賞与の健康保険料上限が改正!


 賞与にも普通の料率で社会保険料を徴収する「総報酬制」が導入された2003年(平成15年)以後、特に健康保険については重い負担になっています。厚生年金はその分将来返ってくるという意味でまあマシですが、健康保険は受ける医療は変わらないのに保険料が上がることになるためです。

この賞与にかかる健康保険料計算にあたっての「標準賞与額」上限が引き上げられます。
2016年4月~2017年3月の年度からです。

今回はこちらのご紹介です。

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540万円→573万円


 「標準賞与額」といえば、賞与支給額を千円未満切捨てした金額とされており、これに健康保険料率を掛けることで健康保険料を計算します。

但し、標準報酬月額同様に、その金額には上限があります。
健康保険の場合は、4月から3月までの年度での賞与額を集計して、上限を超えた場合にはその超えた部分には健康保険料はかかりません。

この上限が、
2016年4月1日から2017年3月31日までの年度(平成28年度)からは、「573万円」に引き上げられます。
これまでは「540万円」でしたので、33万円のアップです。

大変な増額、ですが、年間で573万円、540万円という世界ですので関係ない方も多いですね。
さほど影響を受けない改正なのかもしれません。

ちなみに厚生年金保険料については1回あたり150万円が上限で変更なしです。


過去のエントリでも結構影響があります。
私のブログもそうですが、ブログやホームページというものは、改正があると関連エントリが責任を持って確実に訂正される保証はありません。
調べ物をする際には、最後は官庁のページや条文などをあたるのが望ましいですね。
(自分への戒めとしても、、)

【関連エントリ】訂正しなければ、、、、
健康保険の標準賞与額は、転職した場合でも年度内なら通算できる!!!|大阪の補助税理士 きままに税務会計



賞与の社会保険料も給与とは違います|大阪の補助税理士 きままに税務会計



給与と違う賞与計算時の控除額計算まとめ(雇用保険、社会保険、所得税)|大阪の補助税理士 きままに税務会計



事前確定届出給与による社会保険料削減!?|大阪の補助税理士 きままに税務会計




あとがき


確定申告はなんとか終了です。
落ち着けるかと思いきや、そうはならないのが我らの定めです。
でも落ち着いていろいろ考えていきたいですね。

最近も多い相談の一つです


Facebookで流れてきたこのテーマ、最近多い相談ですので便乗してご紹介します。

団塊の世代の社長が、社長だけに65歳になってもまだまだ現役で働かれることも珍しくありません。
いや、私の周りでは引退される方の方が少ないです。

そのような状況で特に聞くようになったのが、
「年金もらいたいんだけどどうしたらいい?」
という相談です。

社長は若い頃から給与が高かったために、65歳になられた今は結構な金額の年金がもらえます。
しかし、まだ現役でバリバリ働き給与もとっているために、年金が全額支給停止になっているのです。

そこに腹が立ち、このような相談が出てくるわけです。
さて、どのような方法が考えられるでしょうか?

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そもそもの年金カットの要件は?


解決策を見る前に、年金カットがどういった要件で行われるのか見てみましょう。

65歳以上の年金受給者で厚生年金に加入している方、及び、厚生年金適用事業所で雇われる70歳以上の方で、厚生年金加入者同様一般従業員の4分の3以上の時間または日数働く方については、老齢厚生年金の月額と、「総標準報酬月額相当額」(標準報酬月額と、直近1年間の標準賞与額の合計を12で割った金額)の合計が47万円を超える場合は、その超える部分の金額の2分の1が支給停止されるのです。
社長が、年金もらうために引退?|大阪の補助税理士 きままに税務会計


↑上記エントリの「46万円」は、平成27年4月より「47万円」に改正されています。

また、65歳未満でも、さらに基準額は28万円と厳しめになり、同じく老齢厚生年金の月額と「総報酬月額相当額」により一部または全部の支給停止が行われます。
ややこしい在職老齢年金を過去エントリから振り返りましょう|大阪の補助税理士 きままに税務会計



通常は、社長が減額や支給停止を避けるためには、金額が引っかからないように給与を減額するか、厚生年金に加入しなくてすむようにするしかないのです。

では年収を変えずにもらうには、、、


しかし、上記の説明からすると、収入を下げるしか方法はなさそうです。
まさか社長が退任して非常勤役員になり、厚生年金に加入しない状態にしておいて報酬は据え置きというわけにもいかないでしょうし。

ではどうすれば、、、

そう、そこで登場するのが「事前確定届出給与」を使う方法です。
通常は役員報酬は定期同額といって毎月同額を支給しなければ損金にできず、賞与などもってのほかですが、この届出を提出してその通りに賞与を支給することにより、役員賞与を損金にできる制度が用意されているのです。

なぜ賞与の支給で年金がもらえるのか?
そこには上でご紹介した「総報酬月額相当額」の「標準賞与額」に秘密があります。

「標準賞与額」は、賞与支給額をもとに決められる、厚生年金保険料率を掛ける金額ですが、こちらには上限があるのです。
それが1回あたり「150万円」です。
それ以上についてはいくら支給しても計算上は150万円になるのです。

つまり、月々の役員報酬をぐっと落として標準報酬月額を減少させ、150万円を大きく超える役員賞与を支給することで、年金を受給することができるという理屈になります。

例えば、年収1200万円(月額100万円)、老齢厚生年金月額10万円の代表取締役について考えてみましょう。
厚生年金保険料の計算上標準報酬月額は62万円が最高額ですので、この段階で年金月額10万円と足すと72万円。年金は全額支給停止です。

これを、「事前確定届出給与」の届出をすることにより変更してみましょう。
例えばこう。
月額10万円(年額120万円)、賞与(年1回)1080万円。
合計は1200万円で変更なし。

賞与は1080万円も支給していますが、標準賞与額は150万円のため、「総報酬月額相当額」は(120万円+150万円)÷12=22.5万円となります。
これに厚生年金月額10万円を足しても32.5万円となり、47万円を下回ります。
つまり満額支給が可能になりました。
めでたしめでたし。

個人的には、法的な問題は出ていないと言いながらも違和感を感じざるを得ない方法ですが、現状フタをされていない以上、勧める方々も多いようです。

この方法は、年金受給に関わらず、社会保険料削減を狙う場合にも使われていますね。
これについては以前ご紹介しています。

事前確定届出給与による社会保険料削減!?|大阪の補助税理士 きままに税務会計



ちなみに、健康保険に関する賞与の限度額は、平成28年4月1日からは573万円(現在は540万円)に引き上げられます。

この「事前確定届出給与」は、決算後の株主総会での決議後、1ヶ月以内に税務署に事前確定の届出を行わなければなりません。
もし検討される場合にはこのタイミングにもご注意ください。

それにしても、違和感しか感じないこの方法、削減できればなんでもいいのかとも思いますが、お客様が希望されるときに提案するのが良いのか、全く無視もできないし、と、大変悩ましいですね。

あとがき


確定申告期限は明日です。
まだ終わっていない方、まだ間に合います!
最後まで頑張りましょう!
私は今日なんとか送信し終えました。
明日は身内の申告を1件して本当に完了です。

強力な情報をゲット!


遂に補足される?厚生年金が国税庁情報で加入対策|大阪の補助税理士 きままに税務会計


 以前こちらのエントリでもご紹介しましたが、厚生年金未加入の対策のため、国税の情報を使った未加入事業所探しが始まっています。

私の直接の関与先は幸い適正加入しているところばかりですので、勘違いされて送られてくる他は問題になることはありませんが、未加入である旨の通知、そして調査の連絡が来たという話を聞くことが増えていました。

予定通り始まったようですね。

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基本的には名寄せのみ


 今回日本年金機構が国税庁から入手している情報は、源泉所得税の源泉徴収義務者にかかる納付情報です。
源泉所得税の納付情報といえば、人数、給与総額、源泉所得税額など、直接的な金額に関わる情報もありますが、さすがにそこまではやりとりしていないようです。

金額情報はなく、事業者名・住所が主で、これらの情報を年金の情報と突き合わせして、加入が確認できなかったところに文書を送り、その後調査に進む流れになっています。

確認したところでは、情報の登録状況の違いにより、既に加入している事業所についても過って未加入の取り扱いで文書が送られるケースもありえるそうです。
しかし、源泉所得税の情報は給与の支払いを確認する上では強力な情報ですので、未加入事業所が多く洗い出されることになるのでしょう。

この加入指導は3年間にわたり重点的に行われるそうです。
もしあえて未加入の事業所様がいらっしゃるのであれば、そろそろ加入の決断が必要になるかもしれませんね。

平成27年度予算案における国民年金保険料収納対策等について |報道発表資料|厚生労働省



あとがき


 久々に更新しました。
あれほど1日1エントリとなるよう進めていたのですが、当面は不定期更新となりそうです。

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