韓国、「86世代」日本を利用する戦略提言「騙しの手口」 | 勝又壽良の経済時評

韓国、「86世代」日本を利用する戦略提言「騙しの手口」

 

 

日本の韓国人公立大学教授の視点

狙いは韓国人学生の日本への就職

 

韓国政界を動かすリーダーは、多くが「86世代」と言われる層だ。1960年代前後に生まれ、80年代に学生生活を送った人たちである。80年の民衆蜂起の「光州事件」に遭遇して、「反米・親中朝」派とされる。いわゆる民族主義的な色彩が強く、市場経済否定派であり、中朝流の計画経済を信奉している。

 

この「86世代」が、文在寅(ムン・ジェイン)政権の中枢を担っている。文大統領自身が、前回の大統領選で敗れた後に出版した著書では、「原理主義」と「独善主義」が敗因と指摘したほどである。今回の閣僚人事では、文氏の「原理主義」と「独善主義」が前面に出ている。実は、前記二つの特色は、「86世代」に共通したものだ。

 

きょう取り上げるテーマは、この「86世代」と思われる韓国知識人が、日本をいかに利用するかを提言したコラムである。彼らには、日韓友好精神など存在しないことが明らかである。日本を利用するという目先の利益を優先している。このコラムでは、日本侮蔑を芬芬(ふんぷん)とさせており、日本の公立大学で教授という職を得ながら全く違うことを考えている。それが残念である。

 

日本の韓国人公立大学教授の視点

『韓国経済新聞』(6月27日付)は、コラム「感情論理から抜け出して日本と接する」を掲載した。筆者は、韓国人の鞠重鎬(クク・ジュンホ)氏だ。横浜市立大教授である。

 

タイトルから受ける印象は、韓国が感情論を捨てて理性的に日本と接しようというイメージだがそうでない。日本人は人権意識を理解できないから、話しても無駄であるというニュアンスである。それよりも、ニコニコ顔で日韓首脳が写真に収まり、韓国学生の日本での就職をうまくやった方が勝ちである、まあこういった「即物的」エッセイである。大学教授にしては、品格に欠けることおびただしい。知性の一片も感じられないのだ。

 

(1)「 韓国の大統領は、『権不十年』どころか『権不五年』であるため、あれこれしているとすぐに5年が過ぎる。韓日関係戦略が非常に不足した韓国で、日本専門家の力はまともに発揮されず、感情論理と民主論理に埋もれてしまわないか心配だ。この2つの論理が通じない日本であるため、その2つの基準を突きつけるのは国益にならない。消耗的な空転で歳月が流れるだけだ。経済を活性化し、青年をより豊かな経験の海に導こうとするのなら、感情論理、民主論理とは違う基準での日本との接し方が要求される。文在寅政権の対日戦略として『個別案件は専門家に任せ、経済文化は協力しよう』という趣旨の実利路線を提言する」
 

私が最初に疑問に思う部分は、次の箇所である。「日本は、感情論理と民主論理の2つの論理が通じないため、その2つの基準を突きつけるのは韓国の国益にならない」としている。この前提には、韓国は感情論理と民主論理において、日本よりも優れているという含意がある。日本側から言えば、その理屈は「ちょっと待ってくれ」と言いたいのだ。

 

朝鮮李朝の専制政治時代を終わらせたのは、韓国人の認めたがらない日韓併合である。日韓併合によって、儒教教育から先進国の欧米流近代教育の洗礼を受けたのだ。日韓併合がなければ今頃は、現在の中国か北朝鮮の専制政治体制下に組み込まれていたであろう。

 

ここで言う「感情論理」は、人権意識を指しているようだ。韓国の理屈では、慰安婦問題を人権意識として捉えている。現代の感覚によれば、慰安婦問題は人権問題だが、71年前の日本は「公娼制度」によって売春が公認されていた。現代の意識で、当時の制度を無視して裁くことが、歴史を見る目としては「落第」なのだ。当時の法制度に基づいて論じるべき問題なのだ。筆者の鞠重鎬氏は、学界に身を置く立場である。この辺のけじめが完全に欠如している。

 

戦後の日本が売春禁止法を施行したのは1957年4月である。韓国はさらに遅く2004年5月である。韓国は、日本より47年間も遅れていた点を考えれば、韓国の人権意識は日本よりもはるかに遅れていたことになるのだ。しかも、最近の韓国では、「売春禁止が人権侵害だから売春を認めろ」という訴えが憲法裁へ出されほどだ。こういう、韓国人の性道徳の乱れこそ恥じ入るべきだ。慰安婦の人権を論じる以前の問題である

 

韓国では、慰安婦問題を強制連行説とリンクしている。これは、日本の吉田清治の虚言を朝日新聞が真実と誤解して報道した結果である。韓国は、この事実を絶対に受け入れないのだ。当時の「公娼制度」下において、女性の自由応募があった事実を忘れた一方的な「強制連行説」を信じるのは、学者として検証を放棄した行為と批判される。韓国では21世紀まで公娼制度が存在した国である。自らの国のルーズさを恥じ入るべきで、日本批判は見当違いである。

 

(2)「感情を前に出して少女像を日本大使館や領事館の前に設置して抗議したところで、日本政府が頭を下げて『慰安婦問題を再交渉する』と言ってくることはあり得ない。日本政府としては朴槿恵(パク・クネ)政権当時に『最終的、不可逆的』に慰安婦問題が解決されたと見るからだ。『不可逆的』とは『二度と後戻りしない』という意味であるため、日本としては、『すでに解決したことをなぜまた持ち出すのか』と背を向けるしかない。もし日本国民が人権や人間の尊厳性を前に出して自国政府に抗議するようなことを望んでいるのなら、それは安易な考えだ。ほとんどの日本人は人権や尊厳性など抽象概念を深刻に悩むこともないうえ、政治外交は政府に任せて沈黙する方向で慣れている」
 

鞠重鎬氏は、ウイーン条約で外国公館付近に外国を不快にさせる物の設置を禁じていることを知らないようだ。一昨年末の日韓慰安婦合意は、日本の10億円支払いと「少女像」撤去がセットになっている。それにもかかわらず、10億円は受け取ったが少女像を撤去しないでは、協定違反である。この単純な事実について、なぜ韓国側の非を認めないのか。韓国は撤去しない理由として、「国民が納得していない」という曖昧な理由を持ち出している。要するに、「食い逃げ」を狙っているとしか言いようがない。

 

約束を守らない韓国が、「日本国民は、人権や人間の尊厳性を前に出して自国政府に抗議するようなことを望んでいるのなら、それは安易な考えだ」と日本を批判できるだろうか。慰安婦問題の本質を曲解し続けている韓国に対して、日本人はもう嫌気が指しているのだ。「解決金10億円」を受け取った事実こそ、韓国が日本の主張を認めた証拠である。「解決金」とは、双方の言い分を認め合いそれを金銭で表し了解したのだ。いまさら、振り出しに戻って、もう一度日本は謝罪せよと迫ってきても無理である。

 

卑近な例で言えば、離婚裁判の調停において双方の主張が食い違っても、「有責」側が解決金を支払う意思を示し、相手側がそれを受け入れれば「一件落着」である。韓国の言い分は、法的に離婚が成立した元夫婦の一方が後刻、相手を非難して調停のやり直しを求めるという不可能な行動に等しいのだ。こんな無理難題を吹っ掛けられている日本が、「ハイ、そうしましょう」と言うはずがない。そうかといって、日本が非難されるいわれはない。韓国こそ問題を抱えている国なのだ。

 

次の批判も的外れである。「ほとんどの日本人は、人権や尊厳性など抽象概念を深刻に悩むこともないうえ、政治外交は政府に任せて沈黙する方向で慣れている」。日本が売春禁止法を実施したのは、戦後間もない1957年だ。人権や尊厳性を深く理解していたから、戦後の混乱直後に廃止へ踏み切ったのだ。韓国の売春禁止法は、2004年である。高度経済成長期が済んだ後になってようやく手をつけたのだ。この韓国に、人権や尊厳性など先進的な理解があったとはとうてい思えない。今なお韓国は、売春婦の世界への「輸出基地」とさえ言われている。深く反省すべき事柄なのだ。

 

(3)「すぐに解決することでもない事案に韓日関係が足を取られ、目の前の問題も解決できないのが昨今の韓国だ。『慰安婦問題は専門家グループが議論することにしよう』という方向に誘導し、深刻な青年失業の解消などのために日本を利用するのが賢明な戦略だ。韓国は青年の就職が難しく厳しい現実である半面、日本は企業が人を確保できず苦労している。韓国の青年の日本中堅企業就職は、仕事に慣れていきながら日本を知っていく機会にもなる。日本企業としても悪くはない。対外志向が不足する日本の会社員に新たな刺激になるためだ」

はっきり言えば、慰安婦問題は解決済みである。その証拠に、日本政府は解決金を支払い、韓国政府が受け取り、8割の女性に分配し終わっている。受け取り拒否は11人にすぎない。この11人の解決を日本政府に依頼しているに等しいのが現状である。それは、韓国政府の仕事である。日本に下駄を預ける問題ではない。

 

本音は韓国人学生の日本への就職

次のパラグラフに、コラム筆者の本音が出ている。

 

「深刻な青年失業の解消のために、日本を利用するのが賢明な戦略だ。韓国は青年の就職が難しく厳しい現実である半面、日本は企業が人を確保できず苦労している」。

 

日本を慰安婦問題で揺さぶりながら、韓国学生の就職で果実を得ようという狡猾なねらいだ。韓国が慰安婦問題は解決済みと言うならば、韓国学生の日本での就職斡旋も気持ち良く進むだろうが、韓国のずるい底意が見えた以上、日本政府が斡旋の労をとる必要性はさらさらない。言葉は悪いが、韓国の「たかり根性」をすっぱり切り捨てさせるべきだろう。それが、韓国へ反省を迫る道となる。

 

(4)「日本で文在寅(ムン・ジェイン)大統領は『反日』イメージとして映っている。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の秘書室長だったという文大統領の経歴を挙げ、盧武鉉政権当時と似ているという推測もしている。ところが盧武鉉政権は金大中政権を受け継いだ。これを外交的な武器として逆に利用し『金大中-小渕宣言の精神で進んでいこう』という戦略が有効だろう」
 

盧武鉉氏が金大中路線を受け継いだのは、大統領就任2年間にすぎない。その後は、強烈な「反日」に転じた。「親日処罰法」という立法論ではあり得ない法律で、日韓併合時代の日本統治に協力した子孫の財産を没収する「反日立法」を行なった。この盧武鉉氏の懐刀が文在寅氏である。「反日闘士」の系譜に属している。文氏は、「慰安婦発言」で日本を警戒させている。今後、米韓外交の行き詰まりで日本へ斡旋を依頼して来ても、日本は安易に助け船を出さないことだ。この際、韓国に徹底的な苦労をさせるのも必要である。

 

(5)「文大統領は1953年生まれ、安倍首相は1954年生まれと年齢は近いが、形成されてきた思考は対照的だ。文大統領は草の根民主主義を経験し、人権を重視してきた庶民出身である半面、安倍首相は自民党結成(1955年)以降続いてきた政治権力の家門出身だ。2人は全く違う。したがって文大統領が安倍首相に韓国的な民主論理を強調しても空回りするしかない。2人の間の考え方のコードと情緒の違いを認め、外交および政治の象徴としてお互い握手して写真を撮ることができる関係なら合格点といえる。それ自体が大きな進展だ」
 

このパラグラフでも問題発言をしている。

 

「文大統領は草の根民主主義を経験し、人権を重視してきた庶民出身である。文大統領が安倍首相に韓国的な民主論理を強調しても空回りするしかない」

 

ずいぶんと失礼なことを言っている。文氏が草の根民主主義を経験し、人権を重視してきた庶民出身だというが、大統領府に入っての閣僚選考を見ると、「原理主義」と「独善主義」のオンパレードである。「すねに傷もつ」問題人物を閣僚に指名して、韓国マスコミから猛批判されている。これほど庶民感覚のない人選も珍しく、「お友達内閣」を組織しようとしているのだ。

 

だいたい、草の根民主主義という意味が分かっているのだろうか。文氏は貧しい家庭に生まれたことは事実としても、だから「人権重視」とは言えない。韓国のような学歴社会では、良い学歴=良い大学であれば「王侯貴族」の生活も可能だ。それが、李朝時代の「科挙」の歴史が教える事実である。韓国の異常なまでの学歴偏重は、儒教社会の伝統そのものだ。

 

文氏が、草の根民主主義と人権を重視する政治家ならば、与野党を糾合した内閣を組閣するはずだ。現実は、それと真逆である。大統領選での論功行賞にすぎない。だから、野党が反対しているのだ。この現実を認めるべきだろう。

 

「外交および政治の象徴として、(日韓が)お互い握手して写真を撮ることができる関係なら合格点といえる。それ自体が大きな進展だ」とも指摘している。

 

この程度の「演技」をして、韓国の学生を日本で就職させたい。なんとさもしいことを考えているだろうか。少なくも、日本の公立大学に職を得ている人間ならば、もう少し気の利いた知的な提言ができないのか。例えば、日韓併合が朝鮮の近代化にどう結びついたのか。韓国にとっては「不都合な事実」でも、しっかりと向き合うことだ。慰安婦問題は、歴史的事実を認識するという「勇気」があってこそ解決できる問題であろう。歴史的な不都合な事実から逃げていたのでは、日韓関係は前進不可能である。学界人として、ぜひこの程度の提言を期待する。次回のコラムを楽しみにしたい。

 

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(2017年7月7日)

 

 

 

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