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DACにスペックは不要



テレビモニターは解像度が全てである。ハイビジョンがフルハイビジョンになり、フルハイビジョンが4kにと、進化する度に大幅に画質を向上させて来た。


しかし、オーディオはデータ量が莫大に膨れ上がるハイレゾになっても音質アップは微々たるもの。


オーディオの技術的的な進化に対する音質向上は僅かで、いい音を出すにはコストと物量を掛けるしかない。


DACと言うとチップがどうとかDSDだ32bitだとデジタル領域の話になりがち。


じゃあ24ビットと32ビットを聞き比べて違いが分かるかと言うと微妙である。


これはエソテリックD-07でもアップコンバートは散々聞き比べたが、2倍、4倍、DSDと好みの範疇である。




SOULNOTEの現行はD-1に変わり一見するとsd2.0は24ビット、D-1は32ビットと言う時点でD-1の方がスペックは上である。


しかし、小生はデジタルイコライザーを使用する関係でPCとDACを直結出来ない。こうなるとD-1最大の売りであるバルク伝送も意味を成さない。


次に32ビットと24ビットの違いだが、オーディオの軸足となるのはCDの16ビット44.1キロヘルツ。


16ビットとは音の振幅幅を二進法の16桁で表したもの。2の16乗は65536段階。17ビットならその倍になる。


これを24ビットまでハイビット化すると、16,777,216段階というとんでもない数字になり、現在スタンダードと言える32ビットはもう43億と意味が分からない数字になる。


これだけ補完すればさぞ音は良くなりそうなものだが、実際はそうでもない。


一度圧縮したデータは所詮不可逆、一度16ビットまで圧縮したデータはハイビット化してもたかが知れているのである。



レコーディングの現場では48kHzで録音編集されたものが、44.1kHzに落とし込まれていた。48とは何の関係も無い44.1と言う数字だが、これが至極厄介なのだ。


例えば48kHzを24kHzに圧縮したなら半分になったデータの隙間を予測して補完すれば再び元のデータに限りなく近付ける事が可能だが、割り切れない数字である44.1kHzにしてしまうと歪みが生まれ、それを再び48kHzにアップサンプリングしても更に歪む。


CDと言う規格を作った時、「人の耳では感知できないから」と割り切って切り捨ててしまったツケが尾を引いているわけだが、当時の技術者もまさか30年以上先もこのCDの16ビット44.1kHzと言う規格がオーディオのスタンダードだなんて夢にも思わなかっただろう。


CDの時代にあまりに多くの名曲が生まれてしまい、今後CDの16bit44.1kHzと言う規格を駆逐する可能性があるのは、定額音楽配信サービスのハイレゾ化くらいだが、それはまだ当分先になりそう。


小生はハイレゾの定額配信なら通常の3倍くらいの価格でもやぶさかではないが、これだけ多くの定額音楽配信サービスがしのぎを削っている状況で音質をウリにする配信が無いのはそれだけ需要と音質差が無いからなのだろう。



とりあえず当面の間は如何に16ビット44100ヘルツのデータの音を良くするかが命題となる。


元から大きな容量を使って録音されたハイレゾやDSDなら確実に音が良いのだが、問題なのはDSDやハイレゾの音に慣れると、雑味が気になって既存の16ビット44.1kHzでは音楽を楽しめなくなってしまうこと。


DSDもハイレゾも、リリースされているソフトに限りがあるし、手持ちの曲を全て買い直すわけにもいかないので、手持ちの音楽を全て楽しみたいなら手を出すのべきではないと考えている。


手持ちの楽曲を良い音で楽しむと言う点においてsd2.0のスペックは必要十分なものだと言える。




一方DACのアナログ段がバランスである事も第1条件だった。


バランス回路である事はノイズに効く。大きな電源はパワフルな音を実現する一方、ノイズや振動を生むし、デジタル段もノイズの宝庫だ。


それらの影響を受けずらくする意味でもDACをバランス構成にする効果は高い。





16ビット44100ヘルツ専用入力



デジタル信号の音質に影響するクロック。CD登場当初、デジタル信号は不変と言う認識だったが、再生する時間軸の揺らぎが音質に大きな影響を与える事が分かって来た。


時間軸の揺らぎと言うと分かり難いが、レコードで言うとターンテーブルの回転スピードにムラがあるような状態である。クロックが早くなれば音は高く、遅くなれば低くなるのだが、ジッターはその揺らぎが1秒に数万回単位で起こる為、独特の歪みを生む。


通常クロックは上流機器で生成され下流の機器はそれに合わせて作動する。伝送過程でジッターが生まれる。


この対策はいろいろあるのだが、SOULNOTEは受け取った情報を一度機器に蓄え、DACによって生成したクロックでジッターを大幅に低減させた。


当時16ビット44100Hzしか再生出来ないDACが25万と言う事で誰もが正気では無いと思った。


しかし、一度音を聞けばその優位性は明確だったのだろう。パッと出のメーカーがいつのまにか価格コムに並べられるまで認知されるようになった。


このジッターレス回路はsd2.0も入力1に受け継いでおり、これを使用する事で大幅にジッターを低減する事が出来る。


導入当初早速試して見たが、その時には正直音の違いが分からなかった。


しかし、音が耳に馴染んで来たタイミングで入力1につなげ変えると劇的に音が良くなった。


小生は音質の変化にあまり劇的なんて言葉は使わないのだが、これはやはり劇的と言わざるを得ない。


音がグッと生っぽくなり、生気を得た。


以前は小生も「ジッターなんてほとんど分からんよw」って言ってたタチだが、初めて聴く曲でも入力を切り変え忘れていると分かるほど違いがある。


しかし、入力1は16ビット44.1kHz専用なので、当然ハイレゾ再生には使えない。


では、この専用入力とハイレゾはどちらが音が良いかと言う話になるのだが、結論を言うと圧倒的に専用入力なのだ。


ハイレゾは音が滑らかになり、入力1のジッターレス回路は音が生っぽくなるイメージで、音質向上のベクトルも全然違う。


ジッターを除去するだけでこれだけ良くなると、マスタークロックにも興味が出てくるが、sd2.0にはクロック入力が無いのが唯一惜しまれる点。


欠点としては音声が1秒程遅れて再生されるので、動画再生時には画像とずれてしまう問題があり、セリフや効果音が遅れてしまうのだが、普通のしゃべり声も明らかに良いので映像にディレイを掛ける方法がないか探している。


とりあえず小生の「今ある音楽データを高音質で聴きたい」と言う本来の目的はsd2.0によって完全に達成されたと言える。