限界9:質量分析計の巻その6 | 日本一タフな質量分析屋のブログ

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日本で唯一、質量分析に関するコンサルタント、髙橋 豊のブログです。エムエス・ソリューションズ株式会社と株式会社プレッパーズの代表取締役を務めます。質量分析に関する事、趣味の事など、日々考えていることや感じたことを綴っています。

こんにちは!

ウルトラマラソンランナーで、日本一タフな質量分析屋、高橋です。


このシリーズでは、私が質量分析を始めてから現在に至るまでの、質量分析計の性能の変化と、それに伴う限界の変化について書いています。

前回は、質量分析計のマススペクトルを記録するスピードが向上したことで、ガスクロマトグラフとの接続が可能になったことを書きました。
http://s.ameblo.jp/yutaka-ironman/entry-12103607104.html

↑の中で、GC-MSとGC/MSという、似ている略語がでてきます。

これ、タイプミスって訳じゃなく、ちゃんと意味があります。

GC/MSは、Gas Chromatography Mass Spectrometry (ガスクロマトグラフィー質量分析)の略語として使われ、分析法を示します。

一方、GC-MSは、Gas Chromatograph Mass Spectrometer (ガスクロマトグラフ質量分析計)の略で、装置を表します。



さて、今回から、イオン化の話を書いていきます。


質量分析計はイオンを分析する装置で、試料分子は、何らかの方法でイオンにしないと分析できません。

分子をイオン化する方法をイオン化法、そのためのデバイスをイオン源と言います。


GC/MSでは、試料分子を加熱・気化させて電子線を照射する、電子イオン化(Electron Ionization; EI)が用いられます。


しかし、5000 万種はあると言われる有機化合物の中で、加熱して気体になる性質すなわち沸点をもつもの(揮発性化合物)は、ほんの極一部なんです。


私達の身体を構成するタンパク質・アミノ酸・糖・脂質など、あるいは食品成分など、

有機化合物のほとんど(多分9割以上)は、

加熱すると分解してしまうので、

EIというイオン化法、すなわちGC/MSでは分析できないのです。


質量分析のイオン化法がEIしかなかった時代、揮発性のない化合物(難揮発性、あるいは不揮発性化合物)は分析できないという限界がありました。


そのような化合物を分析するために、分子を気化させずに、液相あるいは固相から、直接イオン化する様々な方法が開発されました。


詳しくは、次回以降に書いていきます。


ではまた~ルンルン


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