歴史には捉え方が色々あるが…
さておき

スティルワインの安定化は
パスツール以後に起こったとすると
それ以前は腐造や変質との戦いだった。

それをルイ・パスツールより
ニコラ・アペールより先に克服したのは

「シェリー酒」なのだ。

妻をシェリー酒の蔵(ボデガ)に連れてった時に
妻がショックを受けたのは
酒蔵内の衛生環境だった。

天井にはコウモリ、
蔵の中には猫や犬も出入り。

イマドキの醸造責任者なら、
「ありえない」と怒るとこだが、

待って欲しい。

シェリー酒の成立は、そんな感覚の
ずっと、ずっと、ずっと前だということを。

シェリー酒から見れば
ビールもワインも日本酒も侵されやすい
弱い、弱い、弱いものでしかない。

弱いから外敵から守る必要があり
それが過剰なまでの清潔環境を作り上げた。

抗菌環境で育ち外でも遊ばない子供が
山や川で遊び回った子に
何が勝てるだろうか?

つまりそういうことだ。

ワインが嗜好品になったのは
19世期も後半になってからのこと

シェリー酒が嗜好品になったのは
少なくとも17世期のこと。

シェリー酒の歴史が長く
薬学界にも広く支持を受けたのは
決して伊達ではないのだ