ウルトラマラソンランナー、日本一タフな質量分析屋、高橋豊です。
今まで、いくつかのテーマの中で質量分析に関する記事を書いてきましたが、
分かり易くするために、”質量分析”のテーマを作りました。
現在、ホームページのリニューアル作業中で、完成したらブログもそちらに
移行しますので、さらに見やすいように整理したいと思います。
今日はMS/MSについて書いてみます。
昨日書いたこの前職を辞めた理由に関する記事↓の中で
http://ameblo.jp/yutaka-ironman/entry-12131964638.html
LC-MS/MSという言葉が出てきますので、その解説です。
MSは、質量分析(mass spectrometer)の略なので、
MS/MSは
質量分析/質量分析
となります。
文字通り、質量分析を二回続けて行うという意味です。
なんのこっちゃ?
と思う方が多いと思うので、できるだけ簡単に解説します。
質量分析には、質量分析計という分析機器(装置)を使います。
質量分析計はイオンを分析する装置であり、ある化合物を質量分析すると、
基本的にはその分子の質量を知ることができます。
例えば、お酒に含まれるアルコールはエタノールで、その質量は整数では46です。
測定する化合物がエタノールであることが予測できていて、質量分析の結果から
46という数値が得られれば、
確かにこれはエタノールだった
ことが確認できます。
しかし、全く未知な化合物を質量分析する場合、分子の質量だけ分かっても
その化合物がどんな構造をしているのか、そもそも何という名前の化合物なのか
までは分かりません。
質量が同じで異なる化合物というのは、この世界には沢山存在しているからです。
そこでMS/MSが必要になってきます。
またまたエタノールの例で説明しますと、
最初のMSで46という数値(m/z 46のイオン)が得られます。
このイオンにエネルギーを与えて壊して小さなイオンにして、
それを二番目のMSで測定します。
そうすると、二番目のMSでは、
m/z 29,17,15などのイオンが得られます。
17は水酸基(OH)、29は46から17を引いた残りでCH2CH3、15はCH3
に相当することが予測できるので、
この化合物はエタノール(CH3CH2OH)である可能性が高いということになります。
46という分子全体の質量情報だけよりも、
それを壊してより小さなイオンを作ることで分子の部分構造の情報が得られる
MS/MSという技術は、
現在の質量分析にはなくてはならない方法になっています。
私の今の仕事でも、ほぼ10割MS/MSを使っています。
MS/MSから得られるデータは解析が非常に難しいので、
経験の少ない方には無理だと思いますが...
MS/MSデータの解析支援も行っていますので、お困りの場合はお気軽にご相談下さい。
ではまた~
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