OECDの国際貿易本『よくわかる国際貿易(OECDインサイト 1)』を読んでいます。データに基づいてグローバルビジネスを丁寧に解説しており、面白いです。

グローバル化に対する批判のひとつに

「安い海外労働力の所為で国内の雇用が減り、失業者が多くなる」

というものがありますが、データははっきりと

「市場開放が進めば進むほど、失業率は低下する」

ことを示しています。

これは先進国でも発展途上国でも同じです。

グラフは世界各国の失業率を示したものですが、EUが1993年に発足して以降「移民が多数流入して、労働者の職を奪われた」はずのヨーロッパ諸国では、反対に失業率が下がっていることがわかります。

このグラフでとりあげられているどこの国でも年を経るにつれて市場開放に向かっておりますから、経年変化により失業率は下がる傾向にある様子が見られます。

なお2007年以降の失業率増加は言わずと知れた世界同時不況、

ドイツの失業率増加はベルリンの壁崩壊による政治混乱です。(だからドイツはドイツ再統一がなされた1990年以前のデータがありません)

日本の失業率微増はバブル崩壊以降の長期不景気から回復できていないからですね。これこそ、市場開放の逆である硬直化した規制の多い市場であるからこんなことになっているのだと思います。

「安い海外労働力が流入すると、失業率は下がる」

ことについて、OECDは

「安い海外労働力が流入し、(労働者)人口が増えたことで産業が活性化し、流入した労働力以上の新たな雇用を創出するから」

と分析しています。

安価な発展途上国の労働者は、働き手であると同時にお客様でもあります。
データに基づかない先入観や感情論だけによる海外労働力の締め出しは、双方の利益にならないということですね。

なお、ここで言う「安価な海外労働力の流入」とは、移民だけではなくオフショアリングや海外委託等も含みます。

どの国家間ビジネスでも、一方的に輸出するだけ・輸入するだけ、という関係はほとんどなく、双方が双方のお客様です。

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「安い海外の労働力で失業率が上がる」はウソ？！データで見るグローバル化