サマンサさんは、うふふと笑いつつお茶のおかわりのしたくをしていました。


その間、猶予時間という事で、シンキングタイムです。


腕組みをして考えていますが、よくわかりません。


温かい烏龍茶を出されて、もっとお菓子食べてくださいな、と勧められ、大きな鳩サブレーをぽりぽりとほおばっております。



サ「分かりませんか?自分が何を守っているのか。」


私「う~ん、多分、なにかを守っているんでしょうけど、ちょっと…。」


サ「しんじゅさんが自分らしさを出さないことで得られるメリット。

それは、あなたが守りたいと思っている人物がいるってことですよ?」


私「え?誰かを守ってる?」


サ「そう、誰でしょう~?」


私「え、私?」


サ「いえ~。」


私「分からない。

なんで、自分の事が分からないの、気持ち悪い。

えっと、それじゃ、家族とか、友人。」


サ「えぇ~、もっとピンポイントに。」


私「親?」


サ「そう、どっち?」


私「えっと、まさか、母親?」


サ「そう、お母様ですね。」


私「なんで、お母さんが出てくるの?

意味が分からない。」


サ「しんじゅさんは、大人になってから、自分らしさを出さないで暮らしてきた。

あなたは本来、なんでもわかる方なんです。


それを、わざわざ、自分らしさを出さない事で、自分の行動にブレーキをかけている。

そうすると、どうなります?


困った方に関わって、頭をグルグル悩ませることになって、疲れきってしまう。

それって、不幸じゃないですか?」


私「えっと…。

そう言われれば…。」


サ「あなたは、自分らしく生きることで自分が幸せになってはいけないと思っている。

なぜなら、自分が幸せになってしまっては、自分のお母さんがかわいそうだと思っているから。


あなたのお母様は不幸な人だった。

娘の自分が、母親より幸せになってしまっては、お母さんが悲しむと思っている。


お母さんの為に、わざと自分らしさを隠して、幸せから遠ざかっているんです。」


私「はぁ。」


サ「あなたのお母様のお母様、この方って…。

ちょっと難しい方ではありませんでしたか?」


私「あぁ、超ワガママな人です。

いつも自分が中心で、物事を決めつけて、ワガママで被害者ぶってて、反省しない人。

一緒にいたら、疲れて仕方ない人ですよ。」


サ「そうですね、あなたのお母様のお母様、かなり苦労させられる人で。

娘である、しんじゅさんのお母様はかなりしんどい思いをさせられていたと思います。


その母娘の呪縛に、しんじゅさんのお母様は抜け出せないでいた。

母親に、自分より幸せになってはいけないと細胞に染み込まされて育てられている。


そして、今、現在、孫であるしんじゅさんにも、その呪縛が付きまとっている。

あなたは、ご自分の母親より幸せになってはいけないと感じて、無意識に自分の能力を遮断している。


それが、あなたの生きづらさの原因なのです。」


私「は…。

そういえば、夕馬さんにも、同じようなことを言われたことがありました。

お母さんは、おばあちゃんの影響が強く出ているって。

それに逆らえなかったんだろうって…。」


サ「えぇ、お母様もそうですが、今、現にしんじゅさんもお母様の影響を受けています。

…それはね、それは…。


子供というのは、親にどんなふるまいを受けたとしても、親を愛しているものなんですよ…。

親を助けたいという思いを抱いて、生まれてきているものなんですよ。


自分という子供が幸せにならないことで、母親を救いたいと無意識に思っている。

それは、子供の、親への『愛ゆえ』なのです。


でもね、娘が幸せに生きていけれない…。

それって、親にとっての、本当の愛なんでしょうか?


子供が自立して生きていけるようにする、というのが、本来の親の愛なのです。


子供を、親の目を気にして、不幸なままで生きていかせる事が、本当に親への愛なんでしょうか…。」