旅先の空腹とは、こんなに辛いものなのか。
やっと乗り切った悪路へ舞い戻る様を「ダイナミック迂回かよ」
と呟いた息子の渾身のギャグに対しても笑い続けられない疲労を押し殺し、ようやく下山を果たしたものの。。

状況は全く改善されるはずもなく。時刻は15時半くらい。飲食店の再開は17時以降を確認し改めて絶望を噛み締めることしかできない我々は、遂に禁忌を侵す決断に至る。そう、コンビニメシだ。
幸か不幸か近所に「ゆるキャン△」のノボリがはためくセブンイレブンを見付け、一目散に入店。しかし「ゆるキャン△」コーナーにはポスターやらキーホルダーやらの物品の他、唯一食えそうなものと言ったら「どら焼き」しかなく長考へ。
「どら焼き」程度の軽食ならむしろ、夕飯までの繋ぎとしてはアリだ。だが最大の問題は、「ゆるキャン△」に「どら焼き」とか全く登場しない。いわゆるヤッツケ土産に甘んじることへの葛藤に苦しみ、一旦売り場巡りへと以降。どこのセブンでも見られるパンや惣菜のうまそうなことにグラッときつつ、まさかのアイスケースでキタコレ反応。「しまりんだんご」である。
「どら焼き」程度の食い応えといい、作品リスペクトのオフィシャルフードであることといい、もはやスルー不可避。即購入。

足早に車へ戻り、乱暴に開封。そんな満を持した高揚からの転落ほど辛いものも無い。一口でモグる気マンマンだった「しまりんだんご」は、纏った霜で原型が見えない程のカチンコチンだったから。。

この辺からあんまり記憶が無いんだけど、もう考えるのをやめてラーメン屋に入って、地元感ゼロのやつとか食って、暗くなると宿に着けないかもとゼブラで食料を買って、部屋で大人しく過ごしたような。。

今まで旅って概ね行き当たりばったりだったけど、ちょっと意識を改めようと思った。それなりの街ならオッケーな感覚も、田舎では無理だもの。カロリー不足による思考能力の低下は、更なる悲劇へのループへ繋がる。
まあおかげで数ヶ月ぶりに会えた子供とまったり過ごす事ができたし、彼のお目当だったパソコンのレクチャーも進んだし。結果オーライと言える一日でもあったけど。


つづく