私が少し落ち着きを取り戻して、ティッシュで涙を拭っていると、サマンサさんもうんうんとうなづいています。


私があの催眠療法士の先生のことを思い出したのは、11月の事で、それ以降、ほぼ毎日泣いてしまっていたんだ。

気になって、実際に会いに行ってみて、気が済むかと思ったけど、それでもまだ、よく泣いてしまう、とかお話しております。



サ「うぅ~む、そうですか、実際に会いに行かれたんですね。

まずは、その行動力が素晴らしいです。


それでね、私、しんじゅさんのブログを拝見していてね、ほんとにこの人はいい感じで感情の開放をしていっているな、と感じていたんですよ。


徐々に、徐々に、段階を踏んで、成長していっている、そんな風に感じていたんですよ。

その先生との出会いや、記憶がよみがえってきた、という出来事すら、あなたの為に準備された出来事のように思えるんですよねぇ。


で、再会してみて、どうでした?

彼と出会った、教訓みたいなものを感じましたか?」


私「…えっとぉ。恋愛感情を利用するのは、いけないな、という感じ、かな…。」


サ「いえ、まぁ。

それもそうなんですけど、もっと根本的な。


彼が現れた、ということは、しんじゅさんの中にも響くものがあるんですよ。

もしくは、反発するもの。

それに気づかせるために、彼と出会っているんです。

なんだと思います?」


私「…よく、分からない…。」


サ「しんじゅさん、彼のことを殴ってやりたいって言ってましたでしょ?

彼のやり口が気に入らないからでしょう?」


私「はい。…どうしても、卑劣に感じるところがあって…。」


サ「彼には、彼の問題があって、それはしんじゅさんの課題ではないんです。

けど、彼はしんじゅさんと出会う事で、彼もまた、自分の課題と向き合わないといけない。


彼はね、顔がいいという事でハンデがあった。

どれだけ努力しても、あいつは顔がいいから…で努力や才能を評価されず、イケメンだからで済まされる事がたくさんあったと思います。


彼自身もまた、苦悩していたと思います。

けど、それを利用するようになった。

それは、それで、彼自身の選択です。


顔だけで評価される、それならそれに左右されない仕事をする、という選択もあったんです。

けど、それを選ばなかった。


イケメンであるということを利用して、仕事に活かすようになった。

彼自身、それがいい事だとは思っていませんよ、でも、そうするようになった。


しんじゅさんは、そういうの嫌いでしょう?」


私「はい。

彼は顔がいいことと、心理学のスキルを利用して、悩みを持っていて、頼ってきた、心が弱っている人の心理を自分に有利な方向へと誘導していっていた。


私が小学生の頃、家に宗教団体が上がり込んできて、お金をむしり取られました。

母は死に、その後、父親は宗教団体を追い払いましたが、香典一つ持ってこなかった。


私はその時、誓いました。


どんなに自分が困っていても、弱った人の弱みにつけこむようなあさましい真似はしないと。

どんなに、自分が弱っていても、自分の能力を悪用しないと。


イレブン・スター☆をやっていた時も、私は自分の能力を私利私欲のためには使いませんでした。

自分の能力は、人助けのためにしか使わないと、魂に誓っていたからです。


彼は、自分の能力を悪用していた。

そこが許せなかったんです。」