こんにちは。 札幌出身の皮膚科専門医/美容皮膚科女医の日景聡子です。
ヨガのお友達から、こんな質問を受けました。
「さとこちゃん、顔筋体操って、シワやたるみにいいのよね?」
顔の表情筋の筋トレ、ということですね。
筋トレは、どうして良いと言われるのでしょう?
筋肉を鍛えないと固まってきて、リンパや血液の流れが悪くなる…とか、
筋肉を動かすことで脂肪の燃焼が促されて小顔・ダイエットになる、とか…
筋肉が衰えると皮下脂肪を支えられなくなってたるむ、とか…
ネットには、いろいろな情報が載っています。
読みながら、「大事なことが書いてないじゃない」と思ったので、
今日はそのお話をします。
顔の表情筋は、骨と直接繋がっていない
手足の筋トレを思い浮かべていただきたいのですが、
筋トレをするとき、曲げ伸ばしをしますよね。
つまり、骨を動かしますよね。
体の筋肉は、端っこで骨と繋がっています。
骨の動きと連動して、筋肉が動く(収縮する)わけですね。
ところが、顔は違います。
口を閉じて、歯を噛みしめたまま、表情を作ってみて下さい。
びっくりした顔、しかめっ面、ニコッというスマイル、どれもできますよね。
つまり、骨を動かさなくても、筋肉が動くということなんです。
これが、顔の表情筋が他の筋肉と決定的に違うところです。
もちろん、表情筋の奥には、骨と繋がっている筋肉もあり、
噛む時に(骨が動く時に)働いています。
顔の筋トレで動かす筋肉は、主に表情筋なんですね。
表情筋は、皮膚とくっついている
骨と直接繋がっていない表情筋、宙ぶらりんになっているわけではありません。
実は、表情筋の片方の端は、皮膚に固定されているんですね。
つまり、筋肉が動くと、皮膚も一緒に引っ張られます。
だからこそ、表情を作ると(筋肉を動かすと)、皮膚にも動きが出るんですね。
腕立て伏せをしても、腕の皮膚に変化はありませんよね。
(肘の内側の皮膚はシワになりますが、これは曲がる時に皮膚が余るからです)
顔の表情筋は、動かせば動かすほど、皮膚も引っ張られます。
そして、次第に「折じわ」ができてくるんですね。
眉毛を上げると、額に横じわが入りませんか?
今は表情を元に戻すと消える横じわも、
だんだん折れ曲がりの癖がついてくると、
最終的には表情を作らなくてもシワが固定されてしまいます。
つまり、表情筋の筋トレをすればするほど、シワができやすくなってしまうのです。
シワにはボトックス®注射、というのはだいぶ知られてきていますが、
この注射は、ターゲットとする表情筋の動きを抑える治療なんですね。
筋トレとは真逆なんです。
表情筋の筋トレは、体の筋トレとは違いますので、どうぞご注意ください
「でも、ほうれい線に良いって書いてたし…」と思われる方のために、
明日は筋トレとほうれい線について書いてみますね。
いつも最後までお読みいただき、ありがとうございます。