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『花遊記』第13話(1)は、こちらから。

 

■ 第13話(2) 
~ルシファー会長室~
「孫悟空が、神女と出会ったのは、あいつが生き残るための機会なのだろう。しかし、あのバカが、せっかくの機会を無駄にしようとするのが理解できん」


「天界の決めた運命は本当に変えることはできないのでしょうか?」
「それもまた、私にはわからんが、この1000年はそうだったな。みじめなものだ」
「斉天大聖の状況は、魔王様とは違います。どちらにしても、彼は神仙で、人間の生死に関与できるのではありませんか?」
ふふ、そんなにはっきり言っちゃうと、魔王だって気分悪いじゃん(笑)
魔王は、1分1秒でも早く、神仙になるのを渇望してるんだから。

「なんとも粗末な妖怪だな。偉大な神仙がいかに、すばらししいかわからぬだろう。いいから、ポイントを一つ一つ集めてくればいいのだ!」
「魔王様は、彼女の9回目の輪廻を見られてから、相当、ナーバスになっていらっしゃいますね」
「とにかく、彼女の死と復活の痛みを伴う輪廻を終わらせなければ。そのためにも、アサニョを無事に対処しなければならぬ」
「アサニョの希望は、斉天大聖と婚姻することです。可能なのでしょうか。」
「だからこそ、すでに三蔵には、話してあるのだ」
不適に笑う魔王。

~ソンミの自宅~

雷鳴が轟いているのを、ベランダで見ているソンミ。
「雨も降ってないのに、どうしたのかしら?」
「あいつらも少し怒ってるんだろう」

怒らせた張本人登場です。
「なぜ、また戻ってきたの?」
「お前を守りにきた。性悪女がうろついてるのを知ってて、一晩中、お前を一人にしておけるか?あいつの目が真っ黒なときは、本当に怖いぞ。」
「その人、怖いくらいあなたを求めてるんでしょ?よかったじゃない」
プイッと、家のなかに入ってしまうソンミ。
「魔王の奴、また余計なことを言ったな」
 

不機嫌さ丸出しで、食べずに終わった料理を片付けようとしているソンミ。
「魔王が、俺を悪者にしたてるようなことを言ったんだろうが、動揺するな!」
「なにも動揺なんかしてないわ。その女が望んでるのはあなただって聞いただけよ。私には関係ないわ」
「本当に関係ないのか?」
「私が気にしたところで、なにかが変わるの?いいわよ、その女と結婚でもなんでもすればいい!すごく重要なことなんでしょ!むかっむかっむかっ

さっきから、何度も、料理の入ったタッパーを片付けようとして、蓋を閉めているのに、何度やってもうまくいかないソンミ。


「蓋が入れ替わってるぞ。それは、もう一つのほうのだ」
「あなたが結婚しようとしまいと、私には関係ないものむかっむかっむかっ

悟空の言葉すら聞こえてない激昂ぶり。
合わない蓋を閉めようと、何度も押さえつけるソンミ。
「だから、それとそれじゃ、合ってないって言ってるだろ?」
「今、それって重要なこと?合ってないことくらいなによ!むかっむかっむかっムキームキームキー


「重要だろ?」
悟空を見つめるソンミ。
冷静に、蓋と容器をもちあげ、「これにはこれ。でも、お前は、こっちとこれを合わせようとした。当然、蓋は閉まらない。」
優しく、ソンミのあたまを撫でる悟空。
「今のお前の蓋は、怒りで開いたままだ。」
「完全に開いたままよ。」
「閉めてやるから、こっちにこい」
抱き寄せ、優しくハグする悟空。
「ねぇ、何してるの?これで、充分だと思ってるの?もっと、ちゃんと閉めてよ」
「言うようになったな、三蔵も。」


ソンミも悟空の背に回した手に力を込める。
「ごめん。孫悟空。自分の中で抑えられないなにかが目覚めたみたい。だから、あなたに当たり散らすのは間違いだってわかってるの。」
「魔王のせいだ。辛い時は、他人を責めろ。精神衛生上、そのほうがいいんだぞ」
優しく髪をなで続ける悟空。
「私、本当に怖い、あの時みたいに、また、あなたを傷つけるかと思うと、すごく怖い。」
「俺をちゃんと捕まえておけ。そうすれば、大丈夫だ」

~カン・デソン自宅~
「あの石棺は、1000年以上前のものです」
専門家に調査させたようです。


「棺の中をみると、なにかを封印していたもののような感じです。極めて、危険なものだと考えるべきでしょう」
「なかに、それほど恐ろしいものが入っていたのか。あなたの言う通り、非常に強力な呪文で封印したと書かれている。」
古文書などの資料が示される。
最初に持ち上げることすら出なかった石棺の蓋や、コンテナの中の惨状を思いおこすデソン。
「このタイプの龍は、王の象徴です。」
「このような龍はどこにも刻まれていたことはない。この石棺の主人は、よほど権力のある王、あるいは王よりも力のある者だったにちがいない」
「そう思われます」
「それは、危険で、恐ろしく、そして、とても強い。興味深いことだ」

アサニョ、着々と変身中。
化粧品店から出てきたところで、二人連れの男とすれ違いざまにぶつかるアサニョ。
「これは、きれいなお嬢さん、悪かったね」
「いやぁ、本当に綺麗だな」
「俺たち、奢ってやりたくなっちゃうな」
「私、きれい?」
このセリフは、口裂け女の独占じゃなかったのか・・・。(笑)
「もちろん! すごくきれいだ」
「俺たちと一緒にどう?」


「OK」
「行こう」

漢江沿いに止めた車の中から、満足げな表情で降りてきたアサニョ。
軽い気持ちで、ナンパなんかするから、命とりって、比喩じゃなくなった。。
あああ、車の中が血だらけじゃん。


そこまで、極悪非道な人たちじゃなかったのに・・・。
「こいつらの血じゃ、体を維持できない。三蔵の血が必要だわ」

《三蔵の居場所を狙うというお前をほっておくことはできない》
悟空の言葉を思い出すアサニョ。
「魔王を利用したほうがいいかしら・・・彼の弱点を知ってることだし。」

その頃、羅刹女の肖像画を重苦しく眺めている魔王。


溜息しかでない。

 

~ソンミの自宅~
少し落ち着いて、話をする悟空とソンミ。
「バラの香りがしたのは、アサニョとかいう神女からだったの?」
「そうだ、お前は蓮の花の香りで、向こうはバラだ」
「でも、彼女はとても強いと聞いたわ。私には、どうしてそういう力がないの?そういうのがあれば、少しはましだったのに」
「お前の血は強力だ。お前の血のおかげで、プジャもあの女も蘇ることができたんだから」
「どっちにしろ、気になるわ。彼女は、無事にプジャの身体を返してくれるかしら?それに、魔王様も彼のポイントを守れるのかな?」
魔王の名前が出てきて呆れる悟空。
「魔王は、今度は、何と言って、お前に泣きついたんだ?」

~回想~
「私は神仙にならなければならないのに、このままでは再び、ポイントを失ってしまう」
「魔王様・・・」
励まそうとしてのばしたソンミの手を、掴む魔王。
「アサニョの望み通りにしてやれば、彼女もおとなしく成仏するに違いない。そのためにも、悟空を送ろう」
「でも、彼を結婚させるために送りだすのは、ちょっと・・・」
ソンミの手を強く握り返す魔王。
「形式的なものだ。しかも今や、あいつの心は、三蔵、君のものだ。こんな結婚式が大した問題なのか?そうすれば、我々は、プジャも助けられる」
「プジャを?」
涙をこらえて頷く魔王。
「プジャや~。ああ、可愛そうなゾンビ~」
プジャの名前を出されると、途端に気持ちが揺れるソンミ。
「まだ、生まれ変わる必要があるウリプジャ~・・・と 私のポイント~~~」
号泣する牛(笑)



そんな魔王の様子を思い出して、溜息をつくソンミ。
「形式的なものなら、あなたは、結婚すべきだと思う」
「お前は、それで本当にいいのか?」
「大丈夫よ。私は、あなたともう2回もあげたわ。悪鬼を追い出すためだったけど、2回もそのふりをしたじゃない。同じようなものだと考えれば、平気よ」
考え込んでいる悟空。
「アサニョは、そのままだと危険だわ。彼女を呼び出して、迎え入れて、そして、追い出しましょうよ。私は三蔵よ」
「俺たち、もう一度、やろうか」
「何を?」
「2回は偽物だった。3回目は本物をあげるべきじゃないか?」


いきなりのことに、悟空の言葉の意味がよく飲み込めないソンミ。
「俺と結婚したいか?」
なかなか口を開かないソンミがようやく、「そんなこと・・・できるの?」と訊ねる。
「お前が望むことはなんでも叶えてやると言っただろ。お前が望みさえすれば、なんでも可能だ」
「それだと、あなたは、きんこじをはずしても、私から逃げられないわよ」
「それも・・悪くない。チン・ソンミ、さぁ、強く掴め。」
「たった今、あなたは永遠に壊せない契約を結ぼうとしているのよ」
「そうだ。これは契約だ。さ、契約の条件を言ってみろ」
いつもの、耳に手を当てるポーズをとる悟空。


「契約は・・・慎重に結ぶべきよ。子供のころのように、簡単に結んじゃだめだわ」
これ、ここで結ばなくていいのかな・・・。
なんか、あの時、結んでおけば~~とか、ならないかな。

「さすが、予想通りだ、年を取って賢くなったな。お前がしたくなったら、いつでも言え」
頷くソンミ。
一瞬、笑みを浮かべるところがソンミらしい。。
「今日は腹を立てたから、ひどい頭痛がする。ここで寝ていくぞ」
ソンミの膝枕で横になろうとする悟空。


間髪入れずに、起こすソンミ。
「疲れてるなら、なんで、こんなところで寝ようとするのよ?」
「そうか? それなら、ちゃんとベッドで寝よう。お、お前も疲れただろうから、急いで眠ろう」
ソンミの手を取って立ち上がる悟空。
「今夜はなにもしないで。罵られる前に、おとなしく帰りなさい!」
「なんで、俺が罵られるんだ?おとなしく帰れるか。お前に(プロポーズの言葉を)言ったあとで、俺をおとなしく追い出せるのか?」 
悟空の両襟を掴み上げるソンミ。
「わたしだって、さっさと送り出したいわけじゃない。あなたをおとなしく帰すのが簡単なことだと思うの?私だって、あなたを守ろうと必死で努めてるのよ。大声を出す前に、はやく帰って!」
それだけ言うと、リビングを出ていくソンミ。
男前だな、ソンミ(笑)
あとに残された悟空。
「彼女が俺を守る?うりオゴンは大事だから?ああ、こうやって、ついうっかり操られていくんだな。まったく・・・」


お幸せに~!が ずっと続けばいいのに・・・。
 

★第13回(3)に続く★