『酒道』という言葉を聞いたのは
随分前、奈良に行ってきたお客様からだった。

その後のにわか調べで
公家流、武家流、商家流などが、
あったらしいことは分かったが
その詳細を示した文献はなかなかない。



先年見つけて今読んでいる
1932年に書かれた「酒道」は
著者流の酒道論的な本であって
その歴史を示したものではないが

「…要は、酒を面白く、
正しく飲む方法である。 

また奇抜に飄逸(ひょういつ)に
變化(へんか)縦横に飲む方法である。

かくして飲酒家道徳は成長…
…そして始めて『酒道』が大成する。」

とあり、
現代も、形こそ曖昧だが
酒道は存在すると想う。

シェリー酒における中瀬流酒道は
醸造や歴史、文化や食に至るまでの
正に味と会話の變化縦横こそが
相応しい気がする。

シェリー酒は
スペインの酒にして英語の名を持つお酒

きっとオックスブリッジや
英国海軍の中にはそれぞれの

またスペインのアンダルシアに於いてもまた
各々の酒道というものがあるのであろうが。




この精神は「煙草」にも言えるだろう。
煙草にも暗黙の「煙道」がある。

「道」(どう)は「道」(みち)であり、
後人が徳をするよう先人が切り開くのが
「道徳」なのだろうが
吸う側も文句をつける側も
正に道を見失った感があるのは残念なことだ。

煙草の次は酒…
そんな事が囁かれるが
提供する側も飲む側も
道を見失なわないようしなければならない