ラグビー好きの夫と楽しめるかも、と視聴したnetflixオリジナル映画、「傭兵のハカ」。
前日には、実在するNFLの選手、マイケル・オアーの人生を描いた映画を観たのですが
あちらは、サンドラブロック主演の正にハリウッド映画らしいハリウッド映画で
一方こちらは、芸術性の高いフランス映画…という感じ。
作りが本当に違うんですよね。
ハリウッドの方は3幕構成というか、きちんと起承転結があり泣かせ笑わせ興奮させみたいな、エンターテイメント魂を感じて純粋に楽しめましたし
今回の「傭兵のハカ」はなんというか、フランス映画でかつnetflixオリジナル作品ということもあり、とことん現実的です。
※以下かなりのネタバレ含むあらすじと感想
ニューカレドニアの島に住む19歳の青年。毒親と説明されてますが、普通に酷い虐待をする父親の元で育った主人公ソアヌ。
電気コードクルクルに巻いて背中を鞭のように叩いたり、母親不在だからかとにかく酷い。
ソアヌはラグビーをやっており、110kgの巨漢でフランスでプロ入りの話が出る。お父さんはもちろん反対。弟もいて、僕も連れてって、無理だよ…という下りで早速胸が痛くなります。
しかもフランスに着いたら先方に140kgないからといって追い返されそうになるし
なんとかツテを辿って所属したチームでも苦労続きです。
最初のオープニングの楽曲から、前日に見たNFLの選手の自伝的映画とは全く違う雰囲気だったので覚悟して観てたんですが
ニューカレドニアとか、あの辺りの人々の価値観や生活描写とかが丁寧でリアルで映像も美しく、半分NHKBSのドキュメンタリーをみてるみたいな感覚になります。
虐待親父、一応息子の為にと送別会とかはしてくれるんですが、豚を一頭しめるんですね。で、そのシーンとかも普通に描くんです。一部始終を淡々と。
そういうシーンが、NHKBSのアマゾンのヤマノミ族だかなんだかのドキュメンタリー観た時の視聴感に通じるものがありまして…
フランスに渡る費用を借金していた男が彼女と住んでる部屋に来てそこでボコボコにベルトで痛めつけられたりとか
いきなり誰もいない駐車場で車に追いかけられたりとか
主人公、とにかく追い詰められる。
ギリギリまで、現実をこれでもかと描写した後に
弱小クラブから大手への移籍がかかった試合の時、「ハカ」を披露するわけです。
控え室で、意気消沈のチームメイトにハッパかける為なのか、自分に向けてなのか、
ソアヌの生き様とこれまでの人生を全て表すかのようなハカを披露する。
あの20秒程のハカのシーンの為の1時間だったのね、と思うくらい凄いシーンでした。
もちろん鼓舞されるチームメイト。
移籍もトントン拍子に決まり
19歳の少し怯えた目をした青年は、次第に自分の暴力性に気付いていくわけです。
自由になるお金を手にし
弟を助けに島へ戻るソアヌ。
虐待親父との対決も見ものでした。
なんだか、本当に映画というよりソアヌの人生を観た、という感覚に近く
なんだか感想を書かずにはいられなかったので、書いてみました。