八尋熊鰐ヤヒロとヤタガラス | ◆笑門来福/夢の円座◆

八尋熊鰐ヤヒロとヤタガラス

宮部みゆきの『荒神』はザンネンだった。
古代観ゼロ

【古事記】三島湟咋
【日本書紀】三嶋溝橛耳神
【先代旧事本紀】三嶋溝杭命 三島溝橛神 三島溝杭  

言治主(コトシロヌシ)は
三嶋湟咋之女セヤダタラに婿入りする事で
「三島明神」を名乗ることを許された。
言治主が化身したという日本書紀の表記
「八尋熊鰐」は、殊更嫁ぎ先の特徴を
示しているように思う。

「八尋」は末広がりに大きいことだが、
八咫烏の掛詞でもなかったか? 
「八尋=八咫」はほぼ同じ意味だ。
「熊」は八咫烏を祀る熊野の地。
つまり「八尋(八咫烏)祀る熊野の
海神の娘に求婚するため化身したワニ」と

かなり特定の対象が浮かび上がる
固有名詞のように読める。

今でも大国主、言治主祀る出雲大社では
八咫烏祀る熊野に臼杵を借りに行く神事が
あり、熊野を敬い格上とする姿勢が残され
ている。

八咫烏祀る地、熊野と、クマ → クモ → カモ
(カミ、カメ)と古代によく見られる母音の
変化(大野晋『ささがねの蜘蛛』)で、
時にカモ族と称される祭祀の氏族のグループ
としての三島賀茂を重ね、ワニの家を特徴
づける掛詞として記したようにも見える。