注意一部、変更しました。



本日、起きるべくして
事故が起こってしまった。

第二子、一歳4ヶ月。
慣れからくる、完全なる私の不注意だった。



20:30



台所仕事をしていた時に
シリ子と餅男にブドウを渡した。

(普段、餅男は歯が上下生え揃い
ブドウは上手に噛んでいた。)



その直後


餅男が冷凍ブドウを飲み込み
詰まらせてしまった。


私が台所仕事をしている時に振り返ると、
詰まらせて苦しそうな餅男。


オエ!オエ!とえずくがブドウは取れない。
背中を叩いても、後ろから胃を押してもだめ。


大変や!


お風呂からちょうど出てきた旦那へ
餅男を抱いて連れて行く。



「餅男がブドウを詰まらせた!!」



旦那がブドウを取ろうと指を入れるも

餅男が歯を食いしばって指を噛み
それ以上指をいれられなかった。


餅男を逆さまにして背中を叩くも
背中から胃をおさえるのも効果なく


餅男の顔がどんどん紫になり
手足はグッタリする。



旦那は救急車!と叫ぶ。


私は慌てふためいて携帯を探し

震える指で間違えて110番してしまい
警察の人に119へと促された。

119へかけても
うまく住所が言えない。番地も言えない。

こんなことしてる間に
餅男は死んでしまう!はやくはやくはやく


救急隊員に電話で指示され


旦那は風呂から上がった裸のまま

餅男を心臓マッサージしながら
大きい声で呼びかけている。


餅男!頑張れ!頑張れ!

餅男の鼻や口から血が出ていた。




救急車が到着した時には

心肺停止、呼吸停止。


7人くらいの救命士が家へ上がり
餅男は風呂場からリビングへ運ばれた。


リビングで心臓マッサージと
人口呼吸器がつけられて

そのまま救急車へ。



私が一人で救急車に乗り込む。


餅男の呼吸と心臓のメーターが
ピーッと止まっている。

餅男!頑張れ!頑張れ!頑張って!
何度も叫んだ。


病院に着いたが

私のあまりの動揺し取り乱す様に
看護師さんに促され

旦那とシリ子も病院へ来てもらうように
電話をかけた。


その時も

ま、まだ
心臓も動いてないし呼吸もしてない。
どうしよう、どうしよう

と動揺しながら話す。



処置室に入ってから30分くらいだったが
私には丸一日に思えた。


なんで冷凍のブドウなんてあげたんや。
しかもシリ子の手から。

シリ子は自分のせいやと思ってしまう。


冷凍やったから
喉に張り付いてとれなかったんや。

まだ餅男は1歳4ヶ月やのに。


餅男、頑張って!

餅男、帰ってきて!

餅男、助かって!

餅男、餅男、餅男、餅男


死んだおじいちゃん餅男を助けてください、
あちら側から戻してください、

お願いします、お願いします、、


餅男、ほんまにごめんね。ごめんね。

泣きながら何度も何度も繰り返し言った。


横についてくれた看護師さんが
私の背中をさすってくれていた。



旦那とシリ子が病院へ到着した。

シリ子は泣いていない。

「ママ、餅男くんは大丈夫だから」


旦那にそう言われてるのか
シリ子は私に優しく言ってくれた。

そうやな、シリ子が泣いてないのに
母親の私が取り乱してたらあかん。


けど、涙はあふれてくる。

神さま、餅男を助けてください!
どうかどうか命だけでも助けて下さい!


しばらくして
小児科の先生が待合室に入ってきた。



先生がゆっくりと話す。




「お子様の心拍は戻りました。
血圧も110あります。

呼吸はえずくようにしているので、
人口呼吸器をつけています。

でも、まだ状態は安定していません。

今から脳を確かめるためにCTを取り
そこからICUへ移ります。」


え、助かったの?
まだ分からないの?


餅男を見るまで安心出来ない。
身体が急にぐったり重くなる。


そこからまたしばらく待たされた。


ようやく餅男の所へ案内されると


人口呼吸器をつけ
薬で眠らせられ半目を開けた餅男が
処置室のベッドで横たわっていた。

小さい身体。


救急車の中で見たより
血色の戻った餅男の肌。

そっと触れると手足は冷たいけど
おでこは暖かかった。


あぁ。良かった。
脳のダメージはまだ分からないけど

餅男は助かったんや。


ありがとうございます。
ありがとうございます。


また涙が溢れた。

シリ子を抱きしめた。


餅男はICUに移動して
一番奥の個室で治療されることになった。


まだ安定してない容態。

人口呼吸器もまだ取れない。
点滴だらけで、薬で眠らせられたまま。


でも、確かに上下する胸。
ピクッと動く身体。


命が帰ってきてくれた。
餅男は頑張ってくれた。



CTでは脳に出血はみられなかった。

身体や脳にダメージが残るかは
今後の経過観察でしか分からない。


意識が無事に回復するかもまだ分からない。



先生から入院の手続きやら
今後の治療のことやらの説明を受ける。

私は先ほどまでのショックが強すぎて

頭がボーッとし貧血気味で
とても話を聞いていられなかった。


旦那がしっかりしてくれて良かった。


病院の説明も手続きの書類も書いてくれた。

心臓マッサージも頑張ってくれたから
餅男の心臓が動き出したんだ。



とりあえず餅男をICUに残して
帰宅してきたのが深夜1:00。


リビングに生々しい血が残っていたので
それらを拭き取ってから布団に入る。


が目を瞑ると

心臓マッサージ中の

餅男の苦しそうな光景や血、
救急車の中のことを思い出す。


なにより

ブドウをあげてしまった自分の後悔で
まったく眠れない。


今もICUで頑張る餅男に
早く会いたい。

ほんとにごめんね。


とりあえず、今晩
容態急変の電話がかかってきませんように。