齢45も過ぎて、初めての経験だったかも知れない。夜なのにマック食った。


キッカケはこうだ。

仕事から帰りルーチンワークのVtuber配信を眺めていたのだが、今日は“月見バーガー”を食っていた。


いつもの俺ならどうと言うことは無い。

基本的に帰宅後は風呂に直行し間髪入れず夕飯へと以降するから、所謂“飯テロ”など全く通用しない。

今日も帰宅後のマイペースは保ったものの、仕事でムシャクシャを残してきたのは良くなかった。決して新商品を褒める内容でも無かった配信なのに、なんかヤケ食いしたいスイッチが入ってしまったんだ。


そんなのとは別に。

近頃儒教を学んでみようとの気まぐれから中庸

に関心が深まり、いままで行って来なかった悪行に走ってみようかという閃きも手伝い、「夜更けに食後のマック」という極悪行為に及んだのだ。


声豚畑を経て今やV界隈をブヒブヒ漁るバツイチ中年たる悪き存在を自覚する身としては、数多の煩悩に抵抗する業を背負ってようやく生を許されがちと思ってきた。


つい先日まで続いた連日の猛暑中も、完全な熱中症を自覚しつつ歯を食いしばり四肢をシバいて職人仕事を耐え続けてきたのだが、それはそんな自分なりのケジメだったりする。

但し日に4Lのポカリと大袋から鷲掴みした塩飴を摂取しないと仕事中にブラックアウトするので、たかが一ヶ月ほどのあいだにクソほどデブってしまった。


贖罪のつもりでガッツを発揮した結果、それまでのバッドステータスに加えて「クソデブ」という新たなデバフが掛かったことにより、俺はもうダメかも知れないと思った。ていうか、だったら別にハッスルしなくて良かったまであるなとも思ったりして。


兎に角まあ今までしてこなかったような憂さ晴らしも一興かなという冷めた好奇心に踊らされた末のマック事件だったのだが、取り敢えず食った結果としては、「どうでも良かったな」という(笑


味やら満足感がどうとかハンバーガーに対する感想はさておき、店舗に掲示された「10/1から22時までの営業となります」の告知文の方こそ特筆しておきたい。

恐らく今回のような事はもう無いので俺個人としては何ら不都合でも無いのだけど、厨房に見えた褐色肌の女性クルーの存在に注意を引かれたんだ。


思っていた以上に店内は賑やかで、立地上恐らくは地元の大学生ばかりだったのだろう。客だけでなくスタッフも同様と見られる状況で、バタバタと動き回るクルーの中で一人だけ明らかに“流れ”に混じれて居なかった褐色の彼女を想う。


外国人の学生さんだろう。恐らくは異国で勉学に励む一方、夜間はバイトしてきたのだ。周りと馴染めずも稼がなければならず、深夜、下手をすれば早朝まで働いてきたのかも知れない。ところが近く店の営業時間が短縮になるとあって、彼女は大変なんじゃなかろうか。

そう思うと、リーダー格のクルーが彼女に「〇〇のオーダー、ゼロ(コーラ)で合ってる⁉︎」などと問い聞いた際に、「‥は?」と心ここに在らずだった様子にも合点がいく。


これは‥、彼女をウチのバイトにスカウトすれば良いんじゃないか⁉︎コッチも仕事が減って彼女も経済的な補助になるなら、win-winじゃないか!


しかし問題は、肝心な彼女の身の上が全くの脳内ヒストリーだと言うこと。あと女性をスカウトするにしては、怪しすぎるデブ中年である俺。詰んでる‼︎


珍しい事をしたお陰でそれなりに楽しめたや。

衝動に従うって、結構いいかも。