誰も語らなかったアイドルのライブにおける「物販」の意味と真実 | 40歳からのアイドル入門~ももクロからKGY40Jr.まで~

40歳からのアイドル入門~ももクロからKGY40Jr.まで~

不惑を迎え、突如として、
アイドル・カルチャーに目覚め開眼。
その後は急速にアイドルファンと化して連日連夜、
アイドルのライブ現場を渡り歩くようになった
四十路バツイチによる現代アイドルの考察日記――

 昨日は、渋谷のクラブWOMBに行ってきました。
 
【CANDY-GO!GO!主催~佐伯かな生誕公演!】

出演者は、
asfi/CANDY-GO!GO! /ALLOVER/SWEET-CANDY/Doki☆Dokiドリームキャンパス/clip-clop/小山留生/七瀬由紀子/菜月アイル/ナト☆カン/Smile☆Pocket/ANNA☆S/I★scream/リル・クミン/CHANGE!!/2&/福井うらら 以上。

 コピペ丸出しですみません。

 目的はasfiです。

 asfi、asfi、asfiです。

 今回はそんなことよりまず一点、多くのアラフォーに知っていただきたいのは、こんなにいっぱいの旬なアイドルたちを、わずか2~3000円で見れてしまうという驚きの事実です。

 みなさんがどんなアフター5を過ごしているかは知る由もありませんが、ぼくの周りの平均では、キャバクラは月に1~2回、ガールズバーも同様。居酒屋での飲み会は週に1回とかそんなもの。数年前からはかなり飲みに行く回数は激減しました。そうはいっても、常識的一般社会からしたらこれだけでも十分遊び人の部類にはいるくらいでしょうけど。

 ちなみにぼくがバブっていた2008年頃は、土日をのぞいて平日夜は毎日がパーティーでした。

 一軒目は六本木のクラブ。踊るほうじゃなくてホステスがいるほうのクラブ。

 よくいったのは、『ミトス』とか『ピアニッシモ』という知るひとぞ知る高級店です。一晩で数百万を使う客がバンバンいるという時代でした。リーマンショック前ですから。

 これらの店では、VIPルーム以外は使いませんでした。そこで20万円の赤ワイン「オーパスワン」を何本も空けるんです。

 支払いが数百万というのはほんとうにふつうの世界。なんだったんでしょう、あの頃は。IT業界周辺はやたらと好景気で、みんなバブルの恩恵を受けていたんです。

 そんな夜遊びを続けていたから歌舞伎町の区役所通りのキャバクラがほんとうに安く感じて、勘定を見て、20万円以内だと安心するってどう考えても狂っています。

 そんな生活が数年続いて夜遊びし尽くして、もうこれからはどうやってアフター5を過ごしたらいいんだっていつもアンテナを張っていたぼくがたどり着いた最後の楽園が「アイドルのライブ」だったのです。

 まずコストパーマンスに優れているんです。

 いまは不景気なのでこの点でも時代性と合致している。繰り返しになりますが、2~3000円で上記のように10数組のアイドルが入れ替わり立ち代わりステージに立つんですからどれだけお得かと。

 その合間合間に、出演を終えたアイドルたちが、別スペースで「物販」と呼ばれる即売イベントを開くのですが、これもまたある意味で、ファンを引き寄せるキラーコンテンツになっています。

 「物販」ではアイドルが目の前でCDやTシャツなどのグッズを販売しているのですが、商品を買えば目の前のアイドルと握手ができて、しばらくはそのままお話までできてしまうという貴重なイベントが発生します。

 アイドルと話せるんです。アイドルと話せるんですよ。いや、アイドルと話せます。

 これがどんなに至福のときか、知らないひとは一生後悔するでしょう。

 推しているアイドルの場合、CDやTシャツなどはもうひと通り購入している。グッズの重複はなるべく避けたい。でも、「物販」でアイドルとコミュニケーションを取りたい。

 そんなときに重宝するのがツーショットチェキ撮影会(通称:チェキ)です。

 わずか500円~1000円で自分の推しアイドルとツーショットのミニポラロイドを撮ってもらえるんですが、じつはこの行為には重要な意味が隠されています。

 誰とチェキを撮るか――。

 これはキャバクラでいう「指名」と同じ意味で、アイドルたちに対する「推し宣言」なのです。

 つまり、チェキを撮ったアイドルは当然ながらこの客を「自分推し」だと認識する。ここで初めて両者に積極的なコミュニケーションが行き交う土壌が生まれるのです。
 
 ツーショットを撮影後、アイドルにサインやメッセージを書いてもらえるのですが、ここで数分間、会話をすることができます。

 ここで交わされるものはほとんど実りのない内容ですが、逆に「経済」とか「政治」とかの実りのある会話をする意味も見出せません。

 なので会話の中心は、ブログやツイッターの感想とか、裏話を聞いたりとか、いろいろです。ライブの感想でもいいし、そのときどきの思いを伝えます。

 この間、ずっと夢心地です。

 だって憧れのアイドルが自分と話しているんですから。

 恋愛未満の恋の戯れ、積極的な相互コミュニケーション、好意の交換――これを外国では、「フラート」と呼びます。

 他愛もない言葉のやり取りやコミュニケーションが、すごく人生を豊かにします。それを日本人は知らなすぎるのかもしれません。

 そして女の子も、セックスよりも前戯が好き、前戯よりキスが好きというように、「フラード」の心地よさ、多幸感を求めているといわれています。

 また、アイドルのなかには2回目から名前を覚えてくれる子もいます。その感動ったらないです。天にも登るとはまさにこのことです。彼女たちに名前を覚えてもらえるとうことは、自分自身の「フラート」をより加速させます。

 それだけに、このチェキや握手会で思ったような感動を得られず、勝手に傷付いているファンも数多く存在しているのも事実です。

 ●何回もチェキを撮っているのに顔や名前を覚えてもらえない

 これがもっとも多い症例で、これが原因で推しメンを変えてしまうファンもいます。アイドルもなにかと大変なので、いちいちファンことを覚えていられないのもしょうがないのですが、すぐに覚えてくれるアイドルもいることから、状況はややこしくなります。
 
 これはある友人の例なんですが、この男はよくぞここまで……というくらいに傷付けられるエピソードやチェキを何枚も所有しています。

 この男のチェキエピソードでいちばん悲しみを誘ったのは、何度も通っているにも関わらず推しメンに顔も名前も覚えてもらえず、チェキに書かれる名前は、「さん」も「くん」も「さま」もなく、無意識で呼び捨てに。さらに友人のイケメンオタが同じ推しメンと撮ったチェキを見たところ、明らかにメッセージも丁寧で、さらにツーショットの姿勢も距離が圧倒的に近いことが判明したというもの。

 チェキは無間地獄です。

 一度はまったら、そう簡単には抜け出せない魔力があります。

 チェキを重ねるうちに推しメンに顔と名前を覚えてもらった。二人だけで進行している会話もある。自分が今回もライブに来ていることを知ってほしい。そんなさまざまな思いが交錯して、ファンはチェキし続けます。

 それはなぜか。アイドルに顔と名前を覚えてもらい、その存在を認識してもらうと、そのことで得られるメリットがあるからです。
 
 たとえば、ステージ上から推しメンに目線を送ってもらう(レス回収)率が妄想上では明らかに増加します。

 このレス回収こそが、ファンの至福のときであることは間違いありません。

 だからこそ、この状態を続けるために、チェキを買い続けないといけない無間地獄に陥るのです。

 アラフォー男性はライブ2~3回に1回程度のチェキペースが望ましいかもしれません。それ以上は身体に響きます。身体に反動がでます。ひじょうに毒性が強いです。

 このような理由から、この「物販」はインディーズ系アイドルのライブには欠かせないものになっていて、利益を上げたい運営側にとっても、アイドルとコミュニケーションをとりたいファンにとってもなくてはならない重要な存在となっているのです。

 こんなドキドキ体験、シラフで行うにはそうとう勇気がいります。

 その点、アイドルのライブは多くはライブハウスやクラブで行われるため、アルコールなどの飲食、タバコもOKなのがうれしいです。ぼくはいつもビール片手にフロアで踊っていますから。

 飲みながら、アイドルのライブを見る――。

 コストパフォーマンスもいいし、かわいい女の子とコミュニケーションも取れる。踊ったり声援を送ったりすることでストレス解消にもなる。

 そんなわけでアラフォーのアフター5に、アイドルのライブはアリだと思うのです。


 オタさんの一部は嫌がるかもしれませんが、アイドルのライブにもっと一般人が訪れてほしいと思っています。ぼくはアイドルたちの頑張りがもっと多くの目に触れてほしいと強く願っています。

 それで会場が客であふれて、自分とアイドルの距離感が離れるのは悲しいですが、彼女たちのことを思えばそれもやむなしではないでしょうか。

 昨夜のイベントでいちばん印象に残ったグループです。はつらつとした動きが気持ちよくて、歌メロも耳に残りました。

 メンバーの表情もよくて、さらに目線もひんぱんにいただける、という気にさせる所作が魅力的でした。


clip-clop / はじめてだよ