ダグラスバッグ

この人は面白い人で、ダブラスバッグを自作しました。
ダグラスバッグは200万円~1000万円もするので、京都の有名メーカーの技術者でしたが、市販のガスメータと酸素濃度測定器、ガス検知管などを買い集めてきて自作したのだそうです。


ダイエット7

呼吸商(RQ)
体内で脂肪が燃えたかどうかは、運動中の呼気をマスクで集めてガスの成分を調べるとわかります。
グリコーゲンは炭素と酸素が1対1で結合した化合物なので、グリコーゲンが燃えると、炭酸ガスの量と酸素の量が同じになります。
一方、脂肪はたくさんの炭素と少量の酸素が結合した化合物ですから、脂肪が燃えると多量の酸素を消費します。
したがって、脂肪が燃えると、呼気中の酸素の量が非常に多くなります。

呼気中の炭酸ガスを酸素の量で割ったものを呼吸商(RQ)といいます。
RQ = CO2 ÷ O2
グリコーゲンが燃えたとき、炭素と酸素の量が同数なので、RQが1になります。
脂肪が燃えると、酸素が多く必要になるので、RQは0.7になります。
したがって、運動中の呼吸商が0.7に近いほど脂肪が良く燃えていることになり、1に近いほどグリコーゲンが燃えていることになります。


脂肪の燃焼と心拍数
上の人が素晴らしい実験結果を残してくれました。
このグラフで、左側の目盛りは運動消費カロリー(Kcal)を表します。
右側の目盛りはダグラスバッグで測定した脂肪の燃焼カロリーです。
下側の目盛りは心拍数です。


ダイエット7

グラフの説明
このグラフはエアロバイクを漕いだときの心拍数と消費カロりーおよび脂肪の燃焼量の関係を調べたものです。
エアロバイクを漕ぎ、電磁ブレーキの負荷を重くしていくと、消費カロりーが増加し心拍数が上がります。
消費カロりーは心拍数と直線的な比例関係があります。
脂肪の燃焼量も最初のうちは、心拍数とほぼ一致して上昇し、心拍数125を過ぎると急激に低下します。
この脂肪の燃焼量が急激に低下する地点を換気性作業閾値(VT)といい、無酸素性作業閾値(AT)にほぼ一致します。
このグラフでわかることは、心拍数が125を超えると、グリコーゲンの燃焼が急増し、心拍数140以上では、使用エネルギーのほぼ100%がグリコーゲンになります。

つまり、心拍数が125を超えるような高強度の運動をすると、脂肪が燃えなくなるのです。


ランニングマシン
上のグラフをランニングマシン上に置き換えて考えると、つぎのようになります。

時速4Km/h ・・・ 普通に歩く ・・・ 心拍数80
時速5Km/h ・・・ やや速足 ・・・ 心拍数85
時速6Km/h ・・・ 速足で歩く ・・・ 心拍数90
時速7Km/h ・・・ スロージョギング ・・・ 心拍数100
時速8Km/h ・・・ ジョギング ・・・ 心拍数100
時速9Km/h ・・・ ランニング ・・・ 心拍数120
時速10Km/h ・・・ ランニング ・・・ 心拍数130
時速12Km/h ・・・ アスリート ・・・ 心拍数150

ランニングスピードが時速10Km/hあたりから心拍数が130になり、脂肪の燃焼量が減少に転じて、代わりにグリコーゲンの消費が急激に増加するようになります。


ウォーキングとジョギング、どちらが良いか
ウォーキングとジョギング、ダイエット向きなのはどちらでしょうか?どちらが脂肪がよく燃えるのでしょうか?
脂肪とグリコーゲン比率は、ウォーキングの場合が60・40に対して、ジョギングでは50・50ですから、ウォーキングの方が効率的なように見えます。


経験的には、ジョギングの方がダイエット向きなのはわかっているのですが、納得できる理由が見つかりませんでしたが、このグラフによって、なぞが解けました。

心拍数120までは、ウォーキング、ジョギングにかかわらず、心拍数に比例して脂肪の燃焼量が増加します。
ジョギングなら心拍数を120まで上げることができますが、ウォーキングでは心拍数を120まで上げらることができません。
だから、時間あたりの脂肪の燃焼量が多いジョギングの方が一般的に有利なのです。

もしも、体力が許すならば、ジョギングの方が良いということになります。