ZIPP404フックレスの為チューブレス専用ホイールなのだが、高圧でもビートが外れない事を確認し、クリンチャーでの運用をテストしていた。
これはMichelin POWER TIME TRIALがGrandPrix5000に対して、圧倒的に転がり抵抗で優れている為である。
Bicycle roling resistanceに寄るとGP5000の転がり抵抗は10.0W/8.3bar、POWER TTが
8.6W/8.3barで1.4W差となるが、このテスト結果を小生の使用状況、ライダー+バイク80kg、40kpm、空気圧はワイドリムで4.5barなので最も近似値と思われる5.5barのものを引用すると、GP5000が31.4W、POWER TTが27.5Wと3.9Wの差がある。
これはブチルチューブ同士の値で、POWER TTで使用するREVOLOOPチューブはチューブレスに対し0.5W増しになるので、結果、GP5000S TRに対しPOWER TT+REVOLOOPはPOWER TTに3.4Wと約160g(シーラント30g)アドバンテージがあることになる。
本来タイムトライアルタイヤであるPOWER TTとグランツール200kmを走れるオールラウンドタイヤであるGP5000を比べるのは野暮というものなのだが、GP5000は TTタイヤに迫る性能を持っているし、逆にPOWER TTはオールラウンドタイヤとして使えるほど総合性能が高く、もう2年も通勤のお供に活躍している。
他のTTタイヤはグリップ、レイングリップ、対パンク性能と非常に低い。
POWER TTの圧倒的な軽さと高い総合力のため、GP5000S TRは購入したものの3ヶ月使用しないままになっていたが、今回好奇心でGP5000STRテストしてみた。
因みに購入したのは28cで、25cより前後合わせて50g更に重く重量増は210gにもなるが、タイヤをはめて空気抜けが止まった後バルブからシーラントを全て吸い出す事で150gの重量増に抑えている。
シーラントは粒子か細かくスローパンクを止めやすいビットリア。チューブレスで空気抜けが早いと感じている人にはおすすめである。
通勤中にパンクしても、トイレに寄る程度の時間で直せるので重く転がり抵抗も増やすシーラントは小生には無くても全く困らないものである。そもそもGP5000自体滅多にパンクしないのに加えワイドリムによる設置面拡大と低圧化で更に踏み抜きリスクが減っているので、パンクリスクは限りなく低い。
28Cの乗り心地
タイヤの評価を行う時最初の走行で行ったものはアテにならない。おろしたてのタイヤは非常に硬いし、ケーシングがどんどん伸びていくので空気圧も走るほど下がっていく。最初の走行で太さが1mmほど太くなるのが普通である。
↑フックレスリムとタイヤのつながりの良さはため息が出る程美しい。
この28cも内幅23mmリムに装着しているにもかかわらず、初期は幅30mmにも満たなかったが、一回走行後30.5mmまで伸びた。
POWER 25cは29.5mmなので、28cの割に1mm差、ハイトも1mm差とGP5000の28Cがかなりコンパクトなのが分かる。同サイズのGP4000から5000になって大幅に軽くなったが、実はサイズが小さくなったと言うオチである。
話が逸れたが、本来硬いはずの乗り始めからTRの衝撃吸収性は非常に良く、通勤の帰りには空気を入れ直したが更にしなやかになっていった。
特にブレーキングの安定感など段違いで、衝撃吸収性は速さに不可欠なものだと改めて思い知る事になった。
先日のヤビツの下りではバイクが暴れるのを押さえつけながらの早めのブレーキングとなり、攻めきれない事が多々あった。下りは圧倒的にこちらのタイヤが速いだろう。
乗り心地の違いは太さから来るものも確かにあるのだが、REVOLOOPとチューブレスの違いが特に大きいと感じた。25cにして0.5bar上げてもこの乗り心地の大半は失われないだろうと予想する。
REVOLOOPは引き締まった乗り味で、コーナーでヨレる感じも小さくリム打ちもしづらいので個人的には好みだったのだが、思えば快適な乗り味となる空気圧が0.5bar程度下がった。逆にラテックスやチューブレスは空気圧を上げても変に跳ねたりしないので、同一空気圧での比較は無理がありそうである。
内幅23mm×28cのコーナーグリップは強烈の一言で、全く底が見えない。グリップ自体は変わらないのかも知れないが、タイヤの振動吸収性が高すぎて路面に吸い付くような安心感があるのだ。
TTタイヤと言うのはトレッド面の幅を細くする事で軽量化と転がり抵抗の低減をしているので、ワイドリムにはめてフルバンクさせるとサイドウォールが接地する可能性があり、POWER TTもグリップは高いが心配ではあった。
また、Sがつく前のGP5000は倒し込んだ瞬間フロントが自然にインに向かず直進しようとする悪癖があったが、今回のSTRでは感じ無かった。これがタイヤの違いかワイドリムによるものかは不明だが、この組み合わせのコーナリング性能がとんでもないことは間違い無い。
重い
乗り心地に感動する一方、漕ぎ出し、30kphからの加速等街乗りでは随所で重さを感じる。
FTP付近で限界で漕いでる時に小生の場合外周が軽い方がパワーを維持しやすい。慣れの問題かも知れないが、ギリギリのパワーを長時間維持するのは難しく感じる。逆にパワーをガンガン掛けられる街乗りでは瞬間のパワーが跳ね上がり気味でジワジワ脚を使ってしまう感じはある。
タイヤを25cにサイズダウンし、ホイールを454NSWにすればこれまでの軽さと乗り心地を両立出来るが、ホイールに50万は流石に現実的ではない。
軽さを優先するなら、BORA ULTRA 50 チューブラーに匹敵するリム重量となった303を選ぶのもありである。
303なら、360gリム、Stan'sリムテープ6g、5000STR 275g、シーラント吸い上げ0gで、世界のレースで使用されたチューブラーを超える軽さを手に入れる事が出来る。
転がり抵抗
太いタイヤは転がり抵抗が低いと言われるが、小生が至った結論としては変わらない。
1サイズアップすると快適な空気圧は大体0.5bar下がるのだが、太くなる分転がり抵抗が減るのと空気圧を下げて転がり抵抗が増えるのがほぼ同じ値なので、実使用における結論としては変わらないと考えている。
一方、前述のようにTPUチューブは快適な空気圧が0.5barほど低めになる。GP5000STRは5.5barから1.3bar上げると1W削減出来る。これを40kph、80kgに直すと2.6Wになり、0.5Wで1.0Wの削減となる。
つまり、実際走行する空気圧で計算すると本来3.9WアドバンテージがあったはずのPOWER TTとの差は1.1Wまで小さくなる。
エアロタイヤと言われるGP5000STRの空気抵抗削減幅はこれを軽く超えると考えられるので、 TTはGP5000STRの方が速いのではないかと言うのが現在の考えである。
しかし、28cはPOWER TTと比較するとさすがに重いので、25cを0.5bar高い空気圧で使用すると言うのがベストだと思う。太さとしても実測幅27〜28mmが最も走りやすく好みで、実測31mmに迫る28cはちと太い。しかし、逆に内幅17mmのナローリム時代には25cは硬く細過ぎて直進性も悪く28cを愛用していたので、リム幅でかなり印象が変わる事を付け加えておく。
…これは25c購入不可避である。
追記…40kph巡行中の前後荷重配分(重量配分ではない)はフロントにリフトが発生するので前1:後2くらいと考えられるが、空気抵抗を受けるフロントはGP5000STR、7割近い荷重が掛かるリアをPOWER TT×SOYOラテックスにするとリアだけでGP5000STRに比べ2.5W削減でき、最速となる計算である。
※404FIRECRESTの推奨タイヤは25C以上のチューブレス、GP5000STR 25Cの推奨リムは21mmまでであり、このブログはこれを逸脱したセッティングを推奨するものではありません。これらを守らないとフックレスリムはビートが外れる可能性があります。