ゴミ箱に入れかけて、何となく躊躇われて戻した、ブルーと白のストライプの小さな冊子。

夏真っ盛りの、とある日曜日の午前中。
2日前のゴルフでの筋肉痛が残る身体をソファに横たえ。

何の気なしにページをめくった冊子に、私は、釘付けになった。


因島、生口島(瀬戸田)、江田島、音戸、、、


広島の瀬戸内海にある島々と町が、キラキラと輝く瀬戸内の光とともに私に語りかけてくる。
まるでリアルな映画をみているように。


そして同時に、思い出す。


台風の影響によるどしゃぶり雨の中ドライブした、しまなみ海道。

雨の中、立ち寄ったジェラートやさんで食べた、瀬戸内のみかんやレモンの爽やかな味。

ジャムやのおばあちゃんが教えてくれた渡し船に乗り、出会った夕陽。

1時間に1本しか無い呉線が止まり、車内でパンをかじりながら見た海。

短い時間の中で、大久野島で出会った沢山の野生のウサギたち。


全ての、愛しい想い出たち。


もし、晴れだったら。

もし、電車が時間通りに動いていたら。

出会えなかった、人、景色。
そして経験。


日常は、効率を重視し、いかにスムーズに物事を進め、成功させるか、に重きをおいている。


旅にでると、その基準が消え去る。

非効率、ハプニング。
それらがもたらしてくれる、一期一会の出会い。

旅で経験する全てが、人生中でキラキラと輝く宝物になっていく。


ゴミ箱に捨てかけて戻して、読んだ、『瀬戸内ゴーランド』。


私の旅の記憶に、より一層、輝く彩りをあたえてくれたこの冊子を、ガイドブックを並べた本棚にそっとに置いた。


瀬戸内ゴーランド

※この冊子は、広島旅行で立ち寄ったどこかのお店のレジ脇に積んであったものです。無料配布だったので貰ったものの、旅行中は読まずに東京に持ち帰ってそのままになっていました。

「瀬戸内しまのわ2014」というプロジェクトの一環で作製されたもので、瀬戸内の島や町を舞台にした、いくつかの短い小説、エッセイ、旅行記などが入っています。



★私が実際に旅行した、広島・瀬戸内旅行の写真付きブログはこちら

1日目 ~猫の坂とグルメの街 尾道編
2日目(前篇) ~しまなみ街道ドライブ
2日目(後篇) ~向島での出会い
3日目 ~野生のうさぎ700匹と毒ガスの島・呉線編