毛細血管と鍼灸 | みちえ鍼灸院のブログ

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看護師でリンパ浮腫指導技能者の資格を持つ鍼灸師が鍼灸院を開院いたしました。鍼灸治療に加え、リンパ浮腫治療も行えます。

“ゴースト血管”が危ない!

~美と健康を担う毛細血管が消え、シワ・たるみ、認知症、骨折に~

 

平成30年4月1日のNHKスペシャルで、「“ゴースト血管“が危ない!」という番組があり、ました。見られた方も多いかと思います。

 最近の研究で、女性の美肌の大敵である“シワやたるみ”の原因が明らかになったのですが、それはゴースト血管にあったのです。この“ゴースト血管”というのは、毛細血管に血が流れなくなり、気付かない内に消えて無くなってしまう現象です。目じりで比較すると、30代に比べ70代では、毛細血管が半分以下になっているのです。

 毛細血管を健全に保つことが美肌のカギになるのですが、毛細血管がゴースト化すると着実に肌を蝕んでいき、しかもゴースト血管は、肌だけの問題ではなく、私たちの体のあちこちで進行し、深刻な病につながることも解ってきたのです。

 全身に張り巡らされた毛細血管には、とても重要な役割があり、それは細胞の一つひとつにくまなく酸素や栄養素を届けることですが、毛細血管がゴースト化してしまうと、酸素や栄養が絶たれるため細胞が死んでしまうのです。それは、最近、毛細血管の血流を計ることのできるゴースト血管スコープという機器が開発されたことにより、このことが次第に解ってきたそうです。

 毛細血管が消えると、様々な病気になることが分かってきたのですが、その一つが、女性の美しさにとっては大敵の、“シワやたるみ”です。これも毛細血管が消えることのよって起こってまいります。また、前述のように美容だけでなく、全身の健康にも重要な問題をひきおこします。

 例えば、ゴースト血管が脳で起これば“認知症”になるのですが、この認知症も、誰にでも脳の中にあるアミロイドβタウ蛋白が、脳の毛細血管の先端が壊死すると、余分のアミロイドβタウ蛋白を処理できなくなり、その結果、アミロイドβタウ蛋白は塊になる性質があり、排出できなくなるから認知症になりやすいと言われています。また、これが骨で起これば骨折や寝たきりの原因の“骨粗しょう症”になるのです。骨には、骨を壊す破骨細胞と骨を再生する骨芽細胞があり、毎日骨の破壊と再生が繰り返され現状を維持しているのです。しかし、骨にある毛細血管の先端が壊死すると、壊された骨の残骸を上手く処理できなくなったり、栄養も十分届かなくなったり、骨を作る作用も低下し骨粗しょう症になります。他にも肝臓や腎臓などの内臓で起これば、その“臓器の機能低下”を招き、私たちの健康寿命を妨げているのです。

 20代から70代の健康な人の中でも、全身に張り巡らされている毛細血管の数が減って無くなっていたり、また、血管が細くなったり短くなって末梢の血流が悪くなっている人が多くなっているそうです。例えば、女性に多い冷え性などもゴースト血管の影響だろうと考えられ、そして、日本人の成人では約60%の人の毛細血管がゴースト化しているといわれています。

毛細血管ゴースト化危険度チェック

 

    大食い しない0点 時々1点 大食い2

    風呂に入る 入る0点 シャワーだけ1

    のどが渇く 乾かない0点 時々1点 よく乾く2

    運動 毎日0点 週3日以上1点 しない2

    タバコ 吸わない0点 吸う1点 よく吸う2

    高血圧 正常0点 やや高い1点 高い2

    日中の眠気 ない0点 時々1点 よくある2

    年齢 45歳未満0点 4660歳未満1点 61歳以上2

 

7点以上:高い(特に気を付ける)

56点:中程度

4点以下:低い

*対策:適度の運動・睡眠・休息と食生活の見直しやストレスを減らすことが大切です。

(平成3041日  NHKスペシャルより)

 

東洋医学鍼灸と毛細血管

 鍼灸には、この末梢の血流改善にはとても良い効果があることが、科学的にも解っています。以前、東洋療法学校協会から発行された「鍼灸の世界」の中で鍼灸科学最前線「微小循環とはりきゅう」と題して、「“足が冷えて眠れない”というのは冷え症の人に共通の悩みですが、これは足の血行が悪いためです。というのも、私たちの身体の熱は血液によって全身に運ばれるのです。鍼を行うと、ちょうどお風呂に入って身体がポカポカするのと同じ感じがするのですが、これは全身の血行(微小循環)が良くなるためです。温度の違いを色で示すサーモグラフィーで、鍼を行う前と後の体温分布をみると、施術後に全身が温まり血行が良くなったことが一目でわかります。例えば、手の親指と人差し指の間にある“合谷”というツボに1本の細い鍼を刺すと、鍼の周囲だけでなく、指全体、腕、肩、頸、顔と、全身が温かくなっていきます。しかも不思議なことに、鍼を刺していない側もほとんど同時に温かくなります。血行がよくなれば、冷たくなった足の先まで血液がスムーズに運ばれ、つらい足の冷えも解消されるという訳です。」と述べられています。

 このように東洋医学の鍼灸は微笑血管(毛細血管)の血流を改善することが、科学的にも解っておりますので、毛細血管の血流不足による認知症や骨粗しょう症、それに肝臓や腎臓などの様々な内臓の病気の予防に役立てて頂きたいと思います。

 

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