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<犬猫の殺処分問題>年間5万匹以上が犠牲!涙する保護センター職員が実態を告白

10/17(火) 21:03配信

 

<犬猫の殺処分問題>年間5万匹以上が犠牲!涙する保護センター職員が実態を告白

神奈川県動物保護センターの犬舎。過去にはたくさんの犬が収容され、処分機へ送られた

 
全国で5万5998頭が殺処分された

 

「好きな動物を助けたいと思い獣医師になったのに、なぜ動物を殺しているんだろうって。今まで(犬や猫)100匹以上は手にかけました……」

 苦しい胸の内をそう吐露するのは獣医師だ。自らの手で麻酔薬を打ち処分する様子を、

「注射器のシリンダーの目盛りが減っていくんですけど、手が震えて力が入らなくなったこともありました。閉じた目は2度と開かないんです」

 と振り返る。動物に、こう呼びかけていたという。

「ただ、安らかに眠ってくれ。次に生まれ変わったときは、幸せになってくれと、いつもそれだけを願っていました」

 獣医師の名は、神奈川県保健福祉局生活衛生部の八木一彰さん。獣医師として2005年から'08年まで、県動物保護センターに勤務し、殺処分を担当した。こう続ける。

「仕事なので誰かがやらなければならない。悔しい気持ちだけでは何も変わらない。殺処分される動物を少しでも減らすために変えていかなければと思うようになりました」

 何かを変えれば、殺処分は減らせる。殺処分ゼロも夢ではないという目標を掲げ動物の命を守る取り組みを展開している自治体もある。

 昨年度、全国で殺処分された犬・猫の数は5万5998頭。年々、減少してはいるが、殺処分ゼロの日は遠い。

 愛知県名古屋市の動物愛護センターは昨年度、犬の殺処分ゼロを達成した。1985年の開設以来、初めて。ふるさと納税で集まった寄付金が財源となり活動を支えた。同センター愛護指導係の鳴海大助係長が解説する。

「'13年度は83頭、'14年度は56頭、'15年度は25頭の殺処分をしました。あと少しでゼロにできる。しかし、犬を生かすために税金を使っていいのかという議論もありました。ならば寄付金で行おうと、昨年度から取り組みをはじめました」

 

「やりたくない」と泣く職員も

 

 当初の寄付の予想は100万円ほど。ところが蓋を開けてみると、予想の10倍以上の約1100万円の寄付金が集まった。お金の使い道は、

「エサ代、医療費、(しつけや世話をする)ボランティアさんへ現物支給する首輪、リード、ペットシート等の代金などです」(鳴海係長)

 保健所の努力以外にも、ボランティアの力添えがなければ、犬の殺処分ゼロは達成できなかったと感謝する。

「センターから引き取って飼い主を探してくれるのがボランティアさん。本当に頭が下がります。1頭につきエサやペットシートなどをワンセット渡していますが、医療費がどうにかならないか、という声をいただいています。病気の犬や猫を引き取っていただいた場合、飼い主が見つかるまで病院代はボランティアさんの自腹。今後、検討する予定です」(鳴海係長)

 今年からは寄付金の用途を猫にも拡大しているが、

「数が多すぎるのが一番の問題。当センターも、現状はぱんぱん。どうしても殺処分せざるをえない。昨年度は399頭の猫を殺処分しましたが、“やりたくない”と涙を流す職員もいます」(鳴海係長)

 犬と比較し猫の殺処分が多いのは全国的な傾向だ。特に生後間もない乳飲み猫は数時間おきのミルク、お尻ふきと負担が多く面倒を見きれないのが現実。

 そんな中、いち早く殺処分ゼロを達成したところがある。神奈川県が所管する県動物保護センターだ。犬は4年連続、猫は3年連続殺処分ゼロを更新している。

 同センターを見学させてもらった。犬・猫は現在、各40頭ほど収容されている。猫舎に入ると「にゃあにゃあ」と甘える声が。ケージには《人なれ強化中。たくさん遊んでね》と書かれたプラスチックの板がぶら下がっている。

「猫はなかなか人なれしないんです。引っかいたり、噛みつく子もいる。乳飲み猫は100%、ボランティアの方が引き取ってくれています」

 そう話すのは同センターの岩屋修課長。地下の犬舎も案内してもらった。

「昔はここにいっぱいの犬が収容されていました。電話で、心ない言葉を言われたこともあります。職員たちはみな、なぜ殺さなければならないのか葛藤していました。

 最後は、処分室の箱の中に二酸化炭素を注入して窒息死させます。幼い犬や猫は呼吸が浅いので死にきれない場合がある。そのときは、麻酔などを打って殺すんです」

 冒頭に登場した八木獣医師は、その最終局面で多くの犬・猫の命と向かい合ってきた。

 

新センターに殺処分室はない

 

 殺処分の一方、収容された犬・猫を新たな飼い主へと譲渡するのも保健所の役目。八木獣医師は、譲渡会の運営担当者だった。参加者に対し、

「動物を飼うということは最後まで責任を持つということ。動物は自分で生きることができない。飼い主が、その動物の人生を大きく左右するんです。1匹犬を飼っている人が2匹目を飼ったが、犬同士の相性が悪く、ケンカもする。散歩も別々で時間がかかる。引き取ってほしいと連れて来る方もいます」

 と包み隠さず伝える。

 神奈川県では未来を見据えた取り組みも行っている。

 1972年に開設された県動物保護センターは老朽化しているため、新施設を'19年4月に開設する予定だ。

「新たなセンターには、殺処分室はありません。殺処分ゼロを継続するのは難しいことです。私たちもいつまで続けられるかわかりません。少しでも命が失われることを防ぐためにも、動物愛護の拠点として、将来は動物も人間も幸せになれる施設を目指します」

 と同県保健福祉局で動物愛護を担当する松谷順子課長が明かす。現在、寄付を募っているが、目標の11億円に対し、現状は2億3万8014円(10月6日現在)。

 自治体によって、事情は違う。香川県では、昨年度、約1500件もの犬の殺処分を行わざるをえなかった。野犬が非常に多いためだ。

「野犬というと他県にも驚かれます。もともと飼い主がいないもので、どうしても殺処分せざるをえない。子どもが追いかけられた、通学路にたまっているという苦情をよくいただきます。成犬は人になれず、海外でも駆除対象です。しかし野犬でも子犬は順化しやすいため、人にならして譲渡をする取り組みを行っています。今年度は検討委員会を立ち上げました。検討し改善を図っていきます」(同県生活衛生課)

 一朝一夕に解決する名案がない殺処分。犬・猫を保健所から引き取って飼えば小さな命を救うことができる。ただし、その命が尽きるまで、しっかり家族のように面倒を見ることが大前提だが。

 

 

~転載以上~

 

 

★参考過去記事

 

【必読】誰も猫を殺処分したくはない―命の現場が抱える葛藤と現実―

 

犬猫処分 実態知って 「殺すために獣医師になったんじゃない」 自治体職員の苦悩続く