オーディオは3芯コンセント。しかし一般家庭のリビングに通常アースはなかなか引かれていない。
加えてアースも良し悪しで必ず音が良くなるわけではないという話もあり、アースの導入は多くのオーヲタにとって壁となっている。
小生のシステムはDACのバランス出力からバイアンプBTL接続と上流から下流までフルバランス構成になっているので、アースの影響は通常のオーディオよりはるかに小さい。
それでもアースの影響は気になるので実験的に台所のアースをオーディオまで引っ張ってみた。
ちなみにアースを引回すのに資格は要らない。
システム全てアースを取るという手もあるが、アースループと言う新たな問題が出るので部分的にアースを繋いで音の変化を確認する。
とくに小生のように数カ所にコンセントを使用している場合は要注意である。原理はちゃんと理解していないがアースループは巨大なアンテナになりノイズを拾うという。
ちなみにマランツのプリメインは電源ケーブルのアース端子とシャーシがあえて接続されていない。おそらくアースループを嫌っての事だろう。
この場合、電源ケーブルにアースを落とす、アンプ本体にアースを落とす、両方アースを落とす、どちらも落とさないという4通りの実験が出来る。
特にシールドケーブルのシールドはアースを落とすことで本来のシールド効果を発揮するので、例え機器に接続されていなくても理論上音は変化するはずである。
先ずは二台のアンプのケーブル部のみアースを落としてみたのが冒頭の写真。
前述のようにアンプのアースは浮かせてあって機器本体には繋がっていない。
理論的にはケーブルが受けるノイズを電流としてアースに流して緩和するはずだが、逆に言えばそれだけである。
アンプのケーブルはどうしてもPC関連のケーブルの近くを通るのでノイズの影響を受けてそうだとは思っていたが、アースに繋げてみるとやけにあっさりした音が出る。
アンプの電源ケーブルというのは予想以上に他機器のノイズを吸着して再生音に乗せているようである。
しかし、音の雑味が取れたというよりは音数が少ない感じで、音量も小さく感じる。
通常、音量が上げられるというのはノイズが少なくなくなってうるさく感じなくなったと考えるところだが、これはただ音が小さくなったようにしか思えない。
試しに聴覚上同じ音量になるまでボリュームを上げて比較するが、アースありの良い部分が見当たらないのでここは保留である。
ただ、電源ケーブルのシールドをアースと繋ぐだけでこれだけ音が変わるのは興味深い。
そのうちシールドタイプのスピーカーケーブルを使用してシールドをアースに落とすというのも試してみたい。
続いてアンプ本体にアースを落とす。
銅線がアンプに触れた瞬間DACのリレーがカチカチと反応する。
試しにDDCやアンプ、電源タップにアースを触れさせてみるが、ほぼ全ての機器でDACのリレーが反応する。ラインケーブル、XLRケーブルによって全て機器のアースが通じているようだ。
つまりそのどれか一つアースを落とせば全ての機器のアースが取れる訳だ。
アンプのケーブルだけでかなり変化があったのでほぼ全機器がアースされた効果はそうとうデカそうと思ったが、今度は変化が分からない。
だが、何度も聞き比べると若干アースなしはノイジーなよう
DACに銅線が触れると非常に小さいが銅線の先端がスパークしているのが見える。オーディオのシャーシと言うのは意外と帯電していると言う事が分かる。
いろいろ試した結論、アースを落とすのはDACがベターなようだが、変化の度合いは最初のアンプケーブルより遥かに小さい。
ただ、デメリットも感じないので今回はDACを通じて全機器にアースを落とす方法を採用する事にした。
アース工事について
アースを引き回すのはオーヲタのたしなみのようなものだが、全ての機器を3極コンセントで繋ぐのはアースループの観点からご法度である。これはほぼ確実に音が悪くなる。
アースループを回避するという意味で、アースは中核をなす機器一点に落とすのがオススメである。
ただ、今回使用したマランツのアンプのようにアースが機器とあえて繋がれていない機器もあるので、この辺は自分の機器の配線をテスターなどでチェックする必要がある。
分解出来る電源ケーブルならアースの機器側の接続を絶つ事でアースループを回避出来る。
思わぬ副産物
アースによって僅かに音が良くなり音楽の他、セリフのリアリティも増した。10mのアース線は台所からリビングまで壁沿いを這わしても十分な長さで意外に不細工にならず屋内配線できた。
一息ついて更新された海外ドラマを見ていたら、モニターの映像が綺麗になっている事に気がついた。
アースは映像にも効くのかと感心したが、考えてみればこれが不思議なのである。だってテレビモニターの電源ケーブルは2芯でアースは接続していないのだ。
おそらくPC、オーディオ関連のノイズがニュートラルからモニターに流れ込んで映像を汚していたのだろう。
余談だが、DACのトランスの唸りの原因を特定するため、冷蔵庫、LED照明、エアコンなど家中の電気を確認した事があるのだが、結果、原因は何とアンプのトランスだった。
アンプの電源を落としては音楽が聴けないのでこれはどうしようもないが、こういう事を回避するため可能なら機器は同一メーカーで揃えるべきだろう。
トランスの発振はもちろん、全て3芯コンセントで繋いでもアースループしないように考えられているはずである。
意外にオーディオが発するノイズというのは他機器に悪影響を及ぼしており、特に重量があってサイズがある上位機種になるほど垂れ流すノイズも強力なものになる。
ちなみに今回使用したアース線は数百円。アースは繋いでみないと良い結果に繋がるか分からないが、オーヲタなら試す価値は十分ある。
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