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ひとつ季節を跨いで、君がまた少し遠くなるような。そんな気がしています。



目の前の君を見失いそうで、小さく怯える自分に言い聞かせる。


何度も、何度も。繰り返し。


――“君は此処に居る"




頑張って、頑張って、感張りすぎて疲れちゃって。

もういいや。って投げ出したその次の日に、いつもより早起きしてネクタイを締める。


――そんな君が好きで。



弱くて、脆くて、寂しがり屋で。

ポロリと弱音をこぼしたそのすぐ後に、安穏とした幼い顔で寝ちゃう能天気で無防備な。


――そんな君が好きで。好きで。




ぶつかりそうになると、直ぐに目の前のそれから逃げ出す、君の繊細な臆病さが。


必死にもがく足を、ひた隠しにしようとする、器用で見栄っ張りな君の狡さが。


昨日の話も覚えてないくせに、髪を切ったことだけはいつも気付いちゃう、鈍感で敏感な君の不可解さが。



好きで。
愛しくて。



たまに不安に思ったり、
もういいや、って投げ出したくなったり。

そんな後、君の呑気な声を聞いたら、結局すぐに、やっぱり大好きになっちゃって。



本当は、逃げ出すつもりも、手放すつもりも、ないくせに。

自分の心でさえも騙して、私は君から目を逸らそうとしてる。




きっとそんな私の中に今残るのは、

幸せな想い出よりも、
二人が笑い転げた出来事よりも、
大切に思われてることを実感した瞬間よりも

自分自身への後悔が一番大きいのでしょう。




誤解されてばかりで、真っ直ぐに走れなかった私の胸の中に残るのは、

失ったことすら感じることもできない、何もない、空っぽの空間なのでしょう。


涙も流せないような。
思い返すことすらできないような。

混沌とした想いを、ただひたすらに潰していくだけの日々なのでしょう。




ひとつわかったことは、人を愛することは、とても難しいということで。


その愛を伝えるのは、もっとずっと困難なことで。



それでも、格好悪くても、伝え方を教えてくれたのは君で。


時に独りよがりに感じちゃって、なんだか全てが馬鹿馬鹿しく思えてきちゃって、

何処かに逃げ出してしまいそうな、そんな私の手を取って、引き留めてくれるのは、いつも君の方。



――ごめんね。

――ありがとう。

――さようなら。

――いつか、また。


この先迎える二人の終焉に、私はどの言葉を選ぶのかな?



ねぇ。


答えを教えてくれるのは、



――誰?





写真提供:和月



届かない、
届けるつもりもない、

そんな私のラブレターです。