそう。

ああやって甲斐甲斐しく男の世話を焼く女の人って、いまどき希少価値だよなぁ~とか思ったけれど…

あとは一度聞いたら忘れられない「太鼓の太鼓のお兄さん」関連のシーン。

それから、神谷さんの初代彼女まきさんのキャラ描写が最高です。

黒髪ボブに少しだけメッシュ入ってるとことか、ファッションとか、めっちゃ可愛いのになんか神谷さんを養ってそうなオーラが全体から出ているスタイリング。

後輩との飲みにお金まで持してくれるなんてそんないい女いるんだ…神谷さん、しょーもないなぁなんて普通なら思いそうなんですが、なんかやはり全編通じて神谷さんのことは嫌いになれません。

若者って、若い男の子たちってこんな感じでお酒飲むんだなぁなんて目線でも楽しめました。

後半借金で首が回らなくなった神谷さんですが、最後救いのあるシーンで終わって本当に良かったです。

スパークスの方が売れてきて、あほんだらが落ちるとこまで落ちる描写のあたりから「もしかして神谷さん死んじゃうのかな」とドキドキしてたんですが、死ななくて良かった。

本当、それだけで良かったなぁなんて。キャラクターに感情移しまくったドラマなのでありました。