9/25 詩

 

9月の終り

もうだいぶこの交流日記を書いていないのは

なんだか寂しいことでもあるけれど

 

ちょうど Eri さんという方がコメントをくれたこともあって

 

この世界に このブログが

しっかりと存在しているのだと

 

ひなんちゅは 

自分の言葉たちが生きていてくれたことに気づき

感動するのでした

 

 

 

 

【本当に好きなこと】

 

今日は ちょっと絵本のような文体です

 

とくにこれといった意味はまだないそうです

 

たぶん ひなんちゅは

絵本が書きたい気分なのかな

 

たしかに彼は

 

『メデルと秘密のポートレート』

 

という絵本づくりに取り組んでいます

 

 

そんな彼がある日 友だちの集まる朗読会に参加したところ

 

谷川俊太郎さんの 『生きる』 という詩を

みんなで声に出して読むことになりました

生きる    
谷川 俊太郎          

生きているということ
今生きているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみをすること
あなたと手をつなぐこと


生きているということ
いま生きているということ
それはミニスカート
それはプラネタリウム
それはヨハン・シュトラウス
それはピカソ
それはアルプス
すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと


生きているということ
いま生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ


生きているということ
いま生きているということ
いま遠くで犬が吠えるということ
いま地球が廻っているということ
いまどこかで産声があがるということ
いまどこかで兵士が傷つくということ
いまぶらんこがゆれているということ
いまいまが過ぎていくこと


生きているということ
いま生きているということ
鳥ははばたくということ
海はとどろくということ
かたつむりははうということ
人は愛するということ
あなたの手のぬくみ
いのちということ 

 

それからみんなは 

自分たちで 『生きる』 という詩を

紡ぐことにしました

生きる

みんな

 

生きる

それはモンブラン

ひざこぞうをすりむくということ

帰る場所があるということ

本音で語り合えたとき

わからないことがわかったの

さよなら、バンブー。

大嫌い そして大好きということ

 

各々が好きなように 紙に言葉をのせて

こんどは他の人の紙から好きな言葉たちを選んで

 

そうやって順番にひとりずつ読んでいくのでした

 

言葉たちも はしゃぎまわっていました

 

部屋のなかは あたたかい空気が

やさしくみんなを包み込むように

 

輪っかになって その言葉たちのはしゃぐ声に

耳を澄ませて聞き入っているのでした

 

 

次の日のお昼 

ひなんちゅは 偶然にも谷川さんと 

お話をしていました

 

といっても 俊太郎さんではありませんよ

 

その人は コンサルタント という仕事を

ずっとやっていた とても優しい宇宙人でした

 

谷川さんは 言葉たちの声が聞けるそうで

ひなんちゅにとって 何が大切なことなのか

本当に願っていることはどういうことなのか

 

ひなんちゅから出てくる言葉たちに

聞いてくれました

 

すると言葉たちは 

ひなんちゅの胸の奥でうずくまっていた仲間を

呼んできてくれました

 

その子は ずっとひなんちゅのことを怖がっていました

 

ひなんちゅが いつもその子に腹を立てていたからです

 

 

でも その日はようやくひなんちゅも

その子を抱きしめてあげたのです

 

その子は ひなと という名前の

やんちゃで わがままな 羊飼いの太陽でした

 

羊飼いのひなとは いつも一人で

とっても寂しかったようです

 

ひなんちゅは そんな ひなとのために

詩を紡いでみようと思いました

 

すると言葉たちが

お寺を建て始め やがてみんなで合唱をはじめました

 

本当に好きなこと

                 ひなんちゅ

 

本当に好きなこと

それは明日にはきっと嫌いになっていること

それは夢にも思わなかった世界

それはタブー

それは誰にもわかってもらえなくていいこと

それはみんなにもわかってもらいたいこと

 

本当に好きなこと

それは眩しすぎる太陽

それは生まれた時に刻まれたDNA

それは宇宙の計らい

それは自由にするためのルール

それは愛という曖昧なもの

 

本当に好きなこと

それは言葉にできない

それはあなたとわたし

それはありがとう

 

本当に好きなこと

それは永遠に完成しない感性

いまここにいること

このからだ このこころに響く何か

さよならバンブー

 

「”それは”ばっかりだね。。。ふふふ ははは」

ひなとは 優しい顔で笑いました

 

「うるさいな〜笑うなよ!。。。ふふふ ははは」

ひなんちゅも つられて笑いました

 

「そうなんだよね。。。ふふふ へへへ」

谷川さんも ニヤッと笑いました

 

言葉たちは 役目を終えたのか

ふわっとしたほほえみを浮かべながら

ひなんちゅの胸の奥に 帰っていきました

 

 

 

こうして3人は2人に 2人は1人になって

 

そうして最後は 言葉たちと同じ

波のようなエネルギーに変わったのでした

 

 

おしまいクローバー