1/14 【塞の神】

山の子供ふうこが、北風小僧のさぶろうに願いを叶えてもらう物語。

どんど焼きの夜、火の粉を空高く舞い上げるさぶろう。

雪の迫力、伝統行事の迫力、呪術的な雰囲気。

初版1973年、舞台は黒姫高原とのこと。


☆『ふうことどんどやき』
(いぬいとみこ 作/赤羽末吉 絵/偕成社)



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1/15

個人的な話で恐縮です。本日誕生日を迎えました。
皆さまのおかげでなんとかやれておりますので、感謝を込めてご報告させていただきます。いつもありがとうございます💐
51という数のインパクトに慄きつつ、10の自分に恥じない自分でありたいと思っております。
記念に1,21,51を並べてみます。



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1/19 【雪の女王】

アンデルセン作「雪の女王」は、よろこびへと至る道の険しさ、人間の弱さを描き、それを乗り越える愛と信仰を讃える物語です。

氷が心に入り込めば、大切なものは忘れられてしまう――

ル・カインの描く世界、女王の美しさよ!


☆『雪の女王』
(ナオミ・ルイス文/エロール・ル・カイン絵/ほるぷ出版)
目と心臓に氷のかけらが刺さったカイは女王に取り込まれ、そこに違和感すら感じられなくなる。
盲目的に、無意識的に支配され「立派(だと思い込ませる)」「知的(だと思い込ませる)」世界……他人事じゃないね。



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1/21
【「ひとを信じたい」「優しさに触れたい」…そんな時に読みたい絵本】

大人にこそ💐


☆『オサム』
(谷川俊太郎文/あべ弘士絵/童話屋)
なにもしてないように見えるけど、こどもの相談に親身に乗り、寝る前には絵本を読み聞かせる。オサムはいいひと。

 
☆『くまさぶろう』
(もりひさし作/ユノセイイチ絵/こぐま社)
はじめはただの泥棒だった。他人の痛み・悲しみを盗み抱えて、旅から旅へ、くまさぶろう。明日はどこ行く、くまさぶろう


☆『まっくろけのまよなかネコよおはいり』
(J.ワグナー文/R.ブルックス絵/岩波書店)
寒い冬、野良猫を放っておけないおばあさん。葛藤の後、おばあさんの想いを理解し招き入れる犬。静かな静かなお話



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1/30 【創る人へ】

☆『モリス・レスモアとふしぎな空とぶ本』
(ウィリアム・ジョイス作、絵/おびかゆうこ訳/徳間書店)

すべてを失った男が、「この世でいちばんたいせつな」――本に生涯を捧げる物語。

言葉がバラバラに崩れ去るほどの喪失。
そこからの再生が描かれています。

思いは
本は、言葉は消えない。


本作は第84回アカデミー賞短編アニメ映画賞受賞作品を絵本化したもの。
原書タイトル『THE FANTASTIC FLYING BOOKS OF MR.MORRIS LESSMORE』は2012年の作。
この2年前、作者の娘メアリー・キャサリンが18歳で亡くなっており、彼女に捧げられています。
本に生涯を捧げた主人公。
〈本をひらけば、いつでもまた、ものがたりは、はじまる〉――
最後に力強く綴られています。



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2/2 【小説】

柴崎友香『続きと始まり』(集英社)読了。


なにが、どう、今と未来に繋がるのか?思う日々。
怒りも悲しみも遅れてやってくる。
痛みと折り合いをつけながら生きてきた。考えるひまもなく
そんな私の30年が、ここにしるされている。

作者は同世代。

わかりあえなさに気づく瞬間
そう思われた瞬間
記録にはない無数の瞬間



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2/3 【節分】

『島ひきおに』は、昔話風に描かれた創作絵本の名作です。
「共生」のむずかしさ、他者の尊厳について考えさせる非常に現在的なテーマを有す作品。

せつないだけではすませられないんだよなあ




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2/4 【帰る場所】


夕暮れ時、家路をたどる人は皆どこかホッとした顔をみせます。

遊びつかれた子ども、
森へ帰る烏、
商店街のざわめき、
通りに漂うご飯のにおい……

「ただいま」

あなたには帰りたい場所がありますか?
あなたが帰りたい場所はどこですか?


『ゆうぐれ』は、記憶のなかにある温もりを再現させながらめくる絵本。

美しい木版画の絵本です。


◇『ゆうぐれ』
(平岡瞳 作/小学館)


表紙カバーを外すと、絵だけがあらわれます。
表表紙は夕暮れ、裏表紙は夜のはじまり。

以前ギャラリーで、平岡瞳さんの描く夜に一目ぼれしました。
人はいないのに生と暮らしの気配に満ちていて、それでいてしんと静かで。
心をわしづかみにされたことがあります。



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2/5 【わたしが生まれた冬の雑誌】

雪の表紙
『暮しの手帖』第22号(暮しの手帖社/1973年2月1日)

自販機でいつでも誰でも酒を買える状況に警笛、ガス湯沸かし器の安全性・機能・効率をテスト&公表、台所の足踏み式くず入れ比べ「及第点はない」と断ずる。
で、ファッション記事が素敵!
森茉莉も寄稿。バタアのコロッケ美味そう。
とにかく多く細かい文字。昔の雑誌は力強い。人々に呼びかけ、リードしようとしている



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2/5 【雪の絵本】

東京に雪が降った日。
下校中の小学生のはしゃぐ声が聞こえてきます。
ベランダに出ると、閉じた傘のかわりに大きくあけた口、口……

都会の雪は、子どもたちの心を踊らせる特別な贈りもの。
きっと何度も思い出す。
ピーターみたいに思い出す。


❄『ゆきのひ』
(エズラ・ジャック・キーツ文、絵/きじまはじめ訳/偕成社)
ちいさな子どもにとって雪は、世界を一変させる魔法なのかもしれません。
雪はピーターにとって、この上なく新鮮な驚きです。
美しいコラージュの技法が施された、胸に抱えたい私のたからもの絵本。

原書は1962年(米)
〈“主人公を黒人の子どもにしたのは、それまで白人の子どもたちのよさを示す、ほかの人たちの本の挿絵ばかり描いていたからです。
それで自分の本では、黒人の子どものよさと美しさを示し、それをみんなでわかちあいたかったのです”〉―光吉夏弥著『絵本図書館』より キーツの言



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2/7 【未来とチョコレート】

1000年後。
チョコレートは博物館の「ほん」でしか見られない、そんな未来のお話。

街の外に探しに出た子どもは、チョコレートに詳しい旧型のロボットに出会います。
「ああ!」
(とろけるよね…虜になるよね…!)


☆『ミライチョコレート』
(ザ・キャビンカンパニー/白泉社)
ザ・キャビンカンパニーは、立体造形やアニメも手掛ける2人組。
デビュー作の頃から「どんどん大きいものを創っていく」との予感あり。本当に、どんどんどんどん創るサイズも世界観も大きくなっています。
子どもに夢と希望を、どこかレトロな絵は大人に原風景を思い起こさせる――これは名作ですよ🍫



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2/9 【平澤一平展】

平澤一平さんの「彫り貼り」作品が観たくてギャラリーハウスマヤ(外苑前)へ。
猫狸狐。
ひとりはしみじみと味わい深く、ふたりは微笑ましく、大勢は楽しい。
背景には多様なモチーフがびっしりコラージュ。
土地と歴史と自然が混じり合うその世界は、ぐるぐる猛スピードで動いてるみたいだった。
土着なのにポップ。
素晴らしかった!



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【岡田千晶展】

岡田千晶さんの原画展を観にピンポイントギャラリー(表参道)へ。
もう13年くらい前、絵本デビューされたばかりの岡田さんをゲストにお招きし、イベントでお話を伺ったことがあります。
岡田千晶の描く光と影は、いまや他の追随を許さないほどの美しさ。


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ギャラリー3件目はビリケンギャラリー(表参道)。
疲れててもミミ子さんとお喋りすると元気になれる秘密の館。
企画展示も売り物もいつも面白い!

近藤ようこさんの漫画のファンである私は、浴衣の涼し気な一筆箋を。
そして夜、田中六大さんの『ポンポコ姫』をあははは声出して笑いながら読んで元気パワー充電。


〜わたくしごと〜
年始に体調を崩し、弱り目に祟り目でコロナ感染し、2月あたまにようやくようやく復活しました。長く患ってトホホ。もっかい言わせて トホホ。
もう大丈夫です。みなさんの健康と幸せを祈ります。
食べて寝て読んで動けるって
なんてすばらしい!。・゚・(ノ∀`)・゚・。✨

絵本コーディネーター東條知美