オヤイデのNRF-005Tと言うノイズを熱エネルギーに変換するテープが話題である。
これは旭化成が開発したパルシャットを言うシートをテープ状にしたものだ。
試して見ようと思ったが、そう言えばパルシャットを使用したUSBケーブルを絶賛使用中でレビューも書いたのに未投稿なのを思い出した。
読み返して見ると、レビューでは触れていないがこの効果はパルシャットによるものとも見て取れる。
以下当時のレビューである。↓↓↓
ユーザーレビューにおいてこれほど高評価を得ているケーブルを小生は知らない。
それほど絶賛されているのがAIM電子のUA3と言うケーブルである。
0.5mのケーブルが3万円とは常人には理解出来ない域になるが、導体に一般的な銅線ではなく純銀の、しかも単線を使用しており、これに温度処理までしてあるのでそこらのUSBケーブルとは別物なのである。
これまで小生はデジタル領域は音の変化が少ないポイントとして軽視してきた。それでも、ノイズ対策として長らくバスパワー線を排除した20cmのUSBケーブルを長らく使用していた。
導入時は付けて満足で、キチンとした聞き比べはしていない。理論的に良くなったと言う事実だけで納得し、そこから先は沼…足を踏み入れてはいけないと感じていた。
しかし、ふと気まぐれでポチったFurutechのUSBケーブルで目まぐるしく音が鮮やかになるのを体感してしまった。
この時、「デジタルケーブルで音は変わらない」と言う自分の中の常識は崩れ去ったのである。
こうなれば更に上が気になるのも当然の道理で、中でも圧倒的な評価を得ているAIM電子のUA3は特に気になっていた。
それでもFurutechとAIMのUA3の価格差は倍程度とそれほど大きいわけではない。
倍なら十分違うとも言えるが、ケーブルで倍額というのは違いが聞き取れるか心配なレベルである。
変わらない…?
ケーブルを繋ぎ替えるとすぐに音を出して見た。
小生は普段、新しいものを試す時は必ず2時間程度のエイジングをする。せっかく高額機器を導入しても最初は期待はずれの音…なんて事を幾度となく経験してきた為である。しかし、時間と共に違いは確実に現れ、「せめて2時間くらいはエージングするんだった…」を幾度も経験して来た。
しかし、今回はとりあえず変えてすぐの音を確認したかったのと、デジタルケーブルで1番大切なシールド性能はエイジングで変化するわけではないのでとりあえずリスニングである。
そして最初の印象は「変わらない」である。
注意して聞けば僅かにボーカルに雑味が少ない気もするが、気のせいと言える範疇を出ない。
一方で音量が物足りないと感じる。もちろんボリュームは変えていないし、デジタルケーブルによって音量が変わることは理論上有り得ない。
しかし、オーディオは音が良くなるほど"うるいさい"と感じにくくなる。
楽器の音など実際の音の音圧は普段スピーカーで聴くものとは比べ物にならないほど大きい。スピーカーの音と言うのはそれだけノイズや歪みを含み不快なものなのだ。
とりあえず同じ音量で1曲聴き終え、次は心地良い音量までボリュームを上げて見ると、2dB上げたところでちょうど良い。
小生のDAC、Esoteric D-05はボリュームが0.5dB刻みなので、2dBはボタン4プッシュ分。これだけ上げてもうるさくない。これは結構すごい。
上げたのはたった2dBだが、パワーアンプのパワーメーターは0.01Wからたまに0.02Wに入る程度だったのが、0.03Wから0.04Wと約2倍の値を示している。
2dB音量を上げれば曲のエネルギー感は様変わりする。ボーカルは力強く、鋭いパーカッションは気分を高揚させる。
しかし、まだ信じられない。Furutechに戻しても同じなのではと、今度は2dB上げたままケーブルを戻し、同じ曲を再生。
やはり元のケーブルではところどころのピークが耳に刺さり不快で煩い。
今度は再び2dB下げてケーブルを替える前の状態に戻してみるが「うるさい」と言う不快感は小さくなっただけで消えない事に気づく。
何だか抑揚が無く曲がのっぺりしていて、音が立ち上がる瞬間の"勢い"のようなものが無い。
集中して音の差異を探りながらも、「早くこの曲をUA3で聞きたい」と思っている自分がいる。
ここまで来るともう戻れない。
UA3に繋ぎかえると期待通りの音が帰ってくる。
存外にジッターは有害である。
USBケーブルはPCにクロックを供給し、PCで生成されたデジタルデータはそのクロックを基準に送られてくる。
デジタル信号は普遍であり、エラーが出ない限りデータに変化は起きない。しかし、ノイズを受けると信号の供給スピードにムラが出来る。
レコードで言えばターンテーブルの回転のスピードが速くなったり遅くなったりと言う事が、1秒に数万回と言う規模で起こると言う事。
あらゆる計測値がレコードを凌駕していたのにCDがレコードのような生々しい音を出せなかった理由がジッターであり、ここ10年程でジッターを抑えるのに有効な方法がわかって来た。
つまり、どんなに精度の良いマスタークロックを使用しても、その伝送過程でこれほどデジタル信号は劣化するのだ。
そうなるとデジタルケーブルはもちろん、ノイズ源であるPCさえWi-Fi電波、5G電波から守る必要がある事になり、PCに接続する電源ケーブルやHDMIケーブルもノイズを吸着し、間接的にジッターを生んでいる可能性がある。
また、ノイズ源であるPCに繋がれたケーブルから逆にノイズを発信している可能性もある。
小生もPCの電源ケーブルで音が変わるとか有り得ないだろうと思っていたが、USBケーブルでこれだけ音が変わると言う事はそう言う可能性も出てくる訳だ。
気をつけなけなければならないのはアナログ用とデジタル用では防ぎたいノイズの周波数帯が全く違うのに加え、作用の仕方も異なると言うこと。
このメーカーらしい音…なんてよく言うが、デジタル信号の場合、アナログ機器での常識は全く通用しないと考えるべきである。
特にデジタル機器では可聴帯域を遥かに超える電磁波がジッターの原因かになっていると思われ、これからPC用に特化したケーブルと言うのも出てくるだろう。
こうなると、DDCとDACを繋ぐ同軸デジタルケーブル (880円)も変えた方が良いのか…。
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ここまでが当時のレビューでこの後デジタルケーブルもオヤイデの銀線に変えたが、現在はカナレのXLRケーブルに落ち着いている。
パルシャットはコネクター付近に数センチ巻く人がほとんどだが、UA3は導体を全域に巻いているのが興味深い。
USBケーブルは短い方が良いと言う通説だが、パルシャットによって信号が明瞭化するなら、ケーブルを長くする事で音が良くなる事もあり得る。
パルシャット…こいつはなかなか遊べそうである。