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医師の技術教育指導担当 Dr村松@湘南美容クリニック

湘南美容クリニック新宿本院主任医長兼技術指導医Dr.村松が日々の症例や美容外科に関することを分かりやすく解説します。

本日ご紹介する症例の患者様は50歳代半ばの女性、上まぶたのたるみを気にされていました。

 

カウンセリングの結果、MD式眉下リフトを行うこととしました。

 

今回の手術のデザインおよび切除組織です。

 

私の行う眉下リフトでは皮膚切除ののち、ほぼ全例で眼輪筋の部分切除を行い、一部の症例で皺眉筋の部分切除を行います。

 

眼輪筋に関しては何もしない、タッキング(tucking)などの術式もありますが、私が眼輪筋の部分切除を行う理由としては、

 

・皮膚のみ切除した場合、切除皮膚の直下の眼輪筋は余ることになり、眉毛の直下がややbulky(分厚い)になる可能性がある。

 

・眼輪筋は目を閉じるための筋肉であり、目を開けるための抵抗組織の一つでもあるため、眼輪筋の部分切除により目を閉じる筋力が若干弱まる→目を開ける際の抵抗が若干弱まる→目が少し開けやすくなる可能性がある。

 

以上が考えられます。

 

 

眼輪筋切除を行うデメリットとしては

 

・術後出血が増える可能性がある → 眼輪筋切除時はモノポーラフォーセプスを使用し極力出血を抑えつつその後の止血も丁寧に行う

 

・多く切除すると閉瞼不全(兎眼)を生じるリスクがある → リスク回避のため皮膚切除幅に対し眼輪筋切除幅はやや控えめにする(眼輪筋を多く切除すると目が閉じにくくなるわけなので、逆に言えば眼輪筋を切除すれば目が多少なりとも開けやすくなるはずである)

 

以上が挙げられます。

 

術者側のデメリットとして、正直なところ『手間がかかる』というものも挙げられるかと思います。

 

タッキングの方が圧倒的に手技も簡単ですし出血もほぼしません。

 

ですが眼輪筋切除には上記のようなメリットもあるため、私はこれまで執刀してきた眉下リフトのほぼ全例において追加料金は頂かずに眼輪筋切除を行っています。


 

では術前→術後7ヵ月です。

 

術後は二重幅はわずかに広がった程度ですが、眉毛の位置が随分と降りています。

 

目の開きが重たい場合、無意識に額の筋肉(前頭筋)に力が入り、眉毛を持ち上げて額にシワを寄せながら目を開きます。

 

術後に眉毛が降りてきたということは、術後はかなり目が開きやすくなった、ということです。

 

患者様にも大変ご満足いただけました。

 

 

傷の部分の拡大写真です。

 

 

 

目を凝らして見てもなかなか認識できないくらい綺麗に治っています。

 

 

ご参考になりましたら幸いです。

本日ご紹介する症例の患者様は鼻筋の高さが欲しい、鼻先が笑った時に広がるのを改善したい、自然な仕上がりを希望、とのご要望でした。

 

 

 

鼻先が笑った時に広がって見える一番の要因は鼻先の立体感の問題です。

 

立体感のあるお鼻の方は笑って鼻が広がっても目立ちませんが、べちゃっと潰れた感のあるお鼻の方は目立ちやすくなります。

 

今回は鼻筋を自然に通しつつ鼻先に若干の立体感を加えるために、全鼻形成(いわゆる鼻フル)を行う必要がありました。(I型プロテーゼ、鼻尖形成、鼻中隔延長、耳介軟骨移植)

 

 

眉間から鼻根にかけての落差が大きく、プロテーゼのみの施術ですと眉間から突然細い鼻筋が出現し不自然になると思われたため、今回は眉間への脂肪注入(コンデンスリッチフェイス法)も行っております。

 

また、鼻唇角部への耳介軟骨移植を併用(猫手術)しました。

 

術前→術後4ヵ月です。

 

 

 

 

客観的にはご要望に近づきつつ自然な仕上がりを実現できたように思います。

 

しかし術後1週間の抜糸の段階で患者様から「元のお鼻に戻したい」との申し出がありました。

 

プロテーゼ挿入を含む全鼻形成(鼻フル)の術後経過ですが、

術後2~3日:腫れのピーク、目元まで腫れることも多い

術後1週:まだまだ腫れが強く、鼻根や鼻先は完成よりも高く太く見える

術後1ヵ月:腫れは80%程度引くが鼻先は非常に硬い

術後3ヵ月:腫れは90%程度引くがまだ鼻先は硬い

術後6ヵ月:腫れは99%以上引く 鼻先もかなり柔らかくなる

 

概ねの完成には半年ほどかかります。

 

術後1週の段階は腫れもまだ強く、完成とは程遠い状態ですので、この段階で患者様が「元に戻したい」と仰る場合は基本的に腫れが引くのをお待ちいただくようお話しさせて頂きます。

 

元に戻す(プロテーゼの抜去、鼻先の移植軟骨等の除去など)ことは決してノーリスクではなく、短期に手術を繰り返したことによる高度の拘縮変形を招くリスクも比較的高いことが理由の一つです。

 

また、腫れが強い状況では患者様ご自身が元に戻すべきか否かの正確な判断が出来ないことも理由の一つです。

 

ある程度腫れが引いてから徐々に新しいご自身のお顔に見慣れていくことになるわけですので、手術自体に問題のない場合は通常6ヵ月はお待ちいただき、それでも修正をご希望される場合には行うこともあります。

 

ただ、経験的には術後早期に何らかの理由で「戻したい」と仰った患者様の多くが、術後3~6ヵ月程度経過したころには修正をご希望されなくなります。

 

やはり見慣れるまでは修正すべきかどうかの判断は待つべきだと考えます。

 

 

今回の患者様は術後4ヵ月の段階では修正すべきかどうかまだ迷っておられるようでした。

 

電子カルテの記録によれば、術後1年経過した頃にカルテの開示請求があったので事務方のほうで患者様に記録等をお渡ししていました。

 

そこから更に1年近く経過した頃にグループ内の別のクリニックにご来院されたときには、まだ修正等は行っておられないようでした。

 

 

本来、修正手術というものは手術内容を最も把握してる執刀医が行うのが最善です。

 

どうしても修正をご希望される場合は、どうかご遠慮なさらずにご相談くださいませ。

 

 

 

本日ご紹介する症例の患者様は30歳代半ばの女性、フェイスラインのもたつきやボリュームを改善したいとのご希望でした。

 

 

フェイスラインをスッキリさせる代表的な施術として脂肪吸引が挙げられます。

 

直接脂肪組織を除去するわけで、ボリューム感の改善においては最も優れた方法と言えます。

 

しかし、脂肪を除去したあとに皮膚がどうなるのか、という点を事前に検討する必要があります。

 

中身が抜けるわけですので、脂肪吸引を行うと程度の差はあれ、皮膚は確実に余ります

 

 

出産後の女性のお腹同様に、余った皮膚はそのまま余るわけではなく、それなりに引き締まります。

 

ただ、どの程度引き締まるのかは皮膚の弾力性に依存します。

 

すなわち、若い方ほど皮膚が引き締まりやすく弛みにくい、と言えます。

 

年齢のみでは一概に言えませんが、経験的には35歳を超えると脂肪吸引後の皮膚のたるみが目立ちやすい印象です。

 

 

ですのでたるみが出やすそうなケースでは脂肪吸引とともにスレッドリフト(糸リフト)によりたるみを生じさせない『サクションリフト』の適応となります。

 

今回の患者様の場合も脂肪吸引単独では皮膚のタルミが出る可能性が極めて高いと考えられましたので、糸リフトを併用することとしました。

 

また、脂肪吸引で採取された脂肪は中顔面へ注入しました。

 

(ベイザー脂肪吸引(頬・顎下)、シークレットリフト10本、コンデンスリッチフェイス目の下~ゴルゴ)

 

 

術前→術後6ヵ月です。

 

 

 

タルミを悪化させずにフェイスラインのボリュームをスッキリさせることができました。

 

ホームベース型のフェイスラインが卵型に近づいています。

 

顎下のラインもスッキリしました。

 

 

フェイスラインの脂肪吸引における私のこだわりは「手吸い」です。

 

機械による吸引機を使用せず、これまで執刀してきたフェイスラインの脂肪吸引の全例において、手吸い(シリンジ吸引)を行ってきました。

 

フェイスラインの脂肪吸引では両頬、顎下を吸引した場合、採取する脂肪量は少ないケースですと20㏄、脂肪の多い方でも100㏄前後となります。

 

吸引量を微調整しながら形を整える為には、吸引量を計測しつつ行える手吸いが最適であると考えているからです。

 

よって私に関しては、お顔の脂肪吸引では吸引機を利用するアキーセル、ライポマティックなどは使用しません。

 

皮膚のタイトニング作用も期待できるベイザー脂肪吸引一択だと思っています。

 

ご参考になりましたら幸いです。