脂肪細胞
脂肪細胞の中には細胞核、ミトコンドリア、小胞体などがあって、脂肪が油滴の中に蓄えられています。



ダイエット7


小胞体は内部に脂肪分解酵素(リパーゼ)を持っています。
脂肪を分解させるには、この脂肪分解酵素を油滴に接触させることが必要です。

運動をすると、ノルアドレナリン、アドレナリン、副腎皮質刺激ホルモンなどのホルモンが分泌しますが、これらのホルモンが油滴の表面にある扉を開けて、脂肪を分解する鍵としてはたらきます。

だから、有酸素運動を開始して20分くらいが経過すると、血液中の脂肪濃度が増加してきます。


グルカゴン
空腹になり、血中のブトウ糖濃度が低下すると、すい臓からグルカゴンが分泌します。
グルカゴンも、脂肪細胞の油滴表面に働いてリパーゼと接触させます。

つまり、体脂肪は空腹に備えた蓄えられたエネルギーなので、空腹になるとグルカゴンによって溶け出す仕組みになっています。


この脂肪細胞の分解の仕組みが私たちにとって困るのは、空腹にするか、運動しないかぎり体脂肪が溶け出してこないことです。


私たち現代人は空腹を嫌がって、空腹になる前に何かを食べます。

また、途中で空腹になるのを恐れて、空腹でなくても時間がくれば食事をします。

それでは、それでは体脂肪が貯まるばかりです。


体脂肪は空腹になるか、運動しないと溶け出さないので、脂肪が貯めないことが大切です。

燃やして貯めないのが、ダイエットの秘訣です。


インスリン
私たちが食事をすると、インスリンが分泌されます。
インスリンが血液中に放出されると、体脂肪組織はインスリンの力を借りて、血液中のブトウ糖を取り込み、脂肪に変えて貯蔵します。
インスリンには、ブトウ糖の取り込みを促進する同化作用と、脂肪の溶け出しを抑制する異化抑制作用があります。


脂肪の溶け出しを抑制する作用を持つホルモンはインスリンだけです。
もしも、インスリンに脂肪の分解を抑制する作用がなければ、食後に運動をすると、インスリンによって脂肪を同化中の脂肪細胞で同化と分解が同時におこることになり混乱が生じます。
インスリンには脂肪分解の強い抑制作用があるので、脂肪細胞で混乱が生じません。

ですから、食後に運動しても脂肪が溶け出してこないのです。


食前の運動がベスト
川崎医療福祉大学で、女子大生20人に、朝食前、朝食2時間後、昼食2時間後の3回、自転車を漕いでもらって、どの時間帯が脂肪がよく燃えるかを調べました。
下図は、その実験結果です。


点線のグラフは、朝食前に運動をしたグループの血中の脂肪酸濃度ですが、運動開始20分後から濃度が次第に高くなっています。

これは、朝食前に運動すれば、体脂肪が20分頃から溶け出してくることを意味します。


これに対して、朝食2時間後に運動をしたグループでは、運動するにつれて、血中の脂肪濃度が低下しています。

これは、食後のインスリン濃度がまだ高いために、脂肪の分解が抑制されて、脂肪が溶け出してこないからです。

ダイエット7

空腹で運動すると、身体に悪いので何かを食べてから運動しましょうという人がいますが、損なやり方です。