本格的に風邪の季節になってきました。

薬局・ドラッグストアでも風邪薬が並んでいますが、皆様は何を基準に風邪薬を選んでますか?

最近は「喉が痛い時用」、「鼻水の症状が強い時」、「咳がひどい時」、「頭痛が辛い時」など、症状別に売られており、「鼻水と咳がひどい時は?」など、細かくなりすぎて困ったことはないでしょうか?


セルフメディケーション税制の導入

2017年1月より、セルフメディケーション税制が導入されています。

このマークを見たことがあるかと思いますが、このマークが入った薬のみが、セルフメディケーション税制の対象になります。

この制度が導入された最大の目的が、軽症での病院受診を減らすためです。

つまり、消費者が自分で薬を選ばなければならなくなったわけです。

本来なら薬局・ドラッグストアでは薬剤師もしくは登録販売者に相談して購入するものですが、個人経営の薬局はともかくも、多くのドラッグストアでは、レジには多くの人が並んでいて、ゆっくりと自分の症状を相談しながら選ぶ環境にありません。

しかも、大きなドラッグストアのほとんどが商品を持って行かなければならず、「買う準備ができていることが大前提」となった構造となっています。

もっと言えば、ドラッグストアの場合はしょっちゅう店員さんが変わってしまうし、薬剤師が常駐している場所も少なく、行ったら「薬剤師不在」だった、という経験をしたことがある人もいるかと思います。だからといって、登録販売者に質問しても、私の経験から言わせてもらえば、キチンと答えられる人に出会うのは本当に稀ですね。というか、出会ったことがない。


風邪薬の種類は山ほどあるが、市販薬に使用が認められている風邪薬の主成分(解熱鎮痛成分)は決まっています

「これなら効く」(自分に合っている)薬が分かっていたり、使う薬が決まっている人は別として、普段は薬は使わない人が仕事の関係などで、どうしても症状を抑えたいときに困るのが、ドラッグストアにずら~~と並んだ商品の数々。ただでさえ体調悪いのに、頭がボーとしているのに・・・と困る人、多いかと思います。

基本的に、病院にも薬局・ドラッグストアにも風邪に効く薬はなく、免疫がウイルスに打ち勝つまで、おとなしくしているしかありません。しかし、仕事の都合や試験などの学業の都合で、休んでいられない時はやはり、薬で一時的にでも症状を抑えて何とか、と思うでしょう。

しかし、風邪の症状は様々だし、基本的に複数の症状が出ています。しかし、パッケージを見ると、「咳用」「鼻用」「喉用」「頭痛用」など細分化されていますし、細分化されている方が「総合感冒薬」より効くような気がするな~と悩むこともあるかと思います。

そんな時はパッケージの裏の成分表を見てください。

色々とカタカナで配合成分が書かれていますが、実は、風邪薬の主成分である「解熱鎮痛成分」は決まっているのです。

「喉用」「鼻用」「咳用」「頭痛用」といろいろと用途別になっていても、解熱鎮痛成分は同じの場合がほとんどなのです。

一般市販薬に使用が認められている解熱鎮痛成分のことを非ステロイド性抗炎症薬(NSAID:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drug)と言います。これはプロスタグランジンという痛みの原因となる物質が体内で作られるのを抑えることによって炎症・痛み・発熱を抑える効果を示すステロイドではない解熱鎮痛成分の総称です。

一般市販薬に使用が認められているNSAIDsは下記です。

  1. サリチル系:アスピリン、アスピリンアルミニウム、エテンザミド、サリチルアミド、サザピリン
  2. アントラニル酸系:メフェナム酸
  3. フェニル酢酸系:ジクロフェナクナトリウム
  4. インドール酢酸系:インドメタシン
  5. プロピオン酸系:イブプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム水和物
  6. アニリン系:アセトアミノフェン
  7. ピリン系:イソプロピルアンチピリン

この程度です。あとは、鼻水症状により効果がある薬剤を加えて「鼻水用」、咳を強く抑える薬剤を加えて「咳止め用」など、症状別に売られているだけです。


症状だけで選ぶと、効かない場合がある

例えば、頭痛が強かったため、「イブプロフェン」が炎症・発熱・痛みなどの症状を抑えるメインの成分として売られている商品Aを買ったとします。しかし、商品Aを5日程度使ってみたが、なかなか症状が良くならないため、別な薬を買うことにしました。他のメーカーで「頭痛用」と書いてあったの「頭痛用」の商品Bを手に取ったとします。

この時、裏に記載されている成分表をよく見てください。

もしそこに「イブプロフェン」が配合されていたならば、それは最初に買った商品Aと同じ成分を使った製品なので、手に取った商品Bも効かない可能性が高いのです。


やはり、薬は相談できるところで買った方が良い

一般市販薬も「薬」です。当然ながら、予期せぬ症状が出ることだってあります。例えば・・・

アスピリン喘息

喘息とついていますがアレルギー症状ではなく、薬によって引き起こされる喘息様症状です。昔、アスピリンを服用した人に見られたから「アスピリン」とついていますが、アスピリン以外でも引き起こされます。

咳症状が強い風邪をひいたために「咳用」の風邪薬を買って飲んだけれど、症状が落ち着くどころか、逆に咳が悪化した。こういう場合は、風邪が悪化したのか、風邪薬によってアスピリン喘息を引き起こしたのか、素人にはなかなか判断できません。

アスピリン喘息が出た状態で、ほかの風邪薬を服用しても、咳が止まるどころか余計に悪化してしまう危険性が非常に高いのです。なぜなら、アセトアミノフェン以外のNSAIDsはどれも同じメカニズムで抗炎症・鎮痛・解熱などの作用を得ているからです。もし、アスピリン喘息という副作用の存在を知らずに一般市販薬・風邪薬を飲み続けるようなことをしてしまったりすると、本当に危険なのです。


一般市販薬の服用は5日程度のみ

裏に「〇日程度服用しても症状の改善が見られない場合は専門家を受診しましょう」と必ず書いてありますので、それは必ず守りましょう。

効かなかったから他の薬を試す場合でも、必ず成分を確認しましょう。

症状の悪化が見られたら、服用していた薬を持ってクリニック・病院を受診してください。なぜなら、病院で処方するNSAIDsの多くは、一般市販薬にも使用されている成分が多いからです。アセトアミノフェン、ロキソプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナクなどは、特に処方箋薬でも使用されています。


参考資料:

違いがわかる! 同種・同効薬 改訂第2版.編集:黒山誠一、大谷道輝.南山堂


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来月12月、すくすくトークで、「ママと一緒に英語で遊ぶよ~~♪」タイムを企画しました。

すくすくトーク イベント


《日 時》 12月10日(月)
【未就園児】 AM 10:15~11:30 ※受付 10:00~

子どもが知っている童謡の英語の歌詞を覚えて、クリスマスの日に、家族で英語の歌を歌って盛り上がりませんか? ママが歌の練習をしている間は、子どもも楽しめるよう、ミニツリーつくりをします。

【3歳~小学校低学年】 PM 14:30~15:30 ※受付 14:15~

簡単な英語のフレーズを覚えて、家庭内で子どもと英語に触れる時間を作りませんか?

子どもがミニツリー作成をしている間に、健康トークも希望があれば行います。
是非ご参加ください。

《場 所 》 フォーラム南太田 第2研修室
《定  員》 各8組
《参加費》 1,000円 (材料費込み・飲食代込み)


お申込みは、すくすくトークのサイトから

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メール:sukusukutalk@gmail.com

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病院にはそれぞれ役割がある


ケース①

以前、大学病院内の喫茶店で、門前払いを受けたと、友人(?)に愚痴っているおばあちゃんがいた。結構怒って興奮していたせいか、声が大きかったので聞こえてしまったのだが、その内容が、

今まで診てもらっていた先生が亡くなってしまわれたので、大学病院に「風邪」で受診したら門前払いされた


ケース②

ある勉強会に参加した時、たまたま近くに座った人が、私と似たような良性婦人科疾患だったので、なんてことなく病院の話になったのだが、彼女がある病院に行ったときの医師の塩対応が今でも許せない、と憤っていた。その内容が、

たまたま婦人科検診を受けたら筋腫が見つかったので、近医の婦人科を受診したら「特に困った症状がなければ経過観察で大丈夫だよ」と言われ、すごく不安になったため、ネットで「筋腫の手術を多く手掛けている病院」を探して受診して「ホントに経過観察でいいのか?」と聞きに行ったら、ものすごい塩対応された!


ケース③

勤務先の人に「治療方針に悩んでいる人がいるから話を聞いてあげてほしい」と言われて、某喫茶店で会った人。なんでも、最初に症状が出たときは勤務先近くのクリニックを受診したのだが、超音波の結果、「専門医に診てもらったほうがいい」と言われ、紹介状を持って入院施設のある専門病院を受診したそうです。しかし、「この程度なら薬で経過観察してもいいし、手術で早く楽になりたいなら、手術するという手もあるよ」と、彼女的には、ものすごく無責任に言われた(ように感じた)ので、ネットで調べて、ケース②と同じような病院に行ったそうです。そこで、彼女が憤っていた内容が、

外科医に「取りたいなら取るけど」とか「そんなに心配なら取ったら?」という言葉だった。
「外科医ってさ、すぐに手術勧めるよね!」



塩対応受けるにはそれなりに理由がある

・・・事も多い

ケース①、②、③、すべてに共通するのが「大学病院・大病院」に行って、塩対応を受けた、という愚痴。

こういう人、多いんじゃないかな?

大きい病院(大学病院・国立病院・大病院)は、「普通の病院では治療が難しい病気の人」や「普通の病院では設置できない機材が必要な病気の人」など、「大きな病院の設備と専門性の高い治療」を必要とする人が行くところです。

ケース①の風邪で大学病院を受診したおばあちゃんは論外として・・・

ケース②もケース③も、「手術を売りにしている」専門外科医がいる、専門性の高い大きな病院を受診していることが、そもそも「塩対応」された原因になっていると思います。

外科技術が高く、専門性の高い大きな病院の外科に行く時は、「手術を前提にして受診する」人が行くところです。

そこへ、手術するかどうか決めてないしするつもりもないけど、本当に経過観察で大丈夫なのか心配

と、多くの手術を必要としている患者さんに少しでも多くの時間を取らなければならない状態の医師の所へ受診したら、

そりゃ~怒られますし、塩対応されると思いますよ。

「外科医はすぐに手術を進めるよね」
ではなく、手術をする病院だから、手術をすることを前提で話しているから、手術する話になるんですよ。


「経過観察で大丈夫」と言われたら、
その根拠は何なのか
自分は、手術して早く治したいと思っているのか
手術しなくて済むならそういう方向で行きたいのか
など、とにかく、一番最初に受診した担当医ときちんと話し合うことが必要かと思います。


すぐに大きな病院を受診するのはやめましょう。

塩対応取られても仕方がないかと思います。

病院には、それぞれ役割があります。


でも、患者の希望や意向も聞かずに治療方針をさっさと決めて、患者の都合を無視して全く考えてくれない医者の場合はさっさと転院した方がいいこともありますけどね。ただし、大病院ではなくね。

そういう場合でも、やっぱり紹介状は書いてもらったほうがいいと思いますよ。

「ほかの先生の意見も聞きたいから」と言って。それで機嫌損ねるなら、即刻転院しますね、私なら。

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最近は朝早いために寝る時間を確保するのに精いっぱいでお休みする日が増えてきたけど、ほぼ毎日、患者として知っておくと得かもしれない情報をつぶやいています。

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