トゥイーター特化型ケーブル





スピーカーケーブルごときにお金を使うのはもったいない。対して変わらないのだから見かけで選べばおk…


そんな価値観は前回の聞き比べで砕け散った訳だが、特に印象的だったのは3.4sq2sqを高域に使った時の違い。空間の表現が明らか1ランク違い、トゥイーターの重要さを改めて認識させられた。


加えて、トゥイーターのケーブルを低域のケーブルと絡めた4芯ケーブルなどにしてもかなり高音の伸びが削がれるようで、太さの他に磁性体が近くにあるかなども重要で、おそらくシールドケーブルも良い結果にはならないだろう。



クリプトンがトゥイーター用に開発したケーブルが断面積2.3sqと言う事から、同じPC-Triple C導体で、それに近い2sqの断面積で半額以下のAC-3000を選んだのだが、これにこれだけ良い音を出されると、やはりクリプトンのケーブルが気になってしまう。



断面積は近く、ノンシールドのスパイラル構造も同じで導体も同じ。違いはポリエチレンパイプによって空気を内包しているのと、線材の中央に振動吸収性に優れるマグネシウム線を通しており、AC-3000より振動を減衰させる構造が取られている。



↑太さは変わらないが中央に振動減衰性が高いマグネシウム線が採用されているのが見える。



正直これだけで音が変わるとは思えないが、中、低域用のSC-HR1500絹糸を使った全く違う構造を取られている所を見ると、SC-HR1300も徹底的に高域の特性を活かす為の構造だと思われる。


同じ断面積、同じ線材。これでどれだけ音が良くなる余地があるのか興味深いでは無いか。





端末処理




バナナはフルテックを使用。通電性優先なら圧着のYラグがベストで、その為の圧着工具も揃っているのだが、カバーがある事で端子が剥き出しにならないバナナは電磁波の影響を受けにくいらしい。


あと、緩まないと言う安心感、使い回せると言う利便性でケーブルを取っ替え引っ換えするのに使っていたが、見た目のスマートさ含め結構気に入ってしまっている。



因みにバナナの接点は局所的な点接点となるので、通電面積で言うと圧倒的にYラグが有利。


厚みがあるものは緩みやすいので小生はORBの端子を長らく愛用していたが、気分でこちらに変えるかも知れない。




バナナの場合は波型のものが最も安定している。


先割れタイプは接点が安定しないし、ニードルで押し付けるものは端子の奥で開いて取れなくなったトラウマがあるので、小生は波型一択である。


フルテックのバナナはゴールドとロジウムがあるが、小生は柔らかく通電面積が取れ大電流を流せるゴールドメッキを低音、超硬質で通電性に優れるロジウムを高音に使用。


ここについてはまだちゃんと聞き比べた訳では無いから機会があればいろいろ試したい。





同じ線材、同じ断面積で違いは出るのか



ケーブルと言うのはオーディオ会のドル箱。儲かるビジネスである。


オーディオに置いて売り手が10万と言えばそれは10万だし、値段と性能が比例する事を期待してはいけない。


その上で言うが、小生はこのケーブルに8000/mの価値を見出す事が出来た。


前回圧倒的な表現力を見せたAC-3000だが、格が違うと言っていい。


前回、1回り太いケーブルから2sqに変えた変化を「フルハイビジョンから4kに変えたようだ」と述べたが、このケーブルは""が引き立つ有機ELを思わせる。


一聴してAC-3000に対し暗さが見えるケーブルだと思ったが、余計な響きが無いから静寂が深く、そこから放たれる音には深みがやどる。



""が深い為、""が際立つ。



適切な振動対策の結果か、本当に余計な音を出さないし、美音に聴かせるタイプではない。


しかし、音源のディテールを余す事なく描き出すので、録音された音源が美しければそれがそのまま出て来る。


情報量も多く、小生が求める"気持ち悪い程リアルな人の声"に極めて近い。


ケーブルで美音に聴かせるタイプでは無いが、トゥイーター専用ケーブルとして805ユーザーには間違いない選択になるだろう。


ただ、804など3ウェイになると高音側でスコーカーも駆動しなければならないので2.3sqでは中域もしっかり駆動出来るかは疑問ではある。



因みにクリプトンには中、低音用のSC-HR1500(12000円生産終了)と言うケーブルがあり、更に高音用1300と中低音用の1500を束ねたバイワイヤリング用のSC-HR2000(15000)がある。


4芯ケーブルは高域が伸びきらず広がりが制限されてしまうと言うのを幾度か経験して来たので、SC-HR2000(15000)ではなくSC-HR1300SC-HR1500(8000円+12000)の方が圧倒的に小生好みだろうと言う事であえて1300を購入した


一方で、高音が素晴らしかったから中低域もクリプトンが1番だろうとは考えていないので、SC-HR1500を購入するかは分からない。しかし、生産終了で店舗在庫限りになるので手に入るのは今だけである。


スピーカーケーブルでは散々遠回りをしてしまったが、電源、クロック、バイアンプと言う環境が無ければこのケーブルに行き着く事は出来なかったかも知れない。


盆休みが終われば出張で家を空けなければならないが、それまでしばしこのケーブルに出会えた事に感謝しながら美音に浸りたい。