こんにちは
ウルトラマラソンランナーで、日本一タフな質量分析屋、高橋です。
このシリーズでは、私が質量分析を始めてから現在に至るまでの、質量分析計の性能の変化と、それに伴う限界の変化について書いています。
前回は、質量分析計のマススペクトルを記録するスピードが向上したことで、ガスクロマトグラフとの接続が可能になったことを書きました。
http://s.ameblo.jp/yutaka-ironman/entry-12103607104.html
↑の中で、GC-MSとGC/MSという、似ている略語がでてきます。
これ、タイプミスって訳じゃなく、ちゃんと意味があります。
GC/MSは、Gas Chromatography Mass Spectrometry (ガスクロマトグラフィー質量分析)の略語として使われ、分析法を示します。
一方、GC-MSは、Gas Chromatograph Mass Spectrometer (ガスクロマトグラフ質量分析計)の略で、装置を表します。
さて、今回から、イオン化の話を書いていきます。
質量分析計はイオンを分析する装置で、試料分子は、何らかの方法でイオンにしないと分析できません。
分子をイオン化する方法をイオン化法、そのためのデバイスをイオン源と言います。
GC/MSでは、試料分子を加熱・気化させて電子線を照射する、電子イオン化(Electron Ionization; EI)が用いられます。
しかし、5000 万種はあると言われる有機化合物の中で、加熱して気体になる性質すなわち沸点をもつもの(揮発性化合物)は、ほんの極一部なんです。
私達の身体を構成するタンパク質・アミノ酸・糖・脂質など、あるいは食品成分など、
有機化合物のほとんど(多分9割以上)は、
加熱すると分解してしまうので、
EIというイオン化法、すなわちGC/MSでは分析できないのです。
質量分析のイオン化法がEIしかなかった時代、揮発性のない化合物(難揮発性、あるいは不揮発性化合物)は分析できないという限界がありました。
そのような化合物を分析するために、分子を気化させずに、液相あるいは固相から、直接イオン化する様々な方法が開発されました。
詳しくは、次回以降に書いていきます。
ではまた~
Facebook
https://m.facebook.com/Yutaka.Ironman.Takahashi
友達申請はメッセージを添えてお願いします。
ホームページ
http://www.ms-solutions.jp/index.html