(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/941/1291463

 

 
 

日本と外国における活動費の工面の差

 
昨日、日頃からお世話になっているスタッフさんが村上隆さんの展覧会に行かれて、その感想をシェアしてくださったのですが、その中で「展覧会の最後に残されていた村上隆さんの言葉が胸に残りました」と言われていたんです。
 
これも展覧会の内容にあたるので、どこまでシェアしていいかわかりませんが、ザックリとだけお伝えすると、「今回の展覧会はお金の工面が本当に本当にしんどかった」というもの。
 
本当の内容はもっとエグかったので、気になる方は是非、現在、京都市美術館で開催されている村上隆さんの展覧会に足を運んでみてください。
 
村上さん曰く「アーティストがこうやってお金の心配をしなきゃいけないっていうことが、外国でやってきた自分の身としては、極めてしんどかった」と。
 
僕は、村上隆さんがいらっしゃる高みを知りませんが、僕レベルでも日本と外国(僕の場合は日本とニューヨーク)の活動費の工面の差はメチャクチャ感じておりまして…
 
Voicyでも何度かお伝えしておりますが、今年1月にニューヨークでミュージカル『えんとつ町のプペル』の(投資家に向けた)プレゼン公演がありまして、そこで、投資が集まって、今は、そのお金で活動させてもらっています。
 
一人の投資家が「5000万円出します」「1億円出します」みたいなノリです。
 
そのお金で、スタジオを借りて、スタッフを雇って、また「リーディング公演(本読み公演)」をおこなって、さらに投資を集めて、劇場公演に向かう…という流れなのですが、この時、最初に投資してくださった方が『インベスタークラブ(投資家の集まり)』の方だったりして、ミュージカル『えんとつ町のプペル』の実現に向けて、投資家の友達に声をかけてくださるんです。
 
「僕が今回、お金を出している作品、熱いよ。キミも一度、リーディング公演を見にきなよ」みたいな。
 
そういう感じで、「お金が集まる仕組み」ができているので、僕らは、観に来てくださった投資家を唸らせることに集中できて、そうして作品制作に集中することが、もっとも合理的な判断となります。
 
もちろん僕レベルでは「外国はお金の心配はしなくていい」というところまではいっていないですが、ですが、日本には無い「アーティスト活動のフォローの厚さ」を目の当たりにします。
 
「アーティスト(クリエイター)は作品制作に集中してよ」という環境が整っているんですね。
 
先日、日本のバレエ教室に対して、「もっと勉強しろよ」とブチギレてしまいましたが、そこに対して言葉を付け加えるなら「日本で活動するのなら」で、国レベルで活動を支援してもらえる地域だと、バレエ関係者はバレエに集中することが正解なのだと思います。
 
まぁ、なので「国レベルで手厚い支援があるわけでもない日本のバレエが、国レベルで手厚い支援がある国のバレエをベースに、バレエを作ってしまったら、そりゃ、どこかにシワ寄せがいって当然だよね」という話で、そして、「そのシワ寄せを子供達に向けるなよ」という話です。
 
 

「支援の制度」と「正しくジャッジができるキュレーター」

 
なかなか嘆かわしい話ですが、一方で、ガラパゴス諸島のイグアナみたいな感じで、「過酷な環境だからこそ伸びた爪」のようなものはあって、今度はニューヨークに行くと、僕みたいにクラウドファンディングのプラットフォームから作って、オンラインサロンを運営して、他にもサービスをいくつも展開して、そこで作ったお金を創作活動に落としているクリエイターはなかなかいなくて、そこそこ面白がってもらえるので一長一短です。
 
とはいえ、日本が海外に売り込むことができる数少ない輸出品である『エンタメ・芸術』において、「クリエイターが作品制作に集中することができない環境」は、やっぱり何か手を打っていかないといけないよなぁと思います。
 
一応、日本にも「クールジャパン」と称して、アーティストの活動を支援する機関はあったりするのですが、こんなことを言うと怒られますが、たぶん目利きできる人がいないのか、それともクダラナイ癒着が発生しているのでしょう。
 
彼らが支援したアーティスト達の活躍を少なくとも僕が活動している地域では全く耳にしません。
 
ウン十億や、ウン百億円ぐらい使っていると思うのですが、「誰に使ってんの? 全然、見かけないんだけど」といった感じです。
 
そう考えると、アーティストを支援する制度みたいなものを作ったところで、キュレーター(支援先を選ぶ人)がアレだったら、ウン百億円あったところで何も生まれないので、「支援の制度」と「正しくジャッジができるキュレーター」は二つセットだなぁというのが今日の結論です。
 
 
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