最近も多い相談の一つです
Facebookで流れてきたこのテーマ、最近多い相談ですので便乗してご紹介します。
団塊の世代の社長が、社長だけに65歳になってもまだまだ現役で働かれることも珍しくありません。
いや、私の周りでは引退される方の方が少ないです。
そのような状況で特に聞くようになったのが、
「年金もらいたいんだけどどうしたらいい?」
という相談です。
社長は若い頃から給与が高かったために、65歳になられた今は結構な金額の年金がもらえます。
しかし、まだ現役でバリバリ働き給与もとっているために、年金が全額支給停止になっているのです。
そこに腹が立ち、このような相談が出てくるわけです。
さて、どのような方法が考えられるでしょうか?
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そもそもの年金カットの要件は?
解決策を見る前に、年金カットがどういった要件で行われるのか見てみましょう。
65歳以上の年金受給者で厚生年金に加入している方、及び、厚生年金適用事業所で雇われる70歳以上の方で、厚生年金加入者同様一般従業員の4分の3以上の時間または日数働く方については、老齢厚生年金の月額と、「総標準報酬月額相当額」(標準報酬月額と、直近1年間の標準賞与額の合計を12で割った金額)の合計が47万円を超える場合は、その超える部分の金額の2分の1が支給停止されるのです。
社長が、年金もらうために引退?|大阪の補助税理士 きままに税務会計↑上記エントリの「46万円」は、平成27年4月より「47万円」に改正されています。
また、65歳未満でも、さらに基準額は28万円と厳しめになり、同じく老齢厚生年金の月額と「総報酬月額相当額」により一部または全部の支給停止が行われます。
ややこしい在職老齢年金を過去エントリから振り返りましょう|大阪の補助税理士 きままに税務会計通常は、社長が減額や支給停止を避けるためには、金額が引っかからないように給与を減額するか、厚生年金に加入しなくてすむようにするしかないのです。
では年収を変えずにもらうには、、、
しかし、上記の説明からすると、収入を下げるしか方法はなさそうです。
まさか社長が退任して非常勤役員になり、厚生年金に加入しない状態にしておいて報酬は据え置きというわけにもいかないでしょうし。
ではどうすれば、、、
そう、そこで登場するのが「事前確定届出給与」を使う方法です。
通常は役員報酬は定期同額といって毎月同額を支給しなければ損金にできず、賞与などもってのほかですが、この届出を提出してその通りに賞与を支給することにより、役員賞与を損金にできる制度が用意されているのです。
なぜ賞与の支給で年金がもらえるのか?
そこには上でご紹介した「総報酬月額相当額」の「標準賞与額」に秘密があります。
「標準賞与額」は、賞与支給額をもとに決められる、厚生年金保険料率を掛ける金額ですが、こちらには上限があるのです。
それが1回あたり「150万円」です。
それ以上についてはいくら支給しても計算上は150万円になるのです。
つまり、月々の役員報酬をぐっと落として標準報酬月額を減少させ、150万円を大きく超える役員賞与を支給することで、年金を受給することができるという理屈になります。
例えば、年収1200万円(月額100万円)、老齢厚生年金月額10万円の代表取締役について考えてみましょう。
厚生年金保険料の計算上標準報酬月額は62万円が最高額ですので、この段階で年金月額10万円と足すと72万円。年金は全額支給停止です。
これを、「事前確定届出給与」の届出をすることにより変更してみましょう。
例えばこう。
月額10万円(年額120万円)、賞与(年1回)1080万円。
合計は1200万円で変更なし。
賞与は1080万円も支給していますが、標準賞与額は150万円のため、「総報酬月額相当額」は(120万円+150万円)÷12=22.5万円となります。
これに厚生年金月額10万円を足しても32.5万円となり、47万円を下回ります。
つまり満額支給が可能になりました。
めでたしめでたし。
個人的には、法的な問題は出ていないと言いながらも違和感を感じざるを得ない方法ですが、現状フタをされていない以上、勧める方々も多いようです。
この方法は、年金受給に関わらず、社会保険料削減を狙う場合にも使われていますね。
これについては以前ご紹介しています。
事前確定届出給与による社会保険料削減!?|大阪の補助税理士 きままに税務会計↑
ちなみに、健康保険に関する賞与の限度額は、平成28年4月1日からは573万円(現在は540万円)に引き上げられます。
この「事前確定届出給与」は、決算後の株主総会での決議後、1ヶ月以内に税務署に事前確定の届出を行わなければなりません。
もし検討される場合にはこのタイミングにもご注意ください。
それにしても、違和感しか感じないこの方法、削減できればなんでもいいのかとも思いますが、お客様が希望されるときに提案するのが良いのか、全く無視もできないし、と、大変悩ましいですね。
あとがき
確定申告期限は明日です。
まだ終わっていない方、まだ間に合います!
最後まで頑張りましょう!
私は今日なんとか送信し終えました。
明日は身内の申告を1件して本当に完了です。