新元号の発表が近づいてきた。

IT業界には

改元に伴って必要となる情報システムの改修

を前に戦々恐々としているエンジニアが多いのではない

だろうか

 

政府は2018年5月

改修が間に合わない場合は混乱を避けるためしばらくは

平成」を使うという対応もあり得ると発表しているが

あるエンジニアは「5月1日を過ぎても『平成31年』と記載

された帳票類をやりとりするのは、組織として恥ずかしい

のでは」と苦笑する。

一方で、改元前に和暦から西暦に切り替えを進めている

企業もあるようだ。

 

例えばみずほ銀行は、18年から幾度かにわたって

実施してきたシステム更新で、預金通帳などの表示を

「30-9-28」(平成30年9月28日)といった和暦から

「18-10-4」(2018年10月4日)といった形で西暦に

切り替えている。

 この記事では、複数のエンジニアに取材して分かった

「現場の声」と、IT業界の悲喜交交(こもごも)のストーリー

を拾っていきたい。

連載:平成のうちに知りたい元号のこと

「平成」もあと数カ月。

第三次産業革命といわれるように、現代社会には

コンピュータやロボット、ネットワークなど、情報通信が

広く普及しています。

 

そんな社会が迎える初めての改元ということもあり

ITシステムやビジネスへの影響を懸念する声も上がっています。

この連載では、元号の生まれや改元の歴史、改元対応

に追われる業界の声まで、平成のうちに知っておきたい

元号と改元の話を幅広く紹介します。

改元対応については、複数のエンジニアが

平成以後に構築されたシステムであれば、元号、消費税

うるう秒など、将来的に変更や対応が求められる事案を

考慮してあるのが普通だ」と口をそろえた。

 

「日本人のエンジニアであれば、構築時に改元を

意識して当然」という人もいたが

中には「勘定系のシステムや大規模なシステムの場合は

問題点を洗い出して改修するのに1カ月以上かかる

と肩を落とす人もいる。

今回は「2019年5月1日から新元号に切り替える

必要がある」と事前に分かっているので

4月1日まではダミーの元号を設定してテストしておき

公表後に新元号に入れ替えて、確認テストを実施すれば

いいものだと思っていたのだが、話はそう単純では

ないらしい。

 

改元を考慮したシステムであっても、機能の追加や改良

といった「後付け」により、テストしてみないとどこに

問題点が潜んでいるか分からないケースもあるという

記憶に新しいところでは

1月にMicrosoftが新元号に対応するためのアップデート

を適用したところ、各地で「Excel 2010」が強制終了する

といった不具合が報告された。

 

改元対応というものは、思惑通りには進まないものなの

かもしれない。