物質名が表示されない食品添加物がある?
「国民生活センターに寄せられた質問から」
質問
コンビニで頻繁に食品を購入していますが、食品添加物が心配です。「pH調整剤」は「pH調整剤」としか表示がなく、その物質名は表示されないことがあると聞きました。これはどういうことですか。
回答
食品添加物の表示は食品表示法で、「原則としてすべての食品添加物を『物質名』で食品に表示する」ように定められていますが、一部の食品添加物については使用目的を表す『一括名』で表示できる例外が認められており、物質名が表示されない食品添加物があります。
解説
食品添加物の表示については、食品表示法により原則として『物質名』で表示するよう定められていますが、次の場合は『一括名』での表示が認められています。
【一括名で表示できる食品添加物】
イーストフード、ガムベース、かんすい、酵素、光沢剤、香料、酸味料、調味料、豆腐用凝固剤、苦味料、乳化剤、pH調整剤、膨張剤、軟化剤
【用途名も併記することが必要な食品添加物】
甘味料、着色料、保存料、増粘剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤
例:着色料(カラメル、カロテン)、保存料(ソルビン酸) 等
【表示を省略できる食品添加物】
加工助剤、キャリーオーバー、栄養強化剤
最終的に食品に残っていないか残っていても量が少ない食品添加物、栄養強化を目的としたものは表示を省略できます。
(表示例)
以上、国民生活センターより抜粋
次に、私たちの身近にある「食品添加物」についての基礎知識やルール、さらに加工助剤、キャリーオーバーなどの省略できるケースについて見てみましょう。
食品添加物は、原則として厚生労働大臣が指定したものだけが認められています。
令和4年10月26日現在、日本の食品添加物の数は831品目(香料を含む)あります。
食品添加物でも
豆腐をつくるときに使う「豆腐凝固剤(にがり)」や、ラーメンに使われる「かんすい」など、古くから使われてきた成分も食品添加物に含まれている種類があります。
「添加物」だからといって全てが危険であるとも言い切れません。
(厚労省HP食品添加物から)
添加物の種類と安全性
食品添加物は、商品の「添加物欄」又は「原材料名欄」に、重量の割合の高いものから順に記載されていて、原材料名欄に書かれている場合は、スラッシュ「/」で区切ったり改行され食品と区別されています。
添加物は原則として物質名を表示し、使用目的や効果を表示することが義務付けられています。
とくに消費者の関心が高い8種類は以下。
表示義務がないのは以下のパターンです。
❶一括表示
食品添加物のなかで、同じような用途の場合は一括表示が許されています。
例えばイーストフードは合成添加物ですが、その中身は塩化アンモニウムや酸化カルシウムなど10種類以上の組み合わせになっていて、
どの物質がいくつ使われていても「イーストフード」のみの表記が可能。
知らされないので、何が使われているかもわかりません。
一括表示ができる添加物は以下の通り。
イーストフード
かんすい
酵素
光沢剤(菓子などのコーティング)
香料
酸味料
ガムベース
軟化剤
調味料(アミノ酸)、調味料(アミノ酸等)、調味料(核酸)、調味料(核酸等)、調味料(有機酸)、調味料(有機酸等)、調味料(無機塩)、調味料(無機塩等)
豆腐用凝固剤(凝固剤)
苦味料
乳化剤
水素イオン濃度調整剤(pH調整剤 )
膨張剤、膨脹剤、ベーキングパウダー、ふくらし粉
例えば、スナックお菓子の添加物欄に、「調味料、光沢剤、香料」と書かれていたら、
それだけで何十種類もの添加物を一度に摂取している可能性があるということです。
一部の食品添加物については使用目的を表す『一括名』で表示できる例外が認められており、物質名が表示されない食品添加物や、簡略名や類別名で表示される場合があります。
参照:日本食品添加物協会
❷その他:原材料の表示を省略できるのは、面積が小さい、ばら売り等
加工食品の容器または包装の表示可能面積が小さい(表示の可能な面積が30平方センチメートル以下の場合)場合は、原材料の表示を省略できることになっています。
さらに惣菜の量り売りやパンの販売やばら売りの食品については、添加物を含む旨の表示義務はありません。
しかし、売り場等に添加物の物質名及び用途名を使用した旨を表示することが望まれます。
①防かび剤又は防ばい剤
②甘味料のサッカリン、サッカリンカルシウム又はサッカリンナトリウムを使用した食品
まとめ:加工度の高い食品に注意
食品添加物の基礎知識や表示のルールについて
添加物には一括表示のように、複数の種類がまとめて表示されているケースや、
キャリーオーバーのように省略されていることがあり、原材料欄に書かれている以上に多くの種類が使われている可能性があります。
そのリスクについては確実に安全であるとも言い切れず、やはり日常的に添加物を減らす努力が必要です。
コンビニ弁当やスーパーの惣菜、お菓子やレトルト食品などの加工度の高い食品には注意しましょう。
以上、参照:食とこころ