ネット上に自分の媒体(発表の場)を持つようになった新人漫画家。

なにかしらアップすれば、それなりに反応がある。

自分の作品を発見してくれる人の絶対数が大きくなった。

ありがたいことだ。

 

逆に編集者からすれば、どこから有望な新人が現れるか分からないので

気が抜けない。

あちこちに網を張っていないと見落とすことに。

おまけに従来の出版社系ばかりでなく、アプリやウェブ系の媒体も虎視眈々と

新人作家を狙っている。

 

ちょっと見どころがあると、チヤホヤされるのは致し方ないか。

なにしろ、多くの編集者からお声がかかるのだから。

東京ビッグサイトなどで開かれる出張編集部の店の数の多いこと。

年々増える一方である。

出店制限しないと、百、二百と増えて行きそうな勢いだ。

 

ちょっといい感じな漫画が描けたら、あっという間に入れ食い状態になる。

しょうがないね。

即戦力であれば、なおさら良いわけで。

 

しかし、プロになって長丁場を凌いでいくには、それ相応の蓄積がないとしんどい。

漫画家は吐き出す一方だと、どんどん枯れていく。

仕込んで、吐き出して、仕込んで、吐き出して。

てな感じで行かないと、続かない。

あるいは、ピタッと傍について、あれこれと親身になってアドバイスしてくれる人がいるかどうか。

これは意外に大きい。

 

漫画家は本来個人事業主なんだから、自分専用の編集者を雇っても良いはずだ。

弁護士や税理士とつきあうみたいに。

 

編集者が雑誌や媒体の代理人みたいなポジションでいるのは、今後は減ってくるかも。

そんな予感がする。

 

廃刊休刊相次いだ紙の雑誌は、今アプリやウェブという形で復活しつつある。

これもまた、新しい流れだ。

 

新人漫画家の前には、二十年前には、まったく考えられなかったような景色が広がっている。

時代に感謝を。チャンスは増えている。

 

自分がどの船に乗って、どちらを目指すかは、じっくり考えた方が良い。

海上では、北極星を目指すか、船頭の言うことに耳を傾けるか。

あるいは、風任せにするか。

 

陸路では、一気に山脈を超えるのか、回り道をして安全策を取るのか。

馬に乗るのか、徒歩で行くのか。

あえて、遠い旅には出ずに、町内にとどまるか。

 

人生に決まりきった地図(海図)はない。