サ「で、噂を立てられると、馬鹿にされるという気持ちは原因が分かりました。
もうひとつ、目立つと迷惑をかけるという話ですけどね。
具体的に、どこの、誰に、迷惑かけると思っているんですか?」
私「え、いや、それは家族とか…。
兄弟?近所の人に、親戚とか…。」
サ「お付きあい、密になさっているんですか?」
私「え?いや、一人暮らししてて、家族とは会ってないし。
家族ってのも、変だな。
マンション住まいで、近所付き合いもないし、親戚とも全然会ってないな…。」
サ「でも、さっき、おっしゃってみえましたよね?
家族や親戚や近所の人に迷惑かかるかもって。」
私「えっと、なんだ?
アレ、でも、そーゆー風に思っていて。
でも、全然付き合いないわ、なんだ、コレ?」
サ「それと、断ったらハバにされるとか。
仲間はずれにされるのを心配されていらっしゃる。
なにか、具体的に気になることあるんですか?」
私「え?あ、いや、なんていうか、常識?
ウチは自営業をしていたから、近所の目が厳しいというか、好かれとかないと困るというか。
なにかあった時に、助けてもらうためにも、なるべく親切にしておくっていうか、少なくとも迷惑かけないっていうか…。」
サ「今、しんじゅさん、暮らしてて、ご実家の近所付き合いとかあるんですか?」
私「え!?いや、全然。
もう、顔も名前も覚えていない感じ…。」
サ「でも、気にしてらっしゃる。
なぜですか?」
私「えっと、だって、でも、気にしておかないと、家族に迷惑がかかると思ってて。」
サ「どなたです?」
私「え?兄弟とか?」
サ「どうして、しんじゅさんのふるまいで、ご兄弟に迷惑がかかるんです?
一緒に暮らしているわけでもないのに?」
私「え?あ、そうか…。
なぜだ?おかしなことを言ってるぞ?」
サ「それは、お母様の刷り込みだからですよ。
ご実家がご商売をなさっていた、となれば、どうしてもご近所の付き合いが重要になってきます。
お母様の価値観を、しんじゅさんに染みこませていた。
でもね、頼まれごとを断ったら、まわりに迷惑がかかる、なんて、おかしな話しですよ?
断られた人が、その時考えればいい話で、しんじゅさんが抱え込む話じゃないんです。
さきほどのお父様の話もそうです。
人の気持ちのわからない奴、もう、知らない、でもいいんです。
それを、わざわざ、お父さん、恥ずかしいことを辞めて、って相手の課題に踏み込んで心配していらっしゃる。
これね、普通、子供が親にすることじゃないんです。
親が子供にすることだったり、せいぜい夫婦がお互いの為にやることなんです。
どうして、こうなっていると思いますか?」
私「え?どうしてって…。
いろいろ考えちゃって、気づいちゃったから?」
サ「ん、それもあるんですけどね。
最初に質問させていただいた内容はね。
どうして、しんじゅさんは、自分らしさを出していないんですか?というものなんです。
自分らしさを出さないことで、あなたは、なにかを守ろうとしている。
それが、ご自分ではよくわかってらっしゃらない。
そこをよ~く、掘り下げてみてくださいね?
ヒントは、この、『人に迷惑をかけてはいけない』という思い込みですよ?」