SONY SS-NA2ES、SS-NA2ES試聴

今回の試聴会の目玉となるスピーカーだが、こちらもSONY色全開の徹底実力主義。
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デザインなんかくそくらえ!の無骨な二台。…まあブックシェルフのSS-NA5ESの渋いディテールは嫌いじゃないが、おっきい方はあまり部屋に置きたい感じではない。
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アンプの性能が浮世離れし過ぎてて評価に困るが、大音量を余裕で受け止めるあたり、キャパシティの大きさは申し分無い。一般家庭での使用で破綻する事はまず無いだろう。

同社の無志向性スピーカーの高音のリアルさを再現する為、3連ツイーターで志向整を広げ、箱鳴りをコントロールして心地良い音を…と、コンセプトは某デンマークのスピーカーと丸かぶりであるが、それは言わない約束。

事実、この値段でこのクオリティはDALIも真っ青である。


まずはSS-NA5ESから。情報量や空間表現がこの価格帯の水準を上回るのは確かだが、音色については比較対象が無い為なんとも言えない。音量がスイートスポットよりだいぶ大きかった事もあり、ピアノやボーカルは美しさもリアルさも感じられなかった。


低音はアンプ次第だと思うが、TA-DR1では非の打ち所がないもの。小生が聴いた中ではベストと言える。アンプのレビューでも書いたがこのサイズでティンパニーさえ完璧に鳴らす。

3連の志向ツイーターの効果か、拍手などのリアリティも特筆もの。

音場は大きく後方に広がるが、音像はアバウトめ。…これも適正な音量ならまた違うかも。


ブックシェルフでこれだけのベースが出るならフロア型のSS-NA2ESではどうなってしまうのか。

バナナを差し替えフロア型のSS-NA2ESがセットされ直前に聞いていた曲がもう一度流される。

驚く程差が少ない。

打楽器はほんの若干スピードが退いてゆとりから来るまろ味がある。もっとトールボーイ特有のもっさり感が出るかと思ったが、量感もほとんど変わらず、キモチ丸い低音になっただけだ。

あえて言えば小生はキレのあるブックシェルフの方が好みだ。

しかし、アンプがTA-DR1だから二代の差はわずかなもので収まっているが、一般的なアナログアンプならSS-NA2ESの13cmのウーファーでこれ程のキレと量感のある低音は不可能だろう。

もちろんSS-NA2ESは更に低い低周波の域まで正確に描く。体育館で席を引くような音とは言えない振動の域までリアルに表現し、時折ハッとさせられたが、音楽信号に限ればドラム、ティンパニーからパイプオルガンに至るまでほぼ互角であった。

中音域や自慢の響きに関して今回の試聴でその恩恵を体感する事は出来なかったが、拙宅のトールボーイ、T77-XGの方が盛大にエンクロージャーが鳴ってるのは間違いない。

試聴会の後、我が愛機で同じ曲をかけると、わずかとは言え見通しの悪さを感じずにはいられなかった。トールボーイ特有の内部定在波、エンクロージャーの唸りが、悲しい事に今日は分かってしまう。


後になってそういうトールボーイのネガを僅かしか出さなかったSS-NA2ESのエンクロージャーの作りの良さに改めて感心する。


とにかくこのスピーカー、コストパフォーマンスは半端ではない。このスピーカーがペア20万円台とは驚異的である。

誤解されている方が多いのだが、サイズの大きい、インピーダンスや能率の高いスピーカーほど駆動力と言う点ではアンプを選ばない。逆に小さいスピーカーほどアンプへの負担は大きいので、これをエントリーグレードのアンプで鳴らしてしまっては宝の持ち腐れ、少々もったいない。

箱鳴り系で比較するなら倍額付近のソナスのアウディトールかDALIのヘリコン300辺りがライバルになるだろうが、価格差分アンプにつぎ込める事を勘定すれば、SS-NA5ESの優位は明白である。


























































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