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『花遊記』第13話(1)は、こちらから。

『花遊記』第13話(2)は、こちらから。

 

■ 第13話(3)


~バス停~
また、座っている羅刹女。それを反対路線に止めた車の中から、見守っている魔王。


マ秘書からの報告を思い出している。
《彼女の子供が、雨の日に誘拐され、殺されたそうです。その日、その子を迎えられなかった罪悪感のために、毎日、あの方はそこで過ごしているとも聞きました》
風でバックが落ちると、それを拾い上げたのは・・・アサニョ。
「落ちましたよ」
「・・・ありがとうございます」


羅刹女の隣に腰掛けるアサニョの姿を見て、驚く魔王。
挑発的な微笑みを魔王にむけるアサニョ。

~ルシファー会長室~
アサニョを呼び出した魔王。
「あの女性に近づいたのはなぜだ?」
ナイフをテーブルの上に置くアサニョ。
「あの女性が、バッグのなかに、このナイフを持ち歩いているのを、あなたも知っておいたほうがいいと思って。危険なものだと思ったので、彼女から取りあげました」
驚き半分、ナイフを手に取る魔王。
「ほかに、報告していないことがあるのか?」
マ秘書に問いただす。
「彼女は、以前に、女子学生を刺しています。彼女の子供を刺殺し、未成年のため、刑務所から釈放された女子学生を刺したんです。彼女はその学生を殺すことはできませんでしたが、別のことを試みているようです。8歳の子供を殺害した女子学生は、3年で刑務所を出所しました。それを見た彼女はあまりにも苦痛を受けたと思われます。」

派手な格好をしてカフェにいる元女子学生を、店の外から、じっと見つめている羅刹女。

「今までと全く同じ人生を繰り返し過ごしているんだ」
あのフィルムの中の1930年代の時の彼女の悲しみに満ちた様子を思い出す魔王。
「子供を殺された痛みを経験し、敵を刺し、ついに彼女は死ぬ。悲劇的な人生を延々と繰り返しているんだ」

目に涙を貯め、ナイフを置くと、立ち上がる魔王。
「だめです、魔王。あなたが干渉すれば、彼女はもっとつらい目にあいます」
説得するマ秘書。
「お手伝いしましょうか」
満を持して、声をかけるアサニョ。
「私なら、お手伝いできると思いますけど」
「その口を閉じてください。石棺の中で眠りにつくまで、黙っていてください」


マ秘書が、アサニョを止める。
「私は、眠りから起こす手伝いをしてくれた牛魔王を助けたいだけですよ」
「出ていきなさい。」
マ秘書を止める魔王。
「マ秘書、ちょっと待て」
「魔王様・・・」
おもむろに、ソファーに座りなおす魔王。
「マ秘書、少し席を外してくれ」
勝ち誇ったように、マ秘書をみるアサニョ。
仕方なく、出ていくマ秘書。
「まずは、私から聞こう。私のために何ができる?」
「私は仏の教えに従った神女です。だから、多くのことができます・・・」

~ムスン電子会議室~
自分を待ち構えている悟空を見て、会合の時間を1時間ずらす沙悟浄。

「会社にまでお見えになるとは、一体何事でしょうか、ヒョンニム」


「会長ともなると忙しいだろ、当然、予定のない俺が来るべきだろう」
「申し訳ありません、ヒョンニム。もうすこししたら、自由な時間が持てると思います。そうしたら、すぐにでもおうちに伺って、滞っていた家の掃除もいたします。それに、ヒョンニムのために作ったキムチがどうなったかも心配なんです。発酵がうまくいったかどうか。」
「キムチのためにきたわけじゃないんだが、知りたいことがあってな、お前に会いにきた。」
「もちろん、どういうことか教えてください」
「神女について、調べてほしい。1200年ほど生きている。アサニョと名乗っている。その間に、カン・デソンという人間についても調べてくれ。」
「ヒョンニムが言っているのは、韓国大学のカン・デソン教授のことでしょうか。なぜですか? どうしたんですか?」
「神女は、人間を王にする際、龍を呼ぶそうだ。それも不安だ」
「わかりました、ヒョンニム、ところで プジャのように見えるあの女性は、本当に彼女ではないのですか?」
「彼女がアサニョだ」
まずい・・・と、いろいろ思い当たる沙悟浄。


すべてお見通しの悟空。
「彼女は、俺の周囲の人々の周りに自在に現れ、魅了していくのも不安なのだ」


猪八戒が、アサニョを問い詰める。
「で、お前はプジャじゃないんだよな?」
「そうだ。私は、アサニョだ。」
「プジャは、この猪八戒様の兄弟だ。プジャの本名はチョン・セラで、プジャは俺にプジャと呼び続けてほしいと言った。」
「失礼します」
話をきかずに、立ち去ろうとするアサニョの頭を撫でる猪八戒。


ゆっくりと猪八戒のほうをむくアサニョ。
アサニョは、愛に飢えているだけなんだよね。
「プジャや、聞こえてるか?お前、家族に会いたがってただろ? 俺が今、お前のために探してるからな。」
アサニョの中で、絶対に、プジャは消えていないって信じてる猪八戒。
「私は、プジャじゃないし、家族というものに会う必要もない」
「オレは、あいつの望みをかなえてやると確認しただけだ」
アサニョを残して、先に、立ち去る八戒。

胸をおさえるアサニョ。


「なんだ、これは? まだ、ここに彼女がいるのか?」
八戒の想いは、絶対、プジャに伝わっているはず。。。

~ソンミのオフィス~
書類の確認をしているソンミとハンジュ。
「謄本を確認する必要がありますが、まだ、未解決な部分がありますね」
ハンジュの結婚指輪が無性に気になるソンミ(笑)

 

《俺と結婚したいか》
悟空の声が耳元で・・・。

「代表? なんか、今日はずっと考え事してますね」
「ハンジュさん、あなた、結婚してますよね」
「もちろんですよ。2人も子供がいますしね。見て。」
結婚指輪を見せるハンジュ。
「ハンジュさんは、奥さんを愛しているから、結婚指輪を嵌めてるんですか?」
「そのとおりですよ。」
「それなら、もし、最初は、奥さんのことを愛していなくて、結婚指輪をはめた瞬間に、突然、恋に落ちたとしたら、それで、結婚しても大丈夫だと思いますか?」
「私たちは、お互いに恋に落ちたと感じたので、お互いに結婚指輪を嵌めたんですよ。」
「そういうことじゃなくて、私が言いたいのは、まず、ブレスレット・・・じゃなかった、指輪みたいなものを嵌めたら、恋に落ちたっていうことなの」
「代表、もしかして、孫室長が、指輪を買ったんですか?なんとも思っていないところに、このくらいの大きさのダイヤモンドの指輪をはめられて、その気になっちゃったっていうことですか?それは愛ではありません。そんな愛は、一度でも指輪を外せば、終わってしまいます。まったく・・・ダイヤモンドなんて」

「指輪じゃなくて、ブレスレットなんだけど・・・」
そのとき、ぱっと悟空が現れ、黙って、ハンジュのいうことなど聞くな、というそぶりで、キスして消えてしまう。

ぼうっとするソンミ。

「代表、私に印鑑を渡してください。印鑑ください」
「ああ、はい。」

「前にはなかった愛が、ある何かのせいで突然来た場合は、その事が消えたら、その後、愛だと思っていたものも、消えてしまいますよ。だから、本当に、その人を信頼できるようになるまでは結婚しちゃだめですよ」
一理も二理もあるね。

「そういうものなの?」
立ち上がると、また、悟空が現れ、首をふると、キスして消える。


頬をおさえて、立ったまま、ぼうっとしているソンミ。

「印鑑をくださいって言いましたよね」
「ああ、ここに」

印鑑を渡すソンミ。
「でも、ハンジュさん、何百ものダイヤモンドがついてたら、それって、死ぬまで、愛は消えずに、与え続けられるってことですか?そうしたら、結婚してもいいのかしら?」
「まぁ、残りの人生で、どんどんどんどん大きなダイヤを彼が提供することができるくらい、非常に能力があるのなら、結婚したほうがいいんじゃないですか?あなたに代わって、私を昇給させてくれたら、それはそれで素晴らしいことです。」
おもしろくなさげなハンジュ。
そうそう、彼は保守的なの。
「ありがとう」
ハンジュに声をかけるソンミ。

ハンジュが部屋から出ると同時に、後ろから、悟空に引かれ、何度もキスを交わす2人。



「代表、代表、これ、違う印鑑ですよ」
ドアの鍵、しまってた(笑)


「本当に、女性は扱いづらいよな。こっちが具合悪くなりそうだよ」

 

~冬将軍のアイスクリームショップ~
「プジャや、いらっしゃい。そういえば、ひどいケガをしたんだって?。体は大丈夫?もう少し冷却したほうがいいかな?なんだか、雰囲気が変わったようだ。お前は、プジャじゃないな?」
「久しぶりだな。冬将軍」
「誰・・・ですか?」


「私がわからないの?それは、悲しいわ。こうして、1000年ぶりに会えたのに?まだ、兄妹ふたりで、一つの身体を共有しているようね。」
「アサニョ様?」
「あなたの妹に会ったわ。彼女から口紅をもらったの」
「妹と会ったんですか?彼女はあなたについて何も知りません。」
「彼女の消滅するはずの魂を、兄の体に入れて生存させてあげたのに?それに、妹と体を共有して不快ではないですか?今でも、私は、まだあなたのために彼女の魂を取り出し、彼女が消滅させることができるのよ」
「なぜ、私に会いに来たのですか?」
「少し、冬将軍に手伝ってほしいことがあるの。私が前に使っていた香炉を探す必要があるの。手伝ってくれるでしょ?」

「魔王が、アサニョに欺かれただと? どうやって?」
「彼は、鉄扇公主の9度目の輪廻を見かけてしまったんです。」
それだけで、その意味がわかる悟空。


「だから、彼は、焦ってるんだな。」
「アサニョは、とても危険な何かを計画しています。斉天大聖様、魔王様を止めてください」
マ秘書の、本気の頼みに、真剣な顔になる悟空。

~ス・ボリ師の執務室~
「それでは、あなたは、アサニョの提案は可能だと認めるだな?」
「それは可能だが、その方法は、あまりにも危険だ。」
「可能だと分かれば、それで十分だ」


それだけ確認し、立ち上がる魔王。
「魔王、この件には関わるな。ただ、神仙になることに集中し、その時が来るまで待て!」
「私はすでに1000年待ったんだ。今の私に利用できる方法があるならば、私はそれが何であれ、やる」
「その女性は、恐ろしい罪を犯した羅刹女だぞ!」
それを聞き、怒り心頭の魔王、机をたたきつける。
また、真っ二つだ・・・。
「私が、その罪の対価を支払う。それで、十分だろう!」
立ち去る魔王。

天を見上げるス・ボリ師。
「私には彼を止めることはできません。彼は、ルールに従うと言ってます」
また、雷鳴が轟き、怯えるス・ボリ師。

天の怒りも相当なものらしいです。。。
「私にどうしろというんですか?それでは、なぜあなたは、私に性悪どもを担当させたんですか!」

 

~宝石店~
店にたつ鉄扇公主(羅刹女)の姿を 停めた車の中から、じっと見守る魔王。

~夏天女のバー~
ス・ボリ師から、魔王と羅刹女の経緯を聞くソンミ。
「魔王の恋人は、もともと、チャ・ウンという名前の神仙だった」
「彼女は、どのような犯罪に手を染めたのですか?」
「彼女は自分の子供を助けるために、人間の子供たちの魂を盗みだしたのだ」

「ここに、羅刹女の罰を宣告する」
衛兵に立たせられる公主。


「羅刹女よ、お前を今、この天界から追放する」

それを知り、救えなかった我が身を呪う魔王。

《チャ・ウン!》
響き渡る、戦士姿の牛魔王の悲痛な雄たけび。

「それから、千年の間、彼女は9回めの悲惨な転生をしてきている。」
「まだどのくらい残っているのでしょうか?」
「108回のうち、彼女はすでに9を介して行っているから、99回以上残っている。」
「1000年に、9回の人生を経たとして・・・あと、99回の人生を通過するためには、1万年以上の歳月がかかりますね」

「マ王は、一度にすべての痛みを引き受け、その1万年を相殺するつもりなのだ」
「羅刹女の子は、死んでしまったんですか?」
ん?ス・ボリ師、わざと答えず、話をすすめた!
「これでは、マ王が死んでしまう可能性がある。三蔵は、彼をなんとか停止させるのだ」
「万年の痛み・・・」
想像を超える魔王と恋人の話に、暗澹となるソンミ。

「それは、本当に傷だらけになるぞ。俺は、49日間八卦炉で燃やされたが、その1200倍くらいは傷つくほうに賭けてもいい」
「心配するな」
「やめろ」
「やるつもりだ」お前は、アサニョを信じるのか?」
「もし、彼女が私を騙した際には、お前が殺してくれ」
「お前は、俺を信頼するのか?」


「お前は借りがあるだろ?俺たちが別れた時、彼女は、俺に一緒に逃げようと伝えようとした。彼女は芭蕉扇を彼女の神仙の知人に託し、私に送ろうとした。」
浅く頷いている悟空。
「もし、その神仙の野郎がそれをくすねたりしなければ、我々は会うことができただろう。そうだろう?」
「俺は、ちょっとくらい時間がかかっても、大丈夫だろうと思ったんだ。その間に彼女が事件に関与したことを知ったけど、まさか天界から追い出されることになるなんて、思わなかったんだ。あとで渡そうと思っていたら、今度は、突然、俺自身が五行山に閉じ込められてしまい、そうできなかったんだ」
なんと、牛魔王と鉄扇公主と 孫悟空を、こう絡めてくるとはね。
なんて、ドラマチックな。。。

「なんでもいい。今その借りを返してくれ。邪魔はしないでくれ。後始末だけ頼む」
グラスを運ぶ魔王の手を止める悟空。
「本当にこれをやる必要があるのか?」
「お前だったら、やらないのか? これ以外に方法がないとして、やらずにいられるか?」
きんこじを見つめる悟空。
ソンミのことを考えてるのね。
「とても、抵抗できないだろうな」
重苦しくため息をつく男2人。。

 

★第13話(4)に続く★