産経新聞からです。

 

 

伝統の「壁」なくし今年も4日から開催 「動物虐待」と批判の三重・桑名の上げ馬神事

配信

 

動物虐待との批判を受けた三重県桑名市の多度大社に伝わる神事「上げ馬神事」が、今年も5月4日から営まれる。人馬が土壁を乗り越えた回数で農作物の豊凶などを占うが、新型コロナウイルス禍で4年ぶりの開催となった昨年、転倒した馬が安楽死となったことがSNSで拡散され、物議を醸していた。動物愛護団体による刑事告発もあり、廃止を求める声も高まったが、長年の伝統を大幅に変更した上で継続される。

 

 ■爆破予告まで

 

 上げ馬神事は人を背にした馬が急坂を駆け上がり、高さ約2メートルの土壁を乗り越えた回数で農作物の作柄などを占う神事。約700年前の南北朝時代に起源があるとされ、県無形民俗文化財に指定されている。

 

 しかし、昨年の1頭を含め、過去15年間で少なくとも計4頭がけがをして安楽死処分となった。県は6月、坂の傾斜を緩やかにしたり、馬をたたく行為をやめたりするよう指導。県教委も8月、県文化財保護条例に基づき、馬への威嚇をやめるよう勧告した。

 

 また、2つの動物愛護団体が神事の主催者らを動物愛護法違反罪で県警に告発。昨年10月に受理された。11月には爆破予告のメールも多度大社に届いた。

 

 ■占いの行方

 

 こうした事態を受け、多度大社は獣医師や県の馬術連盟、日本中央競馬会(JRA)など外部の専門家を交えた検討会の提言を踏まえ、今年は神事の大幅な変更を行った。

 

 最大の変更は、占いには欠かせないはずの土壁の撤去。さらに坂の傾斜も緩和し、馬が脚を滑らさないように砂を厚さ5センチほど敷いた。馬への暴力や威嚇行為を一切行わないよう厳しく指導し、ルールを守れない場合は退場を促すという。

 

 また、ムチも竹の棒から馬術競技などで使用される柔らかい素材に変更。打つのではなく、見せるだけの合図用として使用するなどとした。

 

 壁をなくすことで豊凶を占う神事のあり方そのものが揺らぎかねないが、多度大社の担当者は「豊凶などを占うこと自体は変わらない。神社側がいい悪いを判断してきたわけではない。地区の方々がどう受け止めるかどうかだ」としている。

 

 ■「時代に合った祭りに」

 

今年の開催について、刑事告発した動物愛護団体の一つ「PEACE」(東京都豊島区)の東さちこ代表は「告発状が受理され、警察の判断を待っている状況なのに非常に遺憾だ」と指摘。一方で「今回、ようやく神事の内容が大きく改善された点については評価したい」とした。

 

多度大社の担当者によると、虐待防止や安全対策のため、関係者が馬の扱いを学ぶ講習に参加。4月20日には改良した坂で練習を行い、9頭全てが負傷することなく駆け上がったという。

 

例年は地元の6地区が参加していたが、今年は3地区のみになる。担当者は神事を継続していくためには「時代に合った祭りにしていかなければいけない」と強調した上で、「人馬ともに安全で、楽しいお祭りになれば」と話した。(本江希望)

 

 

~転載以上~

 

 

★関連ニュース 中日新聞