にちゃんねるで話題のこんな記事がある。

http://www.medianetjapan.com/2/20/music_audio/blind/amp_blind_test.html

多くのオーディオファイル(この言葉を使う向きにはアキュ好きが多いと言う勝手なイメージ笑)を敵に回すであろうがあえて言おう。

オーディオはマジメに測定を繰り返し、コストに糸目をかけずに設計し物量を導入したから音が良くなる訳では無い。

その代名詞と言えるのが○キュフェーズであり、センスさえあれば寄せ集めのパーツでも“良い音”が出せると言う代表が○ールドムンドである。

ゴールドムンドの音を良い音だと感じていた人ほど、騙された感は強かったと思うが、もの作りには必ずセンスと言う越えられない壁が立ちはだかる。

たとえば日本人は速い車を作るのは得意だが、楽しい車を作るのはめっぽう苦手である。今後30年、王者911を脅かすスポーツカーは日本から出ることは無いだろう。

何たって向こうはスポーツカー一本で黒字決済を続けビジネスを成立させてしまうプロ中のプロなのだ。

2ドアを出すたびに赤字を作る日本企業の道楽とは比べる間でも無い。

そのモノ造りには強い芯があるようでいて、巧みに市場を読み対応する柔軟性があったからこそポルシェはポルシェでいられる。

そんな911が一つのパフォーマンスとして出したサーキットタイムを一目散に追いかけ、ブサイクな車で勝った勝ったと大喜びするアジア人の様は、ヨーロッパの人々から見たらさぞかし滑稽だろう。

そんな日本人がオーディオを作るとこうなると言う最もたる例が冒頭のア○ュフェーズである。

小生の場合は一聴して好きでは無い音と感じてしまう。多分オーディオに興味がない人の半分くらいはこの音を聞いても“良い音”だとは思わないのではないだろうか?

しかし、しっかり試聴した上で高い金を出しても欲しいと思う人がいるのだから、あくまで好みの問題なんだろう。性能、物量から見れば海外製品よりコストパフォーマンスが優れるのは間違いない。

ようはそれだけ好き嫌いの分かれる音なのだ。


逆に9800円のデジタルアンプが安いのかと言うのも微妙な話だ。これは恐らく最近の薄型テレビについて来るようなアンプに毛が生えたようなものだろう。

重量級のセパレートが良い音も不快な音も正確に出して、システムや部屋のアラを浮き彫りにするのに対し、ダンピングの緩いデジアンならどこでも聞く誰もが慣れ親しんだ音だけに違和感無く音楽が入って来るだろう。



もちろん物量から来るゆとり、ノイズフロアの低さ、分解能などは桁違いのはず。

しかし、ノイズや歪み成分が減ると音量が物足りなくなり、どうしても音量を上げたくなる。音量を上げるとスピーカーの鳴きや部屋の定在波の影響が大きくなって圧迫感を感じることになるのだ。


小生も長年使い込んだPMA-1500AEからラックスマンのA級にグレードアップした時この症状に見舞われ、ラックストーンが合わなかった事もあり売却してしまったエピソードがある。

しかし、一度上位クラスの躍動感、色彩感を知ってしまうと、やはり1500AEでは物足りず、現在のSA11を導入するも同じ症状を誘発し、今日まで苦心を重ねどうにかそこそこのレベルまで持ってきた。

SA11の駆動力、繊細さから来る生々しく掘りの深い音は1500AEと比べるまでもないが、1500AEの頃ほど“いい音”にはまだ辿り着けていない気がするのだ。


以上のような経験からすると、先のテスト記事の実験結果に不自然な点は感じない。

良いモノを見極められない人ほどこう言う記事に過剰反応しがちだが、そもそもそういう人にオーディオと言う趣味は向いて無いと思うのだが。


「この音ぞーの正確さ、音場の見晴らしの良さの違いが分からないとわ…」


トーンコントロールは音が悪くなるとかたくなに信じ、部屋成りのボコボコの周波数特性の音を“いい音”だと疑わないオーディオファイルと、先入観無しで音を評価出来る素人。

モノを見る目が無いのはどちらだろう?




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